このような強固な事業基盤を持つ同社の最新の決算である2026年3月期通期の連結業績は、売上高が1兆9,847億4,300万円(前期比7.7%増)、営業利益が1,352億5,600万円(前期比13.8%増)、経常利益が1,391億6,900万円(前期比7.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が990億3,000万円(前期比5.5%増)となりました。
価値提案
大東建託は土地所有者に対して35年一括借り上げによる長期安定的な家賃収入と節税効果を提供し入居者には高品質で安全な賃貸住宅であるDK SELECT ZEHを提供します。
また仲介を依頼する顧客にはいい部屋ネットを通じたスムーズな物件探し機能を提供しています。
【理由】
なぜそうなっているのかというと土地所有者の多くは農業従事者や個人資産家であり空室リスクの不安や複雑な管理業務を避けたいニーズがあるからです。
一方で入居者側は光熱費削減や防音や防災性を求めているため双方の課題を一括解決する仕組みを構築しました。
2025年3月時点において空室の有無にかかわらず一定賃料を保証する35年一括借り上げ制度を展開しています。
さらにDK SELECT ZEHの累計供給戸数は2025年3月時点で10万戸を突破しています。
加えて2025年3月期においてオンライン内見や電子契約の導入率は80パーセントを超えており顧客の利便性を大きく高めています。
主要活動
大東建託グループにおける主要な事業活動は地主に対する土地活用コンサルティング営業から始まります。
そこから賃貸住宅の設計および施工管理を行い完成後の入居者募集であるリーシングまでを一手に引き受けます。
そして入居後の建物メンテナンスや家賃管理さらには将来的なリノベーション提案まで建物のライフサイクル全体をカバーしています。
【理由】
なぜそうなったのかというと外部委託を最小限に抑えてグループ一貫体制を取ることで現場の入居者ニーズや修繕データを新商品の設計や建築プロセスへ即座に還元し高い入居率と顧客満足度を保つためです。
体制の裏付けとして2025年時点において全国に約2500名規模の建築営業社員を配置し強固な直販体制を構築しています。
また自社工場や提携工場において工業化部材を生産し現場での工期短縮と品質の安定化を図っています。
さらにグループ会社である大東建託パートナーズ株式会社が24時間365日対応のコールセンターを運営し日々のトラブルへ迅速に対応しています。
リソース
大東建託の競争優位性を支える中核的なリソースは全国に広がる営業および管理の拠点網です。
それに加えて長年の事業運営で蓄積された膨大な管理物件のデータと知名度の高いブランドが挙げられます。
【理由】
なぜそうなっているのかというと地主との対面交渉と地域密着型の管理には物理的な拠点と信頼構築が不可欠であり過去数百万件の入居や家賃データを活用することで最適な家賃設定と投資収益計算が可能になるからです。
具体的なリソースの規模として2025年時点において全国に約400箇所の支店や営業所を展開し地域に根ざした事業を推進しています。
また2025年3月末時点で約125万8000戸という業界トップクラスの管理実績データを保有しておりこれを分析して精度の高い提案に繋げています。
さらに仲介ブランドであるいい部屋ネットは2025年の調査において全国で80パーセント以上のブランド認知率を誇り入居者募集における強力な武器となっています。
パートナー
大東建託の事業を支える重要なパートナーには建設部材メーカーや専属的な協力施工業者が存在します。
またアパートローンを提供する金融機関やインフラ供給を担うパートナー企業も不可欠な存在です。
【理由】
なぜそうなったのかというと全国均一の施工品質を確保するため協力業者との強固な組織化が必要であり地主の資金調達を円滑化するため金融機関との良好な関係構築が不可欠であるからです。
施工面では全国約4000社の協力業者で構成される大東建託協力会を組織し高品質な建築を安定的に行える体制を整えています。
資金調達の面では三菱UFJ銀行や三井住友銀行およびみずほ銀行といったメガバンクのほか全国の地方銀行を主要取引銀行として地主の円滑な借り入れを支援しています。
さらにインフラ面ではグループ会社であるガスパルがLPガスの自社供給を担っており2025年時点においてその供給戸数は約100万世帯に達し安定した事業運営に貢献しています。
チャンネル
大東建託は顧客の属性に合わせた多様なチャンネルを構築して事業を展開しています。
地主や資産家などの土地所有者に対しては対面でのダイレクトセールスを基本としています。
一方で入居希望者に対しては直営およびフランチャイズ展開する店舗やデジタル上のプラットフォームを活用しています。
【理由】
なぜそうなっているのかというと数千万円から数億円規模の建築請負契約には対面での高い信頼関係が必要とされる一方で部屋探しや入居後の手続はデジタル化することでコスト削減とユーザーの利便性を向上させるためです。
入居者募集の拠点としていい部屋ネットの店舗数は2025年3月時点において約240店舗を展開しています。
またデジタル領域では居住者用アプリであるruumを提供しており2025年時点において会員数が150万人を突破しています。
これらの取り組みの結果として2025年3月期における自社Web経由の入居申込比率は約70パーセントに達しています。
顧客との関係
大東建託はそれぞれの顧客セグメントと長期的な関係を構築する仕組みを持っています。
土地所有者とは建築契約にとどまらず35年間の長期一括借り上げ契約を通じた伴走型の関係を築いています。
また入居者とは契約手続きから日々の生活インフラ提供や専用アプリを通じた日常的な接点を維持しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと初回の建築請負で終わらせず35年間にわたる一括管理を通じて安定的な手数料収入を得つつ築年数経過後のリフォームや建替え需要を囲い込むためです。
長期的な関係性の証明として2025年3月期において35年一括借り上げ契約の継続率は99パーセント以上という極めて高い水準を記録しています。
さらにオーナーとのコミュニケーションツールであるオーナーマイページの利用率は2025年時点において85パーセントに達しています。
この強固な関係性が結果として再建築やリピート受注比率の堅調な推移を支えています。
顧客セグメント
大東建託の顧客セグメントは大きく分けて土地所有者と賃貸住宅の入居者に分類されます。
土地所有者層の主なターゲットは郊外や地方に土地を持つ個人地主や農家層および高齢の資産家です。
一方の入居者層は単身者やファミリー層に加えて法人社宅を利用する企業が該当します。
【理由】
なぜそうなっているのかというと相続税の基礎控除引き下げ以降は節税目的で資産を有効活用したい地主層が増加しておりそれが都市部近郊で生活利便性を重視する現役世代の賃貸需要と合致しているからです。
2024年の公表資料によれば建築オーナーの平均年齢は約68歳であり相続対策を目的とする割合が約7割を占めています。
また2025年3月期における入居者の属性を見ると単身およびカップル層の比率が約75パーセントとなっています。
さらに法人契約比率も約25パーセントを占めており安定した入居需要の基盤を形成しています。
収益の流れ
大東建託グループの収益の流れは大きく分けて二つの軸で構成されています。
一つ目は建設事業において建物を引き渡す際に得られる工事請負代金というフロー収益です。
二つ目は不動産事業において継続的に得られる建物管理料や借り上げ賃料差額および仲介手数料というストック収益です。
【理由】
なぜそうなったのかというと建設事業は景気動向の影響を受けやすい性質がありますが引き渡し後の物件をストックに組み込むことで景気変動に左右されない安定した収益基盤を確立できるからです。
2025年3月期における不動産事業の売上高は1兆1200億円であり全体の61.8パーセントを構成しています。
一方の建設事業の売上高は5890億円であり構成比は32.5パーセントとなっています。
この強力な管理体制によりグループ全体のストック型収益比率は2025年3月期において約67.5パーセントに達しています。
コスト構造
大東建託におけるコスト構造は事業ごとに明確な特徴を持っています。
建設事業では部材費や外注加工費および施工費といった建築売上原価が中心となります。
不動産事業ではオーナーへの支払保証賃料などが売上原価の多くを占めその他に営業歩合給や広告宣伝費が販売管理費として発生します。
【理由】
なぜそうなっているのかというと一括借り上げによる空室保証を行っているためオーナーへの借上賃料支払いが最大の原価となりさらにいい部屋ネットの集客維持と営業体制維持のため広告費と人件費が主たる販管費となるからです。
2025年3月期の業績を見ると連結売上原価率は約82.5パーセントとなっています。
また同期間における連結販売管理費率は約11.5パーセントで推移しています。
さらに将来の成長に向けた投資として2025年3月期実績において年間研究開発費に約15億円を投じ年間設備投資額として約180億円を計上しています。
自己強化ループ
大東建託のビジネスモデルには事業規模が拡大するほど競争力が高まる強力な自己強化ループが存在しています。
第一段階として地主へ相続税対策や資産運用として高品質な賃貸住宅であるDK SELECTを営業して建築を請け負います。
第二段階として完成した物件が大東建託パートナーズ株式会社の管理下に入り管理戸数とストック収益が増加します。
第三段階としていい部屋ネットの集客力と蓄積されたビッグデータを活用して高い入居率を維持しオーナーへ満額の家賃を還元します。
第四段階としてオーナーの深い信頼を獲得することで近隣地主の紹介や既存オーナーからの2棟目および建替えの受注へと繋がり再び第一段階の建築請負へ戻るという循環が回っています。
この循環が実際に機能していることは管理戸数が2023年3月末の121万2000戸から2025年3月末には125万8000戸へ増加していることで証明されています。
さらに居住用入居率も2023年3月期の97.4パーセントから2025年3月期の98.1パーセントへ上昇しています。
また2025年3月期実績において建設事業の新規受注に占めるリピートや紹介受注の比率が約38パーセントから40パーセントに達しています。
採用情報
大東建託の採用情報について大東建託単体のデータや就職情報サイトの記載をもとに解説します。
2025年および2026年実績における新卒初任給は職種や学歴によって異なります。
建築営業などの営業職は固定残業代および各種手当を含めて月給28万円から30万円であり配属地域によって変動します。
設計や施工管理を担う技術職および事務職は大卒で月給23万円から25万円となり院卒では月給24万5000円から26万5000円が設定されています。
2025年度実績の年間休日総数は125日となっており完全週休2日制を採用しています。
休日の曜日は営業職が原則として日曜日と月曜日または火曜日と水曜日であり技術職や事務職は土曜日と日曜日と祝日となります。
特別休暇として夏季や年末年始休暇のほかに初年度10日の有給休暇やリフレッシュ休暇およびアニバーサリー休暇や産前産後と育児休業制度が用意されています。
直近3年の新卒採用人数は増加傾向にあり2023年度が420名で2024年度が460名そして2025年度は510名となっています。
なお採用倍率については公式情報として公表されていません。
2025年3月期の有価証券報告書によると平均勤続年数は8.9年であり平均年間給与は883万2000円となっています。
求める人物像としては主体性を持って行動できる人や地主と深く向き合える誠実性とコミュニケーション力を持つ人そして目標達成意欲の高い人が掲げられています。
株式情報
大東建託の株式に関する基本情報と還元方針についてまとめます。
証券コードは1878であり東京証券取引所のプライム市場および名古屋証券取引所のプレミア市場に上場しています。
単元株数は100株であり決算期は毎年3月31日を末日とする3月期決算を採用しています。
株主優待については2025年3月時点において用意されており100株以上を保有する株主に対して自社グループ管理物件の仲介手数料割引券やグループ関連サービスの利用クーポンなどが贈呈されます。
配当方針については連結配当性向50パーセントを基本方針として掲げています。
業績に応じた利益還元を行う方針であり安定配当と業績連動を組み合わせながら自己株式の取得も機動的に実施する考え方が示されています。
株価水準については2026年2月時点でおよそ1万6000円台から1万7000円台で推移しています。
この株価と単元株数から算出した最低投資金額の目安は売買手数料を除いておよそ160万円から170万円となります。
なおこれらの数値は変動するため投資判断の際は最新の株価および公開情報を必ずご自身でご確認ください。
未来展望と注目ポイント
大東建託は今後の成長に向けて大東建託グループ中期経営計画2024-2026を策定して事業を推進しています。
この計画は2025年3月期から2027年3月期までの3ヵ年を対象としており最終年度には連結売上高2兆円を目指しています。
さらに連結営業利益1200億円と自己資本利益率20パーセント以上の維持および賃貸住宅管理戸数130万戸という意欲的な数値目標を掲げています。
注力領域としては全棟ZEH化の推進や太陽光発電の標準搭載といった環境対応住宅の拡大が挙げられます。
また北米や東南アジアでの不動産開発を通じた海外不動産事業の拡大や居住者向けアプリであるruumを活用した生活関連サービスのマネタイズも成長ドライバーとして位置づけています。
投資計画として同中期経営計画の期間中に総額約1000億円の戦略投資枠を設定しています。
その内訳はM&Aおよび新規事業投資に500億円とITやデジタル領域への投資に200億円および環境や技術開発投資に300億円を振り分ける計画です。
経営陣は2035年長期ビジョンにおいて従来の建設や管理という枠組みを超え防災や省エネのインフラを一体で提供する暮らしの総合サービス企業へ進化する方針を示しています。
コメント