企業概要と最近の業績
株式会社城南進学研究社
【全体の業績】
株式会社城南進学研究社は、神奈川県や首都圏を地盤に、現役高校生向けの「河合塾マナビス」のフランチャイズ運営や個別指導塾「城南コベッツ」を展開する教育サービスの専門企業です。
同社は、映像授業や個別指導といった「学習塾事業(教育事業)」を中核としつつ、乳幼児の能力開発を目指す「くぼたのうけん」や認可保育園の運営を行う「児童教育部門」、オンライン学習教材「デキタス」などの「デジタル教材・ソリューション事業」、さらには「スポーツ事業(スイミングクラブ等)」まで多角的に手がけ、総合的な教育ソリューションを提供するビジネスモデルを展開しています。
少子化や競争激化を背景に厳しい経営環境が続いていましたが、不採算拠点の整理などの構造改革が実を結び、同社の2026年3月期通期連結業績は、売上高が前の期比0.1パーセント微減の56億2100万円とほぼ横ばいを維持しました。
しかし利益面においては、営業損益が7700万円の黒字(前の期は2億3000万円の赤字)、経常損益が8000万円の黒字(前の期は2億2800万円の赤字)、親会社株主に帰属する当期純損益は400万円の黒字(前の期は4億2000万円の赤字)を記録しました。減損損失を処理しつつも、すべての段階利益において前事業年度の巨額赤字から見事に浮上し、4期ぶりの黒字転換を達成する劇的なV字回復の決算を示しました。
この業績結果をもたらしたセグメント別の客観的な要因として、まず主力の「教育事業」における「映像授業部門(河合塾マナビス)」の牽引が挙げられます。同部門では、受験生の生徒数増加に加えて途中退学者の抑制が想定通りに進捗したことで、前年を上回る堅調な売上を記録しました。
一方で、個別指導の「城南コベッツ(直営店)」や幼児向けの「キッズブレインパーク」などでは、前期に実施した不採算教場の整理統合や受験学年の減少が影響し、部門ベースでの売上高は前期を下回りました。しかし、城南コベッツのフランチャイズ(FC)教室においては、新規開校や既存教室の生徒数拡大が順調に進み、全体の底支えに貢献しました。
利益面が劇的に黒字化へ転換した背景には、企業側が断行した徹底的な構造改革と固定費削減が大きく寄与しています。同社は前期、採算性の低い特定の直営拠点を大胆に統廃合・整理する「スクラップ&ビルド」を進めました。
これにより、店舗運営に関わる地代家賃や水熱費、講師の労務コストといった固定費負担の削減(スリム化)が年間を通じて大きく進捗し、減収影響を完全に吸収して本業の収益性を劇的に改善させました。
この財務・収益体質の改善を背景に、株主還元としても大きな進展が見られました。前の期は無配を余儀なくされていましたが、2026年3月期は普通配当5円に記念配当2円を加えた1株当たり7円での「復配」を実施しました。また、手元流動性を確保したことで、現金及び現金同等物の期末残高は前年同期比13.0パーセント増の17億62億円へと潤沢に拡大しています。
次期(2027年3月期)に向けては、保育事業の効率的な拡大やデジタル・総合型選抜対策(「推薦ラボ」等)の深耕を軸に、売上高57億3100万円(前期比2.0パーセント増)、経常利益1億3300万円(前期比66.3パーセント増)と、筋肉質化した収益基盤をもとに「大幅な連続増益」を見込むなど、構造改革によるウミ出しを完了し、再成長軌道へと力強く舵を切ったことを証明する決定的な客観的事実となりました。
【参考文献】https://www.johnan.co.jp/ir
価値提案
学習効率を高めるAI教材と、講師の個別指導を組み合わせることで、一人ひとりの理解度に合わせた指導を行いやすくしています。
これは従来の集団塾ではカバーしきれない細やかなサポートを提供し、生徒や保護者からの満足度向上につながっています。
特に、短時間で効率的に学習できるAIの利点と、講師が寄り添いながらモチベーションを高める対面サポートの融合が、同社の大きな強みです。
【理由】
なぜそうという背景には、競合する塾が多い首都圏などで差別化を図る必要性と、少子化によって一人ひとりの生徒のニーズに合わせた付加価値を高めることが必須となった事情があります。
主要活動
主力となる個別指導塾の運営では、城南コベッツを中心にフランチャイズも含めた教室展開を行っています。
さらに、高校生向けの映像授業「河合塾マナビス」の運営サポートや、乳幼児教育「くぼたのうけん」の教室展開など、多面的に教育サービスを展開している点が特徴です。
【理由】
なぜこれらの活動が重要になったかというと、学年や年代によって求められる学習形態が大きく異なり、幅広いニーズに対応できる企業へと成長するためには、小学生から高校生、さらには乳幼児まで網羅する必要があったからです。
こうした多角的な活動を通じてリスクを分散し、各年代を横断する学習データやノウハウを蓄積できるようになりました。
リソース
同社が活用しているリソースは、AI教材「atama+」やオンライン学習システムなどのITインフラと、長年の受験指導を通じて培ってきた教育ノウハウです。
さらに、多くの教室を運営するための人材や、保護者や生徒とのコミュニケーションを円滑に行うシステムも重要なリソースといえます。
【理由】
なぜこうしたリソースが強化されるきっかけとなったのかというと、競合他社との違いを出しながら生徒数を増やすために、ITを活用して指導の質を向上させる必要があったためです。
特に近年ではオンライン対応が必須になったことで、教室運営以外にもさまざまな学習方法を実現するリソースを整備してきました。
パートナー
フランチャイズオーナーや教育関連企業との連携が挙げられます。
たとえば、大手予備校の河合塾との協力で映像授業のクオリティを高め、各地域のフランチャイズオーナーが運営する教室にノウハウを提供することで、スピーディーに地域網を拡大しています。
【理由】
なぜこれらのパートナーシップが必要となったのかというと、単独での教室展開では限界があることや、高品質の教材コンテンツを自社だけで開発するには時間とコストがかかりすぎるという理由があります。
外部リソースを効果的に活用し、コストを抑えながらサービスを充実させるため、パートナーとの協力体制は欠かせません。
チャンネル
城南コベッツなどの対面教室と、映像授業やオンライン学習システムが主要なチャンネルです。
保護者や生徒が同社サービスを知るきっかけとして、インターネット広告や口コミも活用されています。
【理由】
なぜチャンネル戦略を多面的にするのかというと、少子化による生徒数の取り合いが激化するなかで、オンラインとオフラインの両方を使って認知度を高める必要があるからです。
特に新型感染症の影響でオンライン授業のニーズが大幅に高まったため、多様なチャンネルを用意することで顧客接点を増やし、学習形態の選択肢を広げる狙いがあります。
顧客との関係
個別指導や進路相談、保護者面談を通じて、丁寧なコミュニケーションを重視しています。
講師が生徒の理解度を把握するだけでなく、保護者とも定期的に情報共有を行い、目標設定や学習計画を確認しています。
【理由】
なぜこうした関係が重視されるのかというと、教育サービスでは保護者の信頼が生徒の継続利用につながる大きな要因だからです。
また、AI教材を活用することで日々の学習データを細かく取得し、保護者に可視化した形で進捗を報告する手法が求められています。
これにより、教育サービスへの満足度を高め、リピートや口コミによる集客を期待しています。
顧客セグメント
小学生から高校生までと、その保護者層がメイン顧客であり、さらに乳幼児教育の「くぼたのうけん」が加わることで、生まれて間もない子どもを持つ保護者を含む幅広い層をターゲットにしています。
【理由】
なぜ幅広い顧客層に対応するのかというと、一つの年齢層のみを対象にすると少子化の影響をもろに受けやすいため、複数の学齢期にサービスを展開することでリスク分散を図っているからです。
また、早期教育から大学受験までを一貫してサポートできる体制が整えば、他社との差別化や長期的なブランド力の維持にもつながりやすいです。
収益の流れ
主な収益は授業料や教材費、そしてフランチャイズ収入です。
個別指導塾や映像授業を受ける際には月謝やコース料金が発生し、AI教材や専用テキストなどの学習資材費も加わります。
フランチャイズ形態をとる教室からは加盟金やロイヤリティなどを受け取り、企業全体の収益を支えています。
【理由】
なぜこうした収益構造になったのかというと、教育事業で安定的なキャッシュフローを生み出すには、継続的に利用されるサービスを多角的に提供することが重要だったからです。
複数の収益源を持つことで、単一事業の不調をカバーしやすくなっています。
コスト構造
コストとしては、人件費や教室の賃料といった施設運営費、そして教材開発費などが中心です。
とくに個別指導は講師の質を高めるために研修やスキルアップが必要となるため、人件費が大きな割合を占めます。
また、AI教材を導入する際のライセンス料やシステム維持費なども一定の負担になります。
【理由】
なぜこのようにコストが多様化しているのかというと、対面指導とデジタル教材の両方を扱いながら、高い教育効果を実現しようとしている戦略があるからです。
優れた講師と優れたシステムを同時に維持するために、投資バランスを調整することが課題です。
自己強化ループについて
同社には、AI教材を活用した指導の成果が上がることで評判が高まり、さらに生徒が増えて収益が拡大し、再びサービス品質向上への投資に回せるという好循環があります。
個別指導では、生徒の成績が上がると口コミや実績が広がりやすく、保護者の安心感も高まりやすいです。
このような自己強化ループをいかに加速させるかが大きなポイントで、特にAI教材や映像授業を通じて集まる学習データを、次の指導改善に役立てる仕組みが重要とされています。
さらに、小学生や乳幼児の段階から同社のサービスを利用してもらうことで、長期的な関係性が築かれ、追加のサービスを提供しやすくなります。
こうした流れをスムーズに回すためには、講師の指導力強化や保護者とのコミュニケーション改善、オンライン学習の使いやすさなど、多方面での取り組みが求められます。
採用情報
初任給や平均休日、採用倍率などの具体的な情報は公開されておらず、現時点では把握できませんでした。
教育業界は少子化による競争の激化が進む一方で、オンライン学習など新しい技術の導入が増えているため、人材の役割がますます重要になっています。
実際の待遇や働き方については、公式の採用ページや各種求人サイトで確認することをおすすめします。
株式情報
銘柄は株式会社城南進学研究社(4720)で、配当金は2025年3月期予想で0円となっています。
1株当たりの株価は2025年3月14日12時35分時点で238円でした。
配当重視の投資家には魅力が薄い状況ですが、企業としては赤字転落からの回復を図る段階であり、中長期的なビジネスモデル強化が株価にどう反映されていくかが注目ポイントです。
未来展望と注目ポイント
今後は少子化や教育のデジタル化がさらに進む中で、従来型の学習塾だけでは生徒を十分に集めにくくなる可能性があります。
そのため、城南進学研究社がAI教材やオンライン学習システムを活用し、個別最適化された学習体験をどこまで高められるかが大切になってきます。
乳幼児から高校生まで多様な年代を対象にしている強みを活かせば、長期にわたる学習サポートを提供しやすくなると考えられます。
特に、幼少期からの顧客接点を拡大することで、小学生・中学生・高校生と進んでいく過程で別のコースや追加サービスを提案する余地が広がるため、収益面での改善に期待が持てます。
また、財務体質を安定させるためには、スクラップアンドビルドで不採算事業を整理しながら、利益率の高いサービスを積極的に育てる必要があります。
市場環境の変化を的確に捉え、新たな付加価値を打ち出せるかどうかが、長期的な成長を左右するでしょう。



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