企業概要と最近の業績
オルトプラスはソーシャルゲームの開発や運営で知られ、長年にわたり数多くのタイトルを手がけてきた企業です。近年はブロックチェーン技術やOMOと呼ばれるオンラインとオフラインを融合させたビジネス領域にも積極的に進出し、従来のモバイルゲームだけにとどまらない多角的な事業展開を行っています。2024年9月期の売上高は35.16億円で、前年同期比で約19.9パーセント減少しました。加えて営業利益は4.52億円の赤字となり、長年のゲーム運営実績を持ちながらも、厳しい経営環境下での苦戦を余儀なくされています。既存タイトルの売上縮小や競合の激化などが背景にあると推測されますが、同社は新たな成長戦略として新技術の活用を掲げています。今後はブロックチェーンゲームの開発やIPOホルダーとの協業によるIPタイトルの強化が期待されており、これらの取り組みが業績回復のカギを握ると見られています。
ビジネスモデルの9つの要素と背景
価値提案
・オルトプラスはユーザーが長期的に楽しめるソーシャルゲームを提供することを第一のミッションとしています。豊富な運営ノウハウを活かし、イベントやアップデートを通じて飽きさせない体験を設計し続ける点が大きな特徴です。また、ブロックチェーンやOMOを活用した新しいエンターテインメントの価値を創出し、単なるゲーム提供にとどまらない次世代のデジタル体験を提案することも目指しています。
「なぜそうなったのか」については、スマートフォン向けゲーム市場が飽和しつつある中で、既存タイトルの運営のみでは収益拡大が難しくなっています。そこで新たな価値提案をもたらすために、ブロックチェーン技術やオフラインとの融合を模索し、ユーザーと事業者の双方にメリットをもたらす新領域を開拓しようとしているのです。
主要活動
・ソーシャルゲームの企画開発から運営までを一貫して行うことが中心的な活動です。特にゲーム内での定期的なイベントやキャンペーン、アップデートによるコンテンツ拡充が大きな特徴となっています。また、ブロックチェーン分野では新規ゲーム開発やNFT関連サービスの検討など、次世代プラットフォームでの取り組みにも注力しているのが近年の動向です。
「なぜそうなったのか」は、競合他社との違いを生み出すために、開発だけでなく運営にまで深く携わる垂直統合モデルが必要とされている点にあります。加えて、短期的な売上獲得だけでなく、長期的なユーザー定着を図る運営型のビジネスモデルが収益安定に結びつくという判断が背景にあります。
リソース
・10年以上のゲーム運営実績を積み重ねてきた開発チームのノウハウが最大の強みです。加えて、ソーシャルゲームのヒットタイトルを複数保有していた経験や、ブロックチェーンなど新分野への技術的な知見を高めている点も貴重なリソースとなっています。
「なぜそうなったのか」は、スマートフォンゲーム市場が成熟する中で、単に開発ができるだけでは差別化が難しくなっているためです。長年培ってきた運営のノウハウや、技術的に挑戦し続ける社風が新しいサービスを生み出す源泉になるという考えが根底にあります。
パートナー
・IPホルダーや技術パートナーとの協業が重要な柱です。人気アニメやキャラクターなどを活用することで、既存ファンを取り込む戦略を取ることも多く、大型IPとの連携はユーザー獲得やブランディングに大きく寄与します。ブロックチェーン領域では専門性の高い技術ベンダーやスタートアップ企業とのアライアンスを進め、新しい仕組みやサービスを共同で開発しています。
「なぜそうなったのか」は、オリジナルタイトルだけでは市場競争で優位に立ちづらいためです。協業によりマーケティングコストを下げつつ幅広いユーザー層へのリーチを狙い、さらに技術的な差別化を追求することで、限られたリソースを有効に活用できるという背景があります。
チャンネル
・主にスマートフォン向けアプリストアやオンラインプラットフォームを活用し、ユーザーと直接つながる仕組みを持っています。近年ではブロックチェーンゲーム向けの専用プラットフォームを意識し、新たなチャンネルを開拓する試みも始まっています。
「なぜそうなったのか」は、ユーザーの行動様式がオンライン中心に移行しているためです。従来はアプリストアが主流でしたが、NFTマーケットプレイスや独自プラットフォームなど、デジタル資産を扱う新興チャンネルへの対応が不可欠となっており、そこへの積極的な進出が求められています。
顧客との関係
・ゲーム内イベントやアップデート、SNS連携などを通じて継続的なコミュニケーションを図り、ユーザーの満足度を高めるよう心がけています。ユーザーコミュニティを育成することでゲームへの愛着を醸成し、結果的に長期的な売上維持を目指す構造です。
「なぜそうなったのか」は、ゲームビジネスは一度のヒットだけでは終わらず、いかに長期的にユーザーとつながり続けるかが重要だからです。ソーシャルゲームの収益は継続利用から生まれるため、運営型ビジネスにおいてはコミュニティ形成とユーザーエンゲージメントが欠かせません。
顧客セグメント
・ソーシャルゲームを好む幅広いユーザー層を対象としています。特にスマホゲームを日常的にプレイする若年層や中堅世代が中心ですが、ブロックチェーン技術に関心のあるユーザーも新たなターゲットとして取り込みを図っています。
「なぜそうなったのか」は、スマホゲーム市場が大衆化する一方で、飽和状態に近づいている現状があるためです。そこで新しい技術や経済圏に魅力を感じるユーザーを獲得することで、市場そのものの広がりを狙い、差別化につなげようとしています。
収益の流れ
・ゲーム内の課金要素やガチャ、期間限定アイテムなどを中心としたマイクロトランザクションが大きな収益源です。加えて広告収入や、将来的にはブロックチェーンゲームにおけるNFTの販売や独自トークンの発行など、多様な収益モデルの構築を見据えています。
「なぜそうなったのか」は、ソーシャルゲームでは基本プレイ無料のモデルが定着しており、ユーザーがゲームに慣れ親しむほど課金要素に魅力を感じる仕組みが有効だからです。新技術を使ったNFTなどは新たな収益柱となる可能性があるため、積極的に開発を進めていると考えられます。
コスト構造
・主にゲーム開発や運営を行う人件費と、継続的なアップデートやイベント運営にかかるコスト、ユーザー獲得に必要なマーケティング費用が中心です。ブロックチェーンなど未成熟な分野への投資もあり、研究開発コストが増加しているのが特徴です。
「なぜそうなったのか」は、運営型ビジネスでは継続的にコンテンツを供給する必要があるため、定期的な更新費やサーバー維持費などが固定費としてかかるからです。さらに新規事業へ挑戦するにあたり、専門人材の獲得や技術開発の予算も必要となり、短期的なコストが増していると考えられます。
自己強化ループの仕組み
オルトプラスが狙う自己強化ループは、新技術の導入や新規タイトルのローンチを通じてユーザー基盤を拡大し、その収益を再投資することで新たなプロジェクトや技術開発に乗り出すというサイクルです。ソーシャルゲーム市場はヒットタイトルを生み出すことで一気にユーザーを取り込みやすい半面、ライフサイクルが短い傾向もあります。そのため、ヒット作だけに頼らず、ブロックチェーンなどの先端技術を武器に次の成長機会を常に作り出すことが必須です。このサイクルが安定して回り始めると、収益がさらに開発力を高め、開発力がまた新たなユーザーを呼び込むという好循環につながります。特にNFTやデジタル資産が普及していけば、新しい体験価値を求めるユーザーが増え、その結果として既存ゲームユーザーとの相乗効果も期待できます。
採用情報
初任給に関しては非公開となっており、具体的な金額は公表されていません。ただし、年間休日は122日程度とされており、ワークライフバランスに配慮した制度づくりを意識しているようです。また、採用倍率も正式には明らかではありません。ゲーム業界は優秀なエンジニアやプランナーを含む専門人材の確保が課題となりやすいため、オルトプラスが提示するワークライフバランスやキャリアパス、最新技術に携われる環境がどのようにアピールされるかが今後の採用戦略のポイントだと考えられます。
株式情報
銘柄コードは3672で、2024年9月期の配当は見送られています。1株当たり株価は2025年1月30日時点で47円となっており、赤字決算や市場環境を背景とした低迷が続いている印象です。投資家目線では、今後のブロックチェーン領域への展開や新作ゲームのヒットが見込めるかどうかが大きく株価を左右する要因になりそうです。配当よりもキャピタルゲインを重視する投資スタンスが求められる可能性があります。
未来展望と注目ポイント
今後、オルトプラスの事業が軌道に乗るかどうかは、ブロックチェーンゲームやOMO事業がどの程度成果を挙げられるかが大きなカギを握ると考えられます。新技術を用いたゲームにおいては、単なる課金モデルではなく、ユーザー同士がアイテムを交換したり、二次流通が発生したりといった全く新しい収益機会を生むことが可能です。また、OMO事業ではオンラインとオフラインを連携させたプロモーションやイベントを実施し、新たな顧客接点を創出することが期待できます。ただし、それらの取り組みには一定の投資期間が必要となり、開発リードタイムの長期化や不確定要素も少なくありません。大きく伸びるかどうかは早期に魅力的な成果物を出せるかにかかっており、ユーザーと投資家の注目度はますます高まっています。既存のゲーム運営ノウハウとの相乗効果を最大限に活かしながら、新技術に精通した人材の育成や獲得をどれだけ進められるかが、オルトプラスの成長を左右する要因となりそうです。
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