企業概要と最近の業績
ベルグアース株式会社
【全体の業績】
ベルグアース株式会社は、野菜の接木苗の生産・販売を中心に、独自の栽培・環境制御技術を強みとする農業ベンチャー企業であり、高品質な苗を安定的に供給する基盤を構築しています。
主力の苗事業では、天候に左右されにくい閉鎖型育苗生産システムを活用し、トマトやキュウリなどの高付加価値な接木苗を全国の生産者へ届けているほか、海外への技術供与や資材販売などアグリビジネスの領域を多角的に広げ、持続可能な農業を支える存在として確固たる地位を築いています。
このような強固な事業基盤を持つ同社の最新の通期決算における業績は、売上高が6,619百万円となり、前年同期に比べて11.3パーセントの増収を記録しました。
本業の儲けを示す営業利益は123百万円となり、前年同期の赤字から黒字に転換する大幅な改善を達成しています。
また、経常利益については158百万円を計上し、前年同期比で417.8パーセントの大幅な増益となりました。
最終的な経営成果である親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比42.5パーセント減の26百万円にとどまっています。
この業績結果をもたらした要因としては、原材料価格やエネルギーコスト、物流費の上昇といった厳しい外部環境が継続したものの、主力の接木苗において品質の安定化に伴う受注が好調に推移し、販売数量が順調に伸びたことが寄与しました。
さらに企業側が徹底して進めた生産工程の効率化や原価低減施策、さらには段階的な価格改定効果が功を奏し、売上高や営業利益、経常利益の大幅な改善に繋がった一方で、特別損失として一部の設備や拠点の減損損失を計上したことが響き、当期純利益については前年同期を下回る結果となりました。
【参考文献】https://www.bergearth.co.jp/ir
価値提案
ベルグアース株式会社は病害虫に強く気象ストレスに耐え収量が大幅に増加する断根接ぎ木苗を安定供給しています。
この高度な技術により農家の収益向上と煩雑な育苗作業の省力化を同時に実現することが同社の最大の価値提案です。
【理由】
なぜそうなっているのかというと農家が種から自力で育てる場合連作障害や病害リスクが高く負担が極めて大きいためです。
同社は苗を作る時代から買う時代へ農業を転換させ自らが供給責任を担うことで農業を儲かる産業にすることを目指しています。
具体的な裏付けとして年間生産量2900万本という日本最大規模の接ぎ木苗生産量を誇り市場を牽引しています。
また熟練スタッフの手作業による接ぎ木活着率99パーセント以上という驚異的な精度を達成し高品質を担保しています。
さらに千葉大学と共同研究した環境制御の閉鎖型育苗生産設備を活用し無農薬のクリーン苗を提供できる点も強力な付加価値です。
主要活動
同社の主要活動は受注に基づく種子の手配から一次育苗そしてミリ単位での手作業による接ぎ木やハウスでの二次育苗に及びます。
徹底した定植スケジュールに合わせた出荷管理に加え次世代に向けた植物ワクチンの研究開発も重要な活動分野です。
【理由】
なぜそうなっているのかというと苗は種と違って保存がきかず農家の希望する定植日に合わせてミリ単位の成長調整をしなければ商品価値を失うためです。
厳格な工程管理と緻密な計画生産が同社の品質とブランド力を支える根幹の活動となっています。
活動規模の裏付けとして自根苗などを含めた年間約3400万本の全苗生産量を一元管理し全国へ供給しています。
またベルグ福島ワクチン研究所を通じたワクチン接種苗の独自開発も進めており技術革新の手を緩めていません。
さらに伊予農産のMアンドAによる農資材や新品種開発への展開も同社の主要活動の幅を大きく広げる要因となっています。
リソース
事業を根底から支える主要なリソースは全国に展開する農場インフラ網と高度な接ぎ木技術を持つ熟練スタッフです。
さらに最先端の環境制御技術を備えた独自の育苗設備も同社にとって欠かせない重要な経営資源となっています。
【理由】
なぜそうなったのかというと天候リスクを地理的に分散させると同時に輸送によるデリケートな苗の劣化を防ぐためです。
全国各地の産地に鮮度の高い苗を迅速に届けるためには広域をカバーする強固なインフラ網が必要不可欠でした。
具体的なリソースとして愛媛県の本社農場だけでなく長野県や岩手県および茨城県に直営4農場を展開し生産拠点を分散しています。
人的資本としては2025年10月期末時点で連結従業員数231名を抱え高度で繊細な手作業を全社で支えています。
また2006年に稼働した三菱樹脂アグリドリームとの共同開発による日本最大級の閉鎖型育苗施設が圧倒的な生産基盤となっています。
パートナー
同社は全国各地の提携パートナー農場や大手種苗メーカーおよび農業資材メーカーや大学等の研究機関と強固なネットワークを構築しています。
【理由】
なぜそうなっているのかというと自社直営拠点の生産能力の限界を補い繁忙期と閑散期の差を柔軟に平準化するためです。
また異業種が持つ最先端のノウハウを吸収し植物ワクチンや花および果樹苗などの高付加価値製品を効率的に生み出す狙いもあります。
提携の具体例として全国に約30ヶ所あるパートナー農場と密に連携し巨大な生産網と供給体制を確立しています。
また2019年に株式会社サカタのタネから長野セルトップの花苗育苗事業を譲受し事業領域を花卉分野へと拡大しました。
海外展開においては株式会社ホーブといちご苗事業での中国展開における業務提携を結びグローバルなパートナーシップも強化しています。
チャンネル
ベルグアース株式会社は農業協同組合や地域の種苗店を介した強固な卸売ルートをメインの販売チャネルとしています。
これに加えて直営農場から営利農家への直販や直接配送および展示会や説明会等の対面営業チャネルも戦略的に活用しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと農業界における資材流通は農業協同組合などの系統組織や地域密着型の種苗店が長年の強い地盤を持っているためです。
これら既存の流通網と競合せず協調して全国の農家に効率よくアクセスする商流を構築することが最も合理的でした。
チャネルを支える独自の仕組みとして日立キャピタルと提携した代金決済システムであるエソックスを導入し日々の取引を円滑化しています。
また全国21ヶ所以上の提携農場をハブとした地域密着型の配送網を整備し鮮度を保ったまま迅速に納品しています。
さらに岩手県花巻市の地元企業バーチャル見学会などのPR活動を通じて地域社会や新規顧客との接点も積極的に増やしています。
顧客との関係
同社は単に苗を納品するだけでなく生育や天候状況の事前のヒアリングから始まり納品後の生育状況確認まで農家に長期間伴走する育てる営業を行っています。
【理由】
なぜそうなっているのかというと農家にとって苗選びはその年の全収入を決める命がけの意思決定だからです。
一度の失敗が経営の致命傷になるため強い信頼関係と密なコンサルティングが継続的なリピート受注の絶対条件となります。
この真摯な姿勢はマイナビ転職の2026年6月掲載情報に記載された売って終わりじゃない寄り添う提案という営業方針にも色濃く表れています。
さらに2010年に開始した青果流通事業では地元スーパー等へ農作物の販売仲介まで行い農家の出口戦略まで包括的にサポートしています。
定期的な展示会や勉強会を通じた最新トレンドの提案も行い顧客との長期的なパートナーシップを強固に築き上げています。
顧客セグメント
同社の主な顧客は全国のプロの営利農家を中心に農業協同組合や種苗店およびホームセンターや家庭園芸愛好家まで多岐にわたります。
【理由】
なぜそうなっているのかというとトマトやキュウリなどの果菜類はプロ農家の収入の根幹を成す主要作物だからです。
少々高価であっても病気に強く確実に高い収穫量が見込める高品質な接ぎ木苗に対するニーズが絶えない市場構造が存在します。
実績として同社が生産する接ぎ木苗の約90パーセントが徹底したハウス生産を行うプロの営利農家向けに優先して出荷されています。
この厳しい基準が求められるプロ向け市場において国内主要果菜接木苗の市場占有率約15.0パーセントという既存シェアを強固に獲得しています。
近年はファンガーデンという実店舗をB2Cマーケティングの重要拠点として活用し伸びゆく家庭菜園需要の開拓にも注力しています。
収益の流れ
収益の柱はオーダーメイドによる単価の高い接ぎ木野菜苗および自根苗の販売売上でありこれが全社の業績の中核を担っています。
それに加えて周辺の農業資材の販売収益や青果流通事業における販売仲介手数料が全体の収益源を構成しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと単なる苗の薄利多売モデルから脱却し収益性を根本から高める必要があったためです。
環境対応の資材販売やワクチン接種苗などの高付加価値商品へと事業領域を広げることで全社的な利益率の底上げを戦略的に図っています。
数値の裏付けとして2026年10月期第2四半期累計の売上高3496百万円の大半をこの中核である苗事業が安定して稼ぎ出しています。
またオリジナル品種であるデリシャストマトなど単価の高い独自ブランド青果商品の販売も収益の上積みに貢献しています。
これら複合的な収益モデルにより中期経営計画では2028年10月期に営業利益率3.5パーセントへの改善目標を掲げて収益構造の転換を進めています。
コスト構造
コスト構造の大部分は手作業で行われる緻密な接ぎ木作業に関わる多大な労務費すなわち人件費が占めています。
さらに種子や培土等の仕入原価や冬場の温室ハウス稼働に欠かせない燃料費および光熱費そして鮮度維持のための物流費が主体です。
【理由】
なぜそうなっているのかというとミリ単位の精度が求められる接ぎ木工程を完全には機械化しきれず極めて労働集約的であるためです。
また天候に左右されない環境制御を実現するために年間を通して膨大なエネルギーコストが不可避な産業構造となっています。
この重いコスト負担の影響で2023年10月期実績の営業利益率は1.1パーセントという薄利な構造となっていました。
これを打破するため中期経営計画ではAI技術を用いた最新の設備や機械装置の導入による抜本的な人件費削減を打ち出しています。
閉鎖型育苗施設における光や温度および二酸化炭素の完全制御コストをいかに最適化するかが今後の経営の鍵を握っています。
自己強化ループ
ベルグアース株式会社の成長は全国への生産拠点の拡大とデータの蓄積がもたらす独自の好循環によって力強く加速しています。
まず直営4拠点と約30の提携パートナー農場による全国網を展開することで他社にはない圧倒的な生産ロットを確保します。
この事業規模の拡大が種子や資材の大量調達による仕入コスト低減をもたらし同時に膨大な栽培データの蓄積によるさらなる品質向上を実現します。
高品質かつ低コストな苗の安定供給が可能になるとそれが全国の農家や農業協同組合からの信頼を集め新たな受注増を呼び込みます。
受注が増加して市場シェアが拡大すればそれが次の設備投資やMアンドAの潤沢な資金源となり再び生産拠点の拡大という起点に戻る強力な構造です。
実際にこの好循環が回っている証拠として現在の国内主要果菜接木苗の市場シェア15.0パーセントから2028年10月期には25.0パーセントへの拡大目標を掲げています。
また伊予農産等のグループ化によって年間生産量2900万本という圧倒的な日本一の実績を更新し続けておりループの強固さを示しています。
採用情報
ベルグアース株式会社の採用情報についてマイナビ転職や有価証券報告書などの2026年6月時点の公開情報をもとに解説します。
同社は総合職として営業職や生産管理職などにおいて未経験からの採用枠を積極的に設けて門戸を広げています。
2025年10月期末時点の従業員データによれば平均年齢は38.9歳で平均勤続年数は7.7年となっており平均年間給与は400万円です。
休日制度については2024年度実績で年間休日総数が117日確保されており農業法人としていち早く週休2日制などの労働環境の整備を進めてきました。
具体的な初任給の金額や直近3年の新卒採用人数および採用倍率については公式採用ページ等での詳細な公表は確認されていません。
しかしながら東証スタンダード上場企業としての透明性をアピールし慢性的な人手不足の農業界において優秀な若手人材を全国から獲得する姿勢を鮮明にしています。
選考フローや求める人物像の詳細な条件についても一部非開示ですが売って終わりじゃない寄り添う提案ができる高いコミュニケーション能力が重視されます。
株式情報
ベルグアース株式会社は東証スタンダード市場に上場しており企業の証券コードは1383です。
株式の売買単位である単元株数は100株に設定されており決算期は毎年10月期となっています。
同社は株主還元の一環として魅力的な株主優待制度を導入しており毎年4月末時点の株主を対象に実施しています。
100株保有の株主は5000円相当のメロン2玉セットや3500円相当のトマト栽培セットおよび1000円分のクオカードなど全8種類から好みの優待を選択できます。
配当方針については具体的な配当性向の目標数値は公表されていませんが安定した配当の継続を基本方針として掲げています。
株価水準については2026年7月時点で単元株数から算出した最低投資金額がおよそ数十万円台の範囲で推移していると考えられます。
個人投資家への還元を通じて自社製品を実際に味わってもらい農業界への理解を深める安定株主やファン作りの側面も持っています。
なお株価や配当利回りなどの数値は日々変動するため実際の投資判断の際は最新の情報を必ずご自身でご確認ください。
未来展望と注目ポイント
同社は2024年から2028年を対象期間とする中期経営計画において農業から製造業への転換というスローガンを強力に推進しています。
この計画の中で2028年10月期に売上高8000百万円そして営業利益280百万円という意欲的な数値目標を掲げ成長を加速させます。
今後の成長ドライバーとして特に注目されるのが株式会社微生物化学研究所との共同研究によるベルグ福島ワクチン研究所の設立です。
ここでは高付加価値な植物ワクチン接種苗の拡販を目指しており従来の苗にない機能性で他社との差別化を図ります。
さらに深刻な労働力不足と原価高騰に対応するためAI生産ロボットを積極的に導入し労働集約型の工程をDX化する設備投資も重要なポイントです。
国内市場の深耕だけでなく中国などの東アジアを睨んだグローバル展開の再構築も視野に入れており苗事業の枠を超えた総合アグリビジネス企業としての飛躍が期待されます。



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