企業概要と最近の業績
株式会社Ubicomホールディングス
2026年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が22億2,500万円となり、前年の同じ時期に比べて15.3%の増収となりました。
営業利益は4億1,100万円で、前年同期比で18.1%の増益でした。
経常利益は4億4,000万円(前年同期比24.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は3億1,000万円(前年同期比25.5%増)と、2桁の増収増益を達成しました。
この好調な業績は、主力であるグローバル事業において、フィリピンを拠点とした金融機関向けのシステム開発が引き続き堅調であったことが主な要因です。
また、メディカル事業においても、医療安全支援システムの導入が安定的に進んだことが業績に貢献しました。
価値提案
Ubicomホールディングスは、組込みソフトウェアやアプリケーション開発といった高度な技術サービスをワンストップで提供しています。
医療機関向けのレセプト点検やクラウドサービスなど、専門性の高いITソリューションを展開し、AIや自動化技術を活用することで、顧客企業や医療機関の生産性向上やコスト削減をサポートしています。
【理由】
UbicomホールディングスはIT技術者と医療分野の専門家をバランスよく揃え、顧客が求める付加価値を具現化できる組織体制を整えました。
一般的なIT企業が提供する開発支援だけでなく、医療現場に根差したソリューションも手掛けることで、他社との差別化を実現しています。
また、AIや自動化技術を用いてサービスの効率や品質を高める方針を打ち出し、顧客企業に「高品質なIT技術と現場視点のコンサルティング」を提供できる点が評価されています。
こうした取り組みにより、単なる技術提供ではなく「課題解決型の価値提案」を行うことが成長を後押ししていると考えられます。
主要活動
ソフトウェア開発および品質保証サービスの提供。
医療機関向けのシステム開発やレセプト点検サービスの運営。
AIを含めたテクノロジーコンサルティングや業務自動化支援。
【理由】
IT分野では単なるコーディング業務だけでなく、上流工程から下流工程まで一貫して対応できる企業が競争優位を得やすいとされています。
Ubicomホールディングスは、組込みソフトウェア開発やアプリケーションテストなどの幅広い専門領域を確立することで、顧客企業からトータルで相談を受けられる体制を築きました。
一方、医療現場ではレセプト点検や医療データ分析といった領域が複雑化しており、専門サービスが求められています。
そこで同社は医療ITのノウハウを独自に強化し、医療機関に対して効率化やコスト削減につながる実践的なサービスを提供することで主要活動の柱を確固たるものにしました。
これら2つの事業がリスク分散とシナジー創出をもたらし、安定的な成長を支えています。
リソース
高度なITスキルを持つ技術者やコンサルタント。
AIや自動化技術などの研究開発リソース。
医療専門家や医療制度に精通したスタッフ。
【理由】
顧客の課題を解決するには、優秀な人材を確保・育成することが不可欠です。
同社は上場企業としての信頼性と成長性を背景に、多様な人材を採用し、社内教育を進めています。
特に組込み系の高度な技術者や、医療現場の専門知識を持つ人材など、ニッチで専門性の高いスキルセットを持った社員が多いことが強みです。
また、AI研究開発への投資を続けることで、時代のニーズに合ったサービスを生み出しやすい環境を整備しています。
こうしたリソース戦略により、ITと医療の両面で付加価値の高いサービスを展開し、顧客からの信頼を獲得しています。
パートナー
医療機関や関連企業との連携。
AI開発や自動化技術での企業連携や業務提携。
システム開発を補完する外部ベンダーやソフトウェアツール提供企業。
【理由】
ITと医療の融合を強みに掲げる同社にとって、医療機関との緊密な連携は欠かせません。
医療分野は規制や制度改定の影響が大きく、最新の法規や診療報酬制度に対応しなければサービス価値が落ちてしまうためです。
そこで、同社は医療機関や制度に詳しいパートナーと協力関係を築くことで最新情報を共有し、顧客ニーズに即したソリューションを開発しやすい環境を作っています。
また、AIや自動化技術の領域では、専門ベンダーとの共同研究やデータ活用のための提携を積極的に進めており、自社だけではカバーしきれない技術やノウハウを取り込むことでサービスの幅を広げています。
チャンネル
直接営業によるBtoB提案。
オンラインでのサービス提供やクラウド型ソリューション。
パートナー企業経由や共同プロジェクトなどの間接的アプローチ。
【理由】
高度なソフトウェア開発や医療向けサービスを提供するには、顧客との密なコミュニケーションが必要です。
そのため、直接営業を通じて企業や医療機関の経営陣や現場担当者とやり取りを行い、課題を深掘りする仕組みが整えられています。
一方で、SaaSモデルやクラウドサービスなどのオンラインチャンネルを活用することで、導入のハードルを下げ、運用面の効率化を図ることにも力を入れています。
また、大手企業や行政機関との共同プロジェクトを通じて実績を積むことで、広範な顧客層にアプローチできる点もチャンネル戦略の一翼を担っています。
顧客との関係
長期的なパートナーシップを前提としたコンサルティングや運用支援。
技術サポートや追加開発の継続提供。
新サービスの共同検討やPoCの実施による関係強化。
【理由】
ITや医療システムにおける導入後の運用は、長期間にわたりサポートが必要となるケースが多いです。
Ubicomホールディングスは単発の開発案件にとどまらず、導入後の保守・運用や追加改修を継続的に行い、顧客の課題が変化するたびに新たなサービスを提案する形で関係を深めています。
また、AIや分析などの分野では新技術の検証が必要とされるため、PoCを通じて顧客と協力しながら技術の有効性を確認する機会を作ることが、長期的な信頼構築につながっています。
このように継続的なコミュニケーションを重視する顧客戦略が、安定した収益基盤の形成に寄与しています。
顧客セグメント
製造業など組込みソフトウェアの開発ニーズが高い企業。
医療機関や関連団体。
AIや自動化技術を活用した業務改革を進めたい法人顧客。
【理由】
創業当初から組込み系のソフトウェア開発を得意としており、自動車や家電など大手製造業を対象に受託開発を行ってきました。
その流れをくみつつ、医療分野に特化したITソリューションを強化したことで医療機関からの需要も取り込みやすくなりました。
さらに、近年ではDXの加速によりAIや自動化の導入を検討する企業が増えており、Ubicomホールディングスが培った技術やノウハウは多様な業界で活用できるものとなっています。
このため、製造業だけでなく幅広い業種の法人顧客に向けたサービス提供が可能になり、ビジネスチャンスが拡大しているのです。
収益の流れ
プロジェクトベースの開発受託収益。
クラウドサービスやメディカル支援サービスのサブスクリプション収益。
コンサルティングやAI分析の追加課金収益。
【理由】
もともとはプロジェクト型の受託開発が主要な収益源でしたが、売上を安定させるためには定期的な課金モデルが不可欠という認識が高まっていました。
そこで、医療機関向けレセプト点検やクラウド型ツールを提供することで、サブスクリプションとして継続課金が可能になりました。
また、AIやデータ分析を活用したサービスやコンサルティングは、プロジェクト終了後も追加のカスタマイズやデータのアップデートが求められることが多く、これが新たな収益源となっています。
こうした多角的な収益モデルにより、景気変動や単発案件の増減に左右されにくい経営基盤を築いている点が大きな特徴です。
コスト構造
技術者やコンサルタントの人件費。
AIなど研究開発関連の投資。
医療分野向けサービスを運用するためのシステム維持費。
【理由】
IT企業として最も大きなコスト要素は人件費となります。
特に高度なスキルを持つ技術者や医療専門スタッフを確保し育成するには、継続的な投資が欠かせません。
また、AIや自動化技術に関しては研究開発費を積極的に投入することで、差別化されたサービスを提供しやすい状況を作っています。
さらに、医療機関向けのシステム運営には、法制度変更への対応やセキュリティ強化など一定のコストがかかります。
こうした要素を総合的に考慮しながら、同社はコスト効率を高めるための自動化や業務標準化を進め、利益率を確保しつつ成長を続けているのです。
自己強化ループ(フィードバックループ)
Ubicomホールディングスでは、AIや自動化技術を活用したサービスを提供することで、まず顧客の業務効率や品質を向上させています。
顧客がその効果を実感すると、追加のプロジェクトや新規サービス導入の依頼が増える可能性が高まります。
また、運用や保守の段階で蓄積されたデータは同社にとって貴重な財産となり、新たな機能開発や課題解決策の創出に活かすことができます。
こうしてさらに高付加価値なサービスを提供できるようになると、顧客満足度が向上し、口コミや実績紹介などを通じて新規顧客の開拓につながるのです。
結果として、同社の売上増と技術的アセットの拡充が連鎖的に進行し、自己強化の好循環を生み出しています。
特に医療機関向けのサービスでは、継続的なデータのアップデートやレセプト点検ノウハウの蓄積が今後のさらなる価値創造の源泉となっており、業界内での信頼度と存在感を高めることが期待されます。
採用情報
UbicomホールディングスではITエンジニアやコンサルタント、医療事務分野のスペシャリストなど多様な人材を求めているとされています。
ただし、初任給や平均休日、採用倍率といった具体的な数字は公表されていません。
採用サイトや求人情報などでは、先端技術や医療現場に関わるやりがい、自己成長の機会が強調されるケースが多いようです。
エンジニアとしてキャリアアップを目指す人や、医療機関のデジタル化に貢献したい人材にとっては、幅広いチャレンジができる職場環境といえます。
募集要項などは変動する可能性があるため、最新の情報を随時チェックすることが望ましいでしょう。
人材育成を重視する姿勢が見られるため、今後も積極的に新卒・中途の採用活動を進めていくと考えられます。
株式情報
同社は証券コード3937で上場しており、2025年3月期末に40円の配当金を予定しています。
前期は13円だったため大幅な増配が予想される点が注目されています。
株価は2025年1月28日時点で1株あたり1,353円となっており、高配当株としての魅力も高まりつつあります。
IR資料からは、既存事業の拡大だけでなく新規事業への投資意欲も感じられるため、今後の成長見込みや収益拡大に伴うさらなる株主還元が期待されます。
投資家としては、テクノロジーコンサルティングとメディカルの両事業がどの程度バランス良く成長し、利益率やキャッシュフローを継続的に向上させられるかが投資判断のポイントとなりそうです。
未来展望と注目ポイント
UbicomホールディングスはIT分野と医療分野を軸に、両領域を掛け合わせたサービス提供に強みを持つ企業へと進化しています。
AIや自動化技術への投資を惜しまず、人材教育に力を入れることで、中長期的な市場ニーズの変化にも柔軟に対応しやすい体制を整えています。
特に医療分野では高齢化や規制強化などを背景に、システム最適化や業務効率化のニーズが拡大しており、同社のメディカル事業はさらに重要性を増していくと考えられます。
今後はレセプト点検だけでなく、診療データの高度な分析や患者向けサービスへの展開など、新しい付加価値の創出余地も大きいでしょう。
また、IoTや5Gの普及が進む製造業分野でも、組込みソフト開発や品質保証のニーズは拡大が見込まれます。
こうしたトレンドに先手を打った技術開発や協業戦略を構築できれば、さらなる成長が期待できます。
全体としては、ビジネスモデルの多角化と持続的な技術革新を両立する経営姿勢が、今後の株価や業績に大きく寄与すると見られています。
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