株式会社船場の魅力に迫る 成長戦略を支えるビジネスモデルの秘密

サービス業

企業概要と最近の業績

株式会社船場

当社は、ショッピングセンターや専門店、飲食店、オフィスといった商業空間の創造を専門とする企業です。

事業内容としては、空間づくりの川上から川下まで、コンサルティングや企画、デザイン・設計、施工、メンテナンスまでを一貫して手掛けています。

「エシカルデザイン」を経営の軸とし、サステナビリティを重視した、人や環境、社会にとって良い空間づくりを目指していることが大きな特徴です。

2025年8月8日に発表された2025年12月期第2四半期の決算短信によりますと、売上高は114億6,600万円となり、前年の同じ時期に比べて6.7%の減収となりました。

営業損益は3億6,600万円の損失となり、前年同期の3,900万円の利益から赤字に転落しました。

経常損益も3億4,500万円の損失(前年同期は4,900万円の利益)となっています。

これは、一部の大型案件で着工の遅れが生じたことや、建設資材価格の高騰が続いていることなどが主な要因です。

【参考文献】https://www.semba-hd.co.jp/ja/index.html

価値提案

株式会社船場が提供している価値は、ただ空間を作るだけでなく、お客さま企業のブランディングや利用者の満足度、各施設の個性を最大限に引き出す空間づくりです。

利用者が心地よさを感じるデザインや、リピートにつなげる導線設計など、独自のノウハウを積み重ねてきました。

さらに、「未来にやさしい空間」を重視しており、省エネやエコ素材の活用をはじめ、ユニバーサルデザインの観点も取り入れています。

これは、企業が持続的に社会から支持されるために必要な姿勢であり、ESGへの関心が高まるなかで、特に注目度が増しています。

【理由】
長年にわたって商業施設や公共施設など幅広い分野のプロジェクトを経験する中で、利用者の多様な要望を反映しながらも、社会や環境への配慮を同時に実現してきたからです。

主要活動

同社の主要活動は、大きく分けて4つあります。

1つ目は調査や企画、コンサルティングです。

立地条件やターゲットに合わせた施設づくりの方向性を提案します。

2つ目はデザインと設計、建物のレイアウトだけでなく、コンセプトに沿った内装や照明、設備などを設計します。

3つ目は制作と施工、設計したプランを実際に形にする工程で、資材選定や施工管理を担当します。

4つ目は開業後のサポートで、メンテナンスやリニューアル時の提案などがあります。

こうした活動は、お客さま企業と末永く付き合ううえで重要な工程です。

【理由】
ワンストップで対応できる体制を整えることで、プロジェクトの品質や納期、管理コストなどを最適化し、競争力を高めているからです。

リソース

リソースとしては、建築士やデザイナー、プロジェクトマネージャーなど、高い専門性を持った人材が挙げられます。

さらに、全国にある拠点や、グローバルに展開するネットワークも強みです。

これにより、海外ブランドの日本出店や、日本企業の海外店舗デザインなど、多様な案件に対応できます。

【理由】
創業以来、国内外で蓄積した実績をベースに、需要が増えるエリアや分野へ柔軟にリソースを集中させる方針をとってきたからです。

パートナー

同社が連携するパートナーとしては、建材メーカーや施工協力会社だけでなく、テクノロジー企業も含まれます。

例えば、VRを使った空間のシミュレーションや、BIM(Building Information Modeling)を導入することで、設計時におけるミスや無駄を減らしています。

【理由】
業界内競争が激化するなかで、お客さまへの提案力を高めるために、新技術の導入が欠かせないと判断したからです。

チャンネル

受注経路としては、大手企業との直接契約や、既存顧客からのリピートが中心です。

公式ウェブサイトや各種イベント、セミナーなどで新規開拓も行い、IR資料を通じて投資家や潜在的な取引先に向けた情報発信にも注力しています。

【理由】
過去の納入事例を見た企業が問い合わせをしてくるケースが多く、実績ベースの信頼感が営業面で強みを発揮するからです。

顧客との関係

プロジェクト単位でのコンサルティングや施工だけでなく、運営開始後のアフターフォローが長期的な収益の源泉となります。

改装や機能追加などのニーズが生じやすい業態(商業施設やホテルなど)を中心に、何年も続くパートナーシップを築いています。

【理由】
内装や設備は一定期間ごとに改修が必要となるため、トータル的なケアを提供する方が、お客さま企業にとってもメリットが大きいからです。

顧客セグメント

商業施設のディベロッパーや、外食産業、ホテル事業者、教育機関や医療施設などが主な顧客層です。

規模や業種が異なっても、ノウハウを活かしてアジャイルに対応できる点が評価されています。

【理由】
一つの業種に特化するのではなく、幅広い分野での実績を積んだことで、リスク分散と安定的な受注が可能になったからです。

収益の流れ

基本的にはプロジェクト単位の請負収益が軸ですが、コンサルティング費用、設計費用、施工費用、さらに開業後のメンテナンス料金や追加改装の発注など、多層的に売上を構成しています。

【理由】
一度開拓した顧客との関係を強化し、リピートや新規サービスを提供して収益を拡大するモデルが、長期的に安定しやすいからです。

コスト構造

人件費や資材調達費の割合が大きく、工期や資材価格の変動リスクを受けやすい業界です。

外注費や研究開発費もある程度かかりますが、設計や施工管理の内製化を進めて、利益率の向上を図っています。

【理由】
外部に頼らずワンストップの体制を整えることで、工程管理を効率化し、高品質とコスト競争力を両立させることが重要だからです。

このように、9つの要素は互いに関連し合い、同社のビジネスモデルを強固にしています。

自己強化ループ
自己強化ループの仕組みは、まず各プロジェクトで培ったノウハウが、次の案件への提案力向上に直結する点です。

商業施設ならテナント構成の最適化や、集客動線の作り方、飲食店なら店舗コンセプトの打ち出し方や、スタッフ導線の効率化など、過去に培った経験が活きます。

そうした実績が高い評価を得ると、新規顧客の獲得や、既存顧客からの継続発注につながり、企業全体の受注がさらに増加します。

受注増は施工部門やデザイン部門への投資を可能にし、最新の設備や人材研修に資金を回すことで、さらに質の高い空間づくりを実現できます。

また、多様な案件を手掛けるほど、スタッフが幅広いデザイン手法や施工技術を身につけるため、より提案の幅が広がり、新たな市場開拓にも積極的に挑戦できる好循環を生み出しています。

このループが続くことで、ブランド力が高まり、同社のビジネスモデル全体が自己強化されていくわけです。

採用情報
採用情報としては、初任給や年間休日、採用倍率は公表されていないものの、デザイナーや建築系エンジニア、プロジェクトマネージャー、営業職など、幅広い人材が求められています。

空間づくりに興味がある方や、学生時代に建築やデザインを学んでいた方などが多く集まることが特徴です。

大規模プロジェクトに携われる環境が整っているため、成長意欲のある人には魅力的な職場といえます。

株式情報
株式情報に関しては、証券コードが6540であり、適宜決算期ごとに配当金が支払われています。

配当金や1株当たり株価は業績や市場環境によって変動するため、投資を検討する際は、最新情報をチェックするとよいでしょう。

未来展望と注目ポイント
未来展望と注目ポイントとしては、今後も商業施設や飲食店、ホテルなどのリニューアル需要が続く見通しがあるため、同社の受注機会は増える可能性があります。

また、オンラインショッピングの拡大に伴い、実店舗には体験型の空間やテーマ性の高いデザインが求められる傾向があります。

このトレンドに応えるための空間提案や、新しい技術の取り込みができる企業は今後も成長が期待されます。

さらに、オフィス環境の見直しや、ホテルのサブスク化など、新たなライフスタイルの台頭によって、空間づくりの在り方が大きく変化しています。

これらに柔軟に対応できるノウハウを持つ同社は、多様なビジネスチャンスをつかむでしょう。

サステナブルな建材や省エネ技術への需要も拡大すると考えられ、同社が進める「未来にやさしい空間づくり」という方向性は、社会課題を解決するうえでも重要性を増しています。

こうしたトレンドを背景に、株式会社船場はビジネスモデルをさらに進化させ、さまざまな空間プロジェクトを通じて、成長戦略を強化していく可能性が高いです。

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