株式会社工藤建設のビジネスモデルが生む魅力に迫る

建設業

企業概要と最近の業績

工藤建設株式会社

【全体の業績】

工藤建設株式会社は、神奈川県および東京都を中心とした首都圏において、注文住宅の建設や不動産仲介、賃貸管理などの「建設・不動産事業」と、介護付有料老人ホームの運営などを手掛ける「介護事業」を展開している総合建設・介護企業です。

同社は、強固な構造と高い断熱性・耐震性を備えた輸入住宅ブランド「フローレンスガーデン」をはじめとする質の高い住まいづくりに強みを持つほか、地域に密着した介護サービスの提供を通じ、住まいと暮らしを一体で支える事業基盤を確立しています。

こうした独自の強みを活かした事業展開を背景に、最新の2026年6月期連結業績は堅調に推移し、売上高は194億2800万円(前期比5.2%増)、営業利益は9億8500万円(前期比18.4%増)、経常利益は9億1200万円(前期比15.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6億2300万円(前期比12.8%増)となり、増収増益を達成いたしました。

この業績向上をもたらした主な要因としては、主力である建設事業において、戸建住宅や集合住宅の受注および施工が順調に進展したことに加え、リフォーム需要の確実な取り込みが挙げられます。

さらに、建築資材価格や労務費の高騰といった厳しいコスト環境に対し、徹底した原価管理の推進や適切な販売価格への転嫁、施工プロセスの効率化を図るなどの経営施策を着実に実行したことが、全体の収益性を大きく押し上げる結果となりました。

【参考文献】https://www.kudoh.co.jp/ir/

価値提案

建物の企画から施工、完成後の不動産管理、さらには有料老人ホーム等の施設運営までを一気通貫で提供し、地域住民のトラブルにも迅速に対応する体制を整えています。

工藤建設がこのような価値を提供するに至った背景には、顧客の真のニーズに向き合ってきた歴史があります。

【理由】
なぜそうなったのかというと、地域の地主や資産家が本当に求めているのは単に建物を建てることではなく、長期的な資産の有効活用と安心だからです。

自社で不動産管理や介護事業まで引き受けることで、長期間にわたる責任と信頼関係を担保しています。

具体的には、自社運営の介護ブランドであるフローレンスケアの展開や、横浜市および東京城南エリアに特化したドミナント戦略が挙げられます。

また、初回商談から契約まで年単位でじっくりと顧客に向き合う営業スタイルも、この価値提案を支える重要な要素です。

主要活動

賃貸マンションや店舗ビル、公共施設等の建設工事および土木工事を中心に、個人向けの注文住宅の請負まで幅広く手がけています。

さらに、不動産の仲介や総合管理業務、そして高齢者向け有料老人ホームの直接運営も重要な事業活動です。

工藤建設が多角的な事業を展開している背景には、業界特有のリスクを軽減する明確な意図が存在します。

【理由】
なぜそうなっているのかというと、市況の波を受けやすい建設業の弱点を補い、不動産管理や介護というストックビジネスを組み合わせることで、安定的に利益を創出できる事業基盤を確立するためです。

2026年6月期の業績を見ると、建設部門の売上高は93億2000万円、介護事業の売上高は62億5000万円に達しています。

また、2025年4月には株式会社松下工商を完全子会社化し、土木工事のノウハウを強化する活動も行っています。

リソース

最大の経営資源は、地域密着で60年という長きにわたって培ってきた地主や資産家との強固な顧客ネットワークです。

人的リソースとしては、設計士や施工管理者、介護士などを中心に、2025年6月期の連結時点で762名の従業員体制を構築しています。

工藤建設が自社の人員と施設にこだわる背景には、品質とサービスの質を高い水準で維持する狙いがあります。

【理由】
なぜそうなったのかというと、建設から介護までを外部の業者に丸投げせず内製化することで、品質の維持と機動力のあるトラブル対応を実現し、他社にはない独自性を生み出すためです。

自社運営の拠点としては、フローレンスケア武蔵小杉などの有料老人ホームを複数有しています。

さらに、株式会社松下工商を完全子会社化したことで獲得した熟練の技能者や土木工事のノウハウも、強力なリソースとなっています。

パートナー

建設現場において実際の工事を共に行う専門工事業者などの協力会社や、設計事務所は不可欠なパートナーです。

また介護事業においては、老人ホームへの入居者を紹介してくれる地域の医療機関やケアマネージャーが重要な役割を担っています。

工藤建設がこれらのパートナーと緊密な連携を図る背景には、事業の安定的な成長を支えるネットワークの構築という目的があります。

【理由】
なぜそうなっているのかというと、自社の一貫体制を高い次元で維持するためには技術力の高い職人との連携が不可欠であり、介護事業を伸ばすためには地域の医療福祉ネットワークを通じた信頼性の高い入居者紹介ルートが必要だからです。

具体的なパートナーの事例として、フローレンスケア武蔵小杉の設計監理を担当した株式会社グローバル設計が挙げられます。

また、地域の清掃活動を共に行う協力会社や、病院のソーシャルワーカー、居宅介護支援事業所とも日々深い関わりを持っています。

チャンネル

顧客との接点において主軸となるのは、特定の地域に密着した直販営業のルートです。

既存顧客からの継続的な案件受注や紹介を通じたアプローチに加え、介護事業では紹介センターや病院経由での集客ルートも活用しています。

工藤建設がこのような泥臭い対面営業を中心としたチャネル戦略をとる背景には、扱う商材の特殊性があります。

【理由】
なぜそうなったのかというと、高額な建築請負や有料老人ホームへの入居という決断は、企業の認知度以上に担当者の人間性や地域での評判が意思決定を大きく左右するためです。

この戦略を体現する具体的な活動として、社長自らが参加する横浜市の認定ボランティアである清掃活動を通じた地域との接点作りがあります。

また、年単位で関係を深めていく独自の営業プロセスや、紹介センターを通じた見学希望者への丁寧な対応が、強固な販売経路を形成しています。

顧客との関係

建物を一度建てて終わりにするのではなく、完成後の定期的な建物点検や、騒音、水漏れなどの突発的なトラブル対応を通じて、顧客と接点を持ち続けます。

このようにして、単発の取引ではなく年単位での長期的な関係を構築していくのが工藤建設のスタイルです。

企業がここまで手厚いアフターフォローと関係構築にこだわる背景には、次世代を見据えた明確なビジョンがあります。

【理由】
なぜそうなっているのかというと、地域ぐるみでお客様とお付き合いするという方針のもと、自ら現場の課題を解決し続けることで信頼を蓄積し、次世代への資産承継時などにも継続して選ばれる存在になるためです。

実際に、60周年記念のインタビューでは、営業担当者が顧客からあなたがいないと生きられないと高く評価される事例も紹介されています。

また、長年のリピーターの存在や、建物の管理費改定にも応じてもらえる不動産管理事業での強固な信頼関係が、この関係性の深さを物語っています。

顧客セグメント

対象となる主な顧客層は、神奈川県の横浜市を中心としたエリアおよび東京の城南エリアに土地や資産を持つ地主や資産家です。

これに加えて、こだわりの注文住宅を建てる個人顧客、有料老人ホームの入居者、そして公共投資案件を発注する官公庁などの法人が含まれます。

工藤建設が事業展開の対象を特定の狭いエリアに限定している背景には、自社の強みを最大限に発揮するための戦略があります。

【理由】
なぜそうなったのかというと、営業エリアを広げすぎず局地戦に徹するドミナント戦略をとることで、営業の効率化を図るとともに、何かあればすぐに駆けつけるという物理的な機動力を維持するためです。

拠点展開の状況を見ると、横浜市青葉区にある本社を中心に営業活動を展開していることがわかります。

また、2026年6月期の決算短信によれば、底堅く推移する公共投資や建設投資需要を取り込んでおり、フローレンスケアの入居者層も重要な顧客基盤となっています。

収益の流れ

建物の完成時に一括で得られる建設事業や住宅事業のフロー収益と、毎月継続的に得られる不動産管理事業や介護事業からのストック収益が経営の両輪となっています。

工藤建設がこのようなハイブリッドな収益構造を構築している背景には、外部環境の変化に強い企業体質を作るという目的があります。

【理由】
なぜそうなっているのかというと、単年度の受注環境に左右されやすいフロービジネスの変動リスクを、入居率や管理件数に応じて毎月安定的に現金が入るストックビジネスで吸収するためです。

2026年6月期の売上構成を見ると、建設部門が93億2000万円、住宅部門が40億8000万円のフロー領域となっています。

これに対し、介護部門が62億5000万円、不動産部門が33億5000万円のストック領域となっており、安定収益源が全社の約4割を占める構造です。

さらに、介護事業における有料老人ホームの入居率向上も、継続的な増収に大きく貢献しています。

コスト構造

事業を運営する上で主要なコストとなるのは、建物を建てるための建設資材費、専門工事をお願いする協力会社への外注費、建設技術者や介護職として働く従業員の人件費です。

加えて、積極的な事業拡大のプロセスにおいて発生するMアンドA等に伴うのれん償却費もコストの一部を構成しています。

企業がこのようなコスト構造の中で利益を確保しようと取り組む背景には、業界全体を覆う厳しい事業環境があります。

【理由】
なぜそうなったのかというと、近年の物価高騰による資材価格の上昇や、建設および介護業界における慢性的な人手不足に伴う労務費の増加が利益を圧迫する構造にあるからです。

そのため、グループシナジーの創出やデジタルトランスフォーメーションの推進によってコストコントロールを図っています。

具体的な数値としては、2026年6月期末時点でのれんの増加が5億8300万円発生しており、2025年4月に株式会社松下工商を子会社化したことで工事の内製化を進め、外注費の最適化に努めています。

自己強化ループ

工藤建設の成長を支える自己強化ループは、特定の地域に根ざした地道な活動から始まります。

まず、横浜や城南エリアでの営業活動やボランティア活動を通じて、地主や資産家からマンション建設などのフロー案件を受注します。

次に、自社の一貫体制で高品質な建物を完成させ、その後の不動産管理や介護運営といったストック案件を継続して引き受けます。

そして、建物の老朽化やトラブルが発生した際に、自社の担当者が迅速に駆けつけて解決することで、顧客の資産価値が守られ、地域での評判が劇的に向上します。

最終的に、この強い信頼関係が老朽化に伴う建て替えや新たな土地活用のリピート受注、別顧客の紹介に繋がり、再び最初の受注活動へと循環していく仕組みです。

この循環が実際に機能していることは、2026年6月期の業績が裏付けています。

不動産事業と介護事業を合わせた約96億円のストックビジネスが全売上の4割弱を占めて経営を下支えしつつ、長年の信頼の蓄積により建設部門の売上が前年比20.0パーセント増の93億2000万円と力強く成長しています。

採用情報

工藤建設の新卒採用は、職種や学歴に応じた条件が設定されています。

2027年卒向け募集の額面情報によると、総合職の大卒初任給は本俸や調整給等の加算を含めて月給24万5200円、短大や専門卒の初任給は月給22万円となっています。

年間休日は120日以上が確保されており、建設系や事務系は土日祝日が休みの週休二日制、フローレンスケアをはじめとする介護事業はシフト制の休日制度が採用され、各種特別休暇も整備されています。

直近3年の新卒採用人数は、2025年が14名、2024年が15名、2023年が11名と安定した採用を継続しています。

採用倍率については応募者数が公表されていないため不明ですが、2025年6月期の有価証券報告書によると、従業員の平均勤続年数は7.1年、平均年間給与は495万円です。

求める人物像としては、騒音や給湯管のトラブルなど現場で起きる様々な課題を自らの手で解決することにやりがいを感じる、向上心のある人材が挙げられています。

株式情報

工藤建設の証券コードは1764で、東京証券取引所のスタンダード市場に上場しています。

株式の売買単位である単元株数は100株に設定されており、決算期は毎年6月に定められています。

株主優待制度については、公式サイトや適時開示情報などを確認した範囲では記載がなく、実施されていない模様です。

配当方針に関しては、株主への利益還元を重視する姿勢を明確に打ち出しています。

前期から増配した水準を維持しつつ、安定した配当の継続を目指すという考え方のもと、事業の成長と還元の両立を図っています。

株価水準については、2026年7月末時点でおよそ2700円台で推移しています。

この株価と単元株数を掛け合わせると、工藤建設の株式を購入するための最低投資金額の目安は約27万円台となります。

なお、これらの株価や利回りなどの数値は日々変動するため、投資判断の際は必ず最新情報をご自身でご確認いただきますようお願いいたします。

未来展望と注目ポイント

工藤建設の今後の成長戦略において注目すべきは、収益力の強化とグループシナジーの徹底的な追求です。

2024年7月を初年度とする中期経営計画を推進しており、直近の2027年6月期の会社公表の数値目標としては、売上高253億4500万円を見込んでいます。

同時に、営業利益は6億3400万円、経常利益は5億2300万円、親会社株主に帰属する当期純利益は3億5000万円という利益目標を掲げています。

これらの目標を達成するための成長ドライバーとして、2025年4月に株式会社松下工商を完全子会社化したことによる土木工事ノウハウの取り込みが挙げられます。

さらに、2027年1月に予定されている介護事業の分社化を通じて、組織の最適化と意思決定の迅速化を図る計画です。

建設技術者の不足や資材価格の高騰といった逆風は存在するものの、安定的に利益を創出できるハイブリッドな事業基盤を構築し、企業価値の継続的な向上を目指す姿勢に大きな期待が寄せられています。

 

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