企業概要と最近の業績
清水建設株式会社
【全体の業績】
清水建設は、国内外において建築や土木を中心とした建設事業をはじめ、不動産開発事業やエンジニアリング事業など多様なインフラ関連サービスを総合的に展開する大手総合建設会社です。
長年にわたり培ってきた高度な技術力と豊富な施工実績を強みに、超高層ビルや大規模複合施設、インフラ整備から海外プロジェクトまで幅広く手掛け、社会基盤の維持と発展を支える建築市場で確固たる地位を築いています。
同社の最新の決算である2026年3月期通期連結業績は、売上高が前期比5.8%増の2兆578億円、営業利益が同67.1%増の1,186億6,900万円、経常利益が同70.7%増の1,223億2,400万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同91.8%増の1,266億1,700万円となり、大幅な増収増益を達成しました。
これは、手持ち工事の着実な進捗とともに、国内建築工事において受注採算の厳格化やコスト管理の徹底が進み完成工事総利益が増加したことに加え、資産効率の向上や財務体質の強化に向けた政策保有株式の売却による投資有価証券売却益を計上したことが大きく影響したことによるものです。
【参考文献】https://www.shimz.co.jp/company/ir/
価値提案
清水建設株式会社は建物の企画や設計から施工、さらには完成後の維持管理やリニューアル、エネルギー供給、防災対応に至るまで、建物の全ライフサイクルを網羅する一気通貫型のソリューションを提供しています。
【理由】
なぜそうなっているのか、それは従来の建物を造って終わる請負モデルでは、建設資材の高騰や景気変動による業績のブレを抑えることが難しいためです。
なぜそうなっているのか、それは従来の建物を造って終わる請負モデルでは、建設資材の高騰や景気変動による業績のブレを抑えることが難しいためです。
顧客の保有資産の価値を高め続けるストック型ビジネスへとシフトすることで、持続的な収益基盤の確立を目指しています。
2025年3月期において、建物の維持管理や運用、リニューアル事業の売上高構成比は建設事業全体の約20パーセントを維持しています。
また、自社開発の建物基盤システムであるShimz Smart City Platformを導入したスマートビル案件を豊洲エリアなどで複数受託しています。
さらに、建物完成後の事業継続計画を支援する超高層耐震診断および制御システムの累計導入実績は2025年時点で100棟を突破しており、確固たる価値を顧客に提供し続けています。
主要活動
清水建設は民間インフラおよび公共インフラの受注と設計、施工管理を中核の活動としています。
さらに洋上風力発電設備などの施工用大型特殊機械の運用や、自社の技術研究所における建設ロボットなどの先端技術開発にも注力しています。
【理由】
なぜそうなっているのか、それは建設業界全体が労働時間の上限規制いわゆる2024年問題や、職人の高齢化および離職問題に直面しているためです。
なぜそうなっているのか、それは建設業界全体が労働時間の上限規制いわゆる2024年問題や、職人の高齢化および離職問題に直面しているためです。
自社で施工の自動化や省人化を主導することが、競争優位性の維持に直結します。
具体的な取り組みとして、施工ロボットシステムであるShimz Smart Siteの現場投入を進めており、鉄骨溶接ロボットや搬送ロボットを活用する現場数は2025年3月時点で全国50か所以上に上ります。
また、自航式特殊船のBLUE WINDを用いた富山湾や秋田県沖での洋上風力発電風車設置工事を2024年から2025年にかけて稼働させています。
自社の技術研究所では年間約100件以上の特許出願を行うなど、研究開発投資を継続して実行しています。
リソース
清水建設の最大の強みは、創業200年超の歴史で培った高度な施工ノウハウと強力な経営資源です。
【理由】
なぜそうなっているのか、それは総合建設業の本質が現場の施工能力にあり、優れた協力業者ネットワークと他社が保有しない大型かつ先進的な設備を持つことが、超大型案件や難易度の高い工事を受注する決定打となるからです。
なぜそうなっているのか、それは総合建設業の本質が現場の施工能力にあり、優れた協力業者ネットワークと他社が保有しない大型かつ先進的な設備を持つことが、超大型案件や難易度の高い工事を受注する決定打となるからです。
同社を支える中核リソースとして、専属協力会社組織である兼喜会が存在し、2025年時点において全国で約10,000社の企業と約100,000人規模の職人をネットワーク化しています。
ハード面のリソースとしては、建造投資額およそ500億円を投じ、国内最大級となる800トンの吊り上げ能力を持つクレーンを搭載した自航式特殊船BLUE WINDを自社で保有しています。
さらに東京都江東区に構える清水建設技術研究所には、大型構造実験棟や風洞実験棟など業界随一の実験施設が揃っており、高度な技術開発を支える重要な資産となっています。
パートナー
清水建設は多数の専門的なパートナー企業と強固な協力体制を構築しています。
【理由】
なぜそうなっているのか、それは建設工事がとびや土工、鉄骨、電気設備など多種多様な専門工種の集積であり、自社の社員だけでは巨大な建造物を完成させることができないからです。
なぜそうなっているのか、それは建設工事がとびや土工、鉄骨、電気設備など多種多様な専門工種の集積であり、自社の社員だけでは巨大な建造物を完成させることができないからです。
強力なパートナーシップの構築こそが、品質と安全、そして工期管理の成功の鍵を握っています。
代表的なパートナーとして、自社の協力会社組織である兼喜会に所属する専門工事会社群が挙げられ、安全衛生協議会や情報通信技術を用いた施工技術講習会を定期的に共同開催しています。
また、エネルギー分野においては日本ゼオンや東京ガスなどの企業と提携し、水素エネルギーシステムであるHydro-Q-Bicの共同実証実験を進めています。
海外事業においても、香港の大手建設会社であるGammon Construction社などの現地企業と共同企業体を組成し、現地の大型案件を共同で施工する実績を重ねています。
チャンネル
清水建設は多様な経路を通じて顧客からの案件を獲得しています。
事業主や発注者への直接的な提案営業をはじめ、民間の設計競技や公共工事の総合評価落札方式による入札、さらには設計事務所を経由した特命での受託など、多岐にわたる営業網を構築しています。
【理由】
なぜそうなっているのか、それは請負工事の利益率を高めるためには、価格競争に陥りやすいオープンな入札案件よりも、初期段階から設計と施工を一元的に請け負う設計施工案件や特命受注の比率を引き上げる必要があるからです。
なぜそうなっているのか、それは請負工事の利益率を高めるためには、価格競争に陥りやすいオープンな入札案件よりも、初期段階から設計と施工を一元的に請け負う設計施工案件や特命受注の比率を引き上げる必要があるからです。
2025年3月期の国内民間建築受注において、設計施工案件が占める割合は約45パーセントから50パーセントに達しています。
全国の主要13支店や営業拠点の網羅的なネットワークを通じて地域に密着した営業活動を展開しています。
また、大規模なウェブポータルや投資家向け広報活動を通じて、法人顧客に対する防災や環境ソリューションのダイレクトな営業アプローチも並行して実施しています。
顧客との関係
清水建設は建物の企画および設計という初期段階から、完成後のアフターサービス、さらには数十年に及ぶ修繕や改修まで、非常に長期かつ継続的な関係を顧客と構築しています。
【理由】
なぜそうなっているのか、それは新規顧客の獲得にかかる営業費用と比較して、既存顧客からの改修や建て替えといったリピート受注のほうが営業効率および採算性が著しく高いからです。
なぜそうなっているのか、それは新規顧客の獲得にかかる営業費用と比較して、既存顧客からの改修や建て替えといったリピート受注のほうが営業効率および採算性が著しく高いからです。
2025年3月期の単体業績において、受注高全体に占める過去に取引実績のあるリピート顧客からの受注割合は70パーセント超という極めて高い水準を維持しています。
この関係性を支える仕組みとして、竣工した建物を24時間365日体制で遠隔監視しアフターフォローを提供するLCCサポートセンターを運用しています。
さらに、既存顧客に対して中長期的な視点での建て替えや耐震改修、脱炭素に向けた改修計画を定期的に提案する制度を導入し、関係の強化を図っています。
顧客セグメント
清水建設は多様な業種と規模の顧客基盤を持っています。
情報通信、半導体、不動産、製造、医療などの民間企業から、国土交通省や東京都などの官公庁および地方自治体にいたるまで、幅広い法人顧客および公共機関を対象としています。
【理由】
なぜそうなっているのか、それは民間企業の設備投資の増減サイクルと、公共事業の投資サイクルは必ずしも連動しないため、両方の顧客群を最適なバランスで保持することが事業リスクの分散に不可欠であるからです。
なぜそうなっているのか、それは民間企業の設備投資の増減サイクルと、公共事業の投資サイクルは必ずしも連動しないため、両方の顧客群を最適なバランスで保持することが事業リスクの分散に不可欠であるからです。
2025年3月期単体の受注高における官民の比率を見ると、民間企業からの工事が約80パーセント、公共工事が約20パーセントとなっています。
用途別の建築受注構成としては、工場や物流施設が約35パーセント、オフィスが約25パーセント、医療や福祉および複合施設が約20パーセントを占めています。
地域別では国内事業が約90パーセント、海外事業が約10パーセントとなっており、特定の業種や地域に過度に依存しない堅牢な顧客ポートフォリオを構築しています。
収益の流れ
清水建設の収益構造は、大きく二つの柱で構成されています。
一つ目は請負工事の完成に伴って支払われる完成工事高によるフロー収益であり、二つ目は不動産の賃貸やエネルギー供給、施設管理などから継続的に得られるストック収益です。
【理由】
なぜそうなっているのか、それは大型案件の進捗や完工時期によって四半期ごとの売上高の変動が激しいフロー収益の弱点を補い、安定した営業利益を生み出すストック収益で固定費を確実にカバーするためです。
なぜそうなっているのか、それは大型案件の進捗や完工時期によって四半期ごとの売上高の変動が激しいフロー収益の弱点を補い、安定した営業利益を生み出すストック収益で固定費を確実にカバーするためです。
2025年3月期の連結売上高2兆850億円のうち、完成工事高が約1兆8500億円と大部分を占めています。
一方で、不動産開発およびその他事業の売上高は約2350億円規模に成長しています。
特に不動産賃貸事業の年間事業利益は250億円から300億円規模という安定したストック収益を維持しており、着工時、中間時、完成時という出来高払いに基づく請負事業の資金繰りを強固に下支えしています。
コスト構造
清水建設の事業運営において、売上原価の過半を占めるのは外注費および資材費です。
次いで現場の労務費が大きく、さらに人件費や研究開発費などの販売費および一般管理費が続きます。
【理由】
なぜそうなったのか、それは総合建設業が自社で工場を持たないファブレス企業に近い事業形態をとっており、専門の工事会社へ実際の施工を外注し、外部から資材を購入して現場で組み上げる構造であるため、原価の大部分が外部からの調達費用となるからです。
なぜそうなったのか、それは総合建設業が自社で工場を持たないファブレス企業に近い事業形態をとっており、専門の工事会社へ実際の施工を外注し、外部から資材を購入して現場で組み上げる構造であるため、原価の大部分が外部からの調達費用となるからです。
2024年3月期には資材高騰などの影響で完成工事の原価率が98.5パーセントまで悪化しましたが、不採算案件の収束と厳格な受注管理により、2025年3月期には91.2パーセントへと大幅な改善を遂げています。
2025年3月期における販売費および一般管理費の比率は売上高に対して約5.2パーセントから5.5パーセント程度で推移しています。
また、将来の競争力を担保するための研究開発費として、2025年3月期には125億円を計上し、継続的なコスト投下を行っています。
自己強化ループ
清水建設のビジネスモデルは、技術力の蓄積が次の高収益案件を呼び込む独自の好循環を生み出しています。
起点となるのは、データセンターや半導体工場、大型特殊船による洋上風力発電など、極めて難易度の高い最先端プロジェクトを無事に完工させることで得られる技術力と実績の獲得です。
この実績が市場に評価されることで、難易度の高い工事も安全に仕上げる清水建設としてのブランドと顧客からの高い信頼が定着します。
その結果、過度な価格競争を回避し、自社の強みを最大限に発揮できる高利益率な設計施工案件や特命案件を優先的に選別して受注できるようになります。
ここで得られた豊富な収益と施工データは、自社開発のロボットや研究開発、そして協力会社への報酬還元へと再投資され、さらなる技術力の向上という最初の起点へと戻ります。
この循環が実際に機能している証拠として、2024年3月期には6パーセント台であった受注時の粗利益率が、2025年3月期には10パーセントから11パーセント超へと急回復しています。
さらに民間受注における過去の施主からのリピート率が70パーセント以上を維持しており、2025年3月31日時点での連結の手持ち工事高は2兆3000億円超という豊富な水準を誇っています。
採用情報
清水建設の新卒初任給は、2025年4月入社および2026年4月入社予定の実績において、博士修了が月額335000円、修士修了が月額310000円、大学卒が月額290000円、高専および短大卒が月額260000円に設定されています。
休日は完全週休2日制を採用しており、祝日や年末年始休暇を含めた2025年度実績の年間休日総数は126日となっています。
採用規模については、2025年4月入社の新卒採用人数は全体で435名であり、そのうち男性が338名、女性が97名です。
公式な応募者数は公表されていませんが、就職情報サイトのプレエントリー数などから推計される実質的な採用倍率はおよそ35倍から50倍の狭き門となっています。
2025年3月31日時点における単体の平均勤続年数は16.8年と長期にわたって活躍できる環境が整っています。
求める人物像としては、論理的な思考力とコミュニケーション能力を備え、多様な関係者と協調しながらプロジェクトを推進できる人物が掲げられています。
株式情報
清水建設の証券コードは1803であり、東京証券取引所のプライム市場および名古屋証券取引所のプレミアム市場に上場しています。
株式の売買単位である単元株数は100株に設定されており、決算期は毎年3月31日の年1回となっています。
株主還元の方針については、親会社株主に帰属する当期純利益に対して連結配当性向40パーセント以上を基本目標に掲げています。
業績の変動が起きやすい建設業の特性を踏まえつつも、下限配当を設定するなど安定的な配当の継続と総還元性向の向上を目指す考え方を示しています。
2025年から2026年時点での株価水準はおよそ1100円から1300円台で推移しており、最低投資金額の目安は約11万円から13万円となっています。
なお、株価や配当などの数値は経済情勢によって日々変動するため、実際の投資判断を行われる際は、ご自身で最新の市場情報をご確認いただきますようお願いいたします。
未来展望と注目ポイント
清水建設は、清水建設グループ中期経営計画2024と名付けられた3カ年の成長戦略を強力に推進しています。
最終年度となる2026年度に向けた目標として、連結売上高2兆1500億円、連結営業利益1000億円、そして自己資本利益率であるROEを8.0パーセント以上とする高い数値目標を掲げています。
今後の成長を牽引する注目ポイントは、脱炭素社会に向けたグリーンインフラ事業の拡大と、ハイテク産業向けの受注強化です。
3カ年の累計で約1500億円から2000億円規模の設備投資および成長投資を計画しており、自社保有の大型特殊船をフル稼働させた洋上風力発電施設の建設や、水素エネルギーシステムの社会実装を加速させます。
さらに年間約120億円から140億円の研究開発費を継続的に投下し、建設ロボットの全面的な実用化によって現場施工人数の大幅な削減を目指しています。
大規模データセンターや半導体工場などの高付加価値な建築需要を確実に取り込みながら、次世代の持続可能な社会インフラを支える企業集団へと進化を遂げていく姿勢が鮮明に打ち出されています。



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