企業概要と最近の業績
松井建設株式会社
【全体の業績】
松井建設株式会社は、1586年の創業から400年以上の歴史を誇り、社寺建築をはじめとする伝統建築から現代のビル・公共施設などの建築工事、土木工事、さらには不動産事業までを幅広く手掛ける老舗の中堅総合建設企業です。長年培ってきた卓越した社寺建築技術と強固な顧客基盤を背景に、高い施工品質と手厚い維持管理を提供することで、建設業界において独自の存在感と高い信頼を確立しています。
同社の最新の決算である2026年3月期通期連結業績は、売上高が前期比3.2%減の960億3,700万円となったものの、営業利益が同67.3%増の56億5,900万円、経常利益が同62.1%増の62億3,100万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同59.6%増の43億5,000万円となり、減収ながら大幅な営業増益を達成しました。
売上高は手持ち工事の進捗影響等によりわずかに減少したものの、主力の建設事業において受注時および施工段階での厳格な採算管理や施工効率化の徹底を推進した結果、完成工事総利益率が大きく改善し、利益面の大幅な押し上げに貢献したことによるものです。
【参考文献】https://www.matsui-ken.co.jp/press
価値提案
松井建設株式会社が提供する最大の価値は、伝統的な建築技術と最先端の建設テクノロジーの高度な融合です。
同社は出雲大社や成田山新勝寺など、全国有数の国宝や重要文化財に指定された建築物の改修および復元実績を誇ります。
【理由】
なぜそうなっているのか、それは創業以来440年以上にわたって受け継いできた宮大工の木工技術や意匠美と、近代的な総合建設業として培った耐震技術を一体化させることで、他社には真似できない差別化された建築物を提供するためです。
なぜそうなっているのか、それは創業以来440年以上にわたって受け継いできた宮大工の木工技術や意匠美と、近代的な総合建設業として培った耐震技術を一体化させることで、他社には真似できない差別化された建築物を提供するためです。
さらに、免震工法と伝統的な木造建築を掛け合わせた伝統建築用免震構法の特許を取得しており、現代の安全基準を満たしながら歴史的価値を保存する施工を実現しています。
建築物のライフサイクルコストを大幅に削減する高耐久RC構造設計技術も自社で保有しており、百年単位の耐久性を保障する施工技術こそが強固な競争力となっています。
主要活動
松井建設株式会社における事業活動の中核は、建築工事および社寺工事の請負、設計から施工管理、そして竣工後のアフター点検までを一貫して行う体制にあります。
社内に専門の職人や技術者を抱える社寺建築部という独立組織を常設している点が最大の特徴です。
【理由】
なぜそうなっているのか、それは総合建設業として建築の全工程を自社で一括して担い、施工後のアフターケアまで責任を持つことで、寺社や法人といった施主との長期的な信頼関係を維持し構築するためです。
なぜそうなっているのか、それは総合建設業として建築の全工程を自社で一括して担い、施工後のアフターケアまで責任を持つことで、寺社や法人といった施主との長期的な信頼関係を維持し構築するためです。
2024年3月期には、建物の設計や施工プロセスをデジタル化するBIMを活用した次世代の建設技術への投資を拡大しています。
竣工後も10年、20年という単位で実施される定期点検や補修サービスを標準化しており、建物を建てるだけでなく守り続ける活動を全社規模で展開しています。
リソース
松井建設株式会社の事業を支える重要な経営資源は、伝統技術を持つ専門技術者、全国を網羅する支店網、そして極めて強固な自己資金です。
人員面では、宮大工の知見を持つ技術者や社寺建築施工管理技士を擁し、2024年3月期において1級建築施工管理技士などの有資格者比率が全社員の60パーセントを超えています。
また、東京本社のほか、大阪、名古屋、東北、九州などの主要都市に全国5つの支店および営業所網を展開し、広域な需要に対応しています。
【理由】
なぜそうなったのか、それは技術継承の難しい社寺施工に対応できる人材を社内で継続的に育成するとともに、無借金の実質的な財務基盤を活用して発注者からの絶対的な信用を担保するためです。
なぜそうなったのか、それは技術継承の難しい社寺施工に対応できる人材を社内で継続的に育成するとともに、無借金の実質的な財務基盤を活用して発注者からの絶対的な信用を担保するためです。
2024年3月末時点での自己資本比率は55.3パーセント、自己資本額はおよそ520億円という極めて健全な財務基盤を誇っています。
パートナー
松井建設株式会社の施工品質を支えているのは、長年にわたって構築された協力業者や専門サプライヤーとの強固なパートナーシップです。
全国の優秀な職長や協力会社およそ500社で構成される独自の協力会組織である松栄会を運用し、安定した施工体制を維持しています。
また、銘木や国産銘木市場との直接的なネットワークを持ち、国産のヒノキやケヤキといった特注木材の独自調達ルートを確立しています。
【理由】
なぜそうなっているのか、それは特殊な木材の調達ルートを安定化させ、現場の施工を支える宮大工や伝統工芸の職人集団と長期的な協力関係を築き上げる必要があるためです。
なぜそうなっているのか、それは特殊な木材の調達ルートを安定化させ、現場の施工を支える宮大工や伝統工芸の職人集団と長期的な協力関係を築き上げる必要があるためです。
さらに、東洋大学や日本大学などの理工学部および建築学科と連携した共同研究や採用協力を進めており、産学連携による次世代技術の開発と人材獲得のネットワークも重要なパートナー基盤となっています。
チャンネル
松井建設株式会社は、一般的な公募入札に依存しない独自の強力な顧客接点と販売経路を持っています。
2024年3月期の資料によると、受注案件全体の約70パーセント超が既存の施主からのリピート、または紹介や指名による見積もり案件で占められています。
主な営業経路は、全国各地の宗派本山や有名神社との直接的な対話営業、および設計事務所を経由した指名コンペティションです。
【理由】
なぜそうなったのか、それは社寺建築や高級な民間建築案件は価格競争による一般入札ではなく、過去の確かな施工実績や企業への信頼に基づく指名や紹介が主流となる業界構造があるためです。
なぜそうなったのか、それは社寺建築や高級な民間建築案件は価格競争による一般入札ではなく、過去の確かな施工実績や企業への信頼に基づく指名や紹介が主流となる業界構造があるためです。
また、公式ウェブサイトの充実とともに、伝統建築の魅力を伝える社寺建築作品集といった専用のパンフレットを活用し、ブランド価値を直接訴求する提案営業を展開しています。
顧客との関係
松井建設株式会社は、顧客に対して単なる施工業者ではなく、世代を超えた伴走者としての長期的な関係を構築しています。
竣工後に行われる1年、2年、5年、10年といった定期点検の体系的な運用を通じて、建物のライフサイクル全体をサポートしています。
一度施工を担当した寺社からは、数十年単位の時間を経て再び追加工事や改修工事を受注する継続的な取引サイクルが生まれています。
【理由】
なぜそうなっているのか、それは寺社仏閣や伝統的な建築物は数十年から数百年という単位で維持管理していく必要があり、一度施工を任されると次世代の改修時期まで顧客との関係が途切れることなく継続するためです。
なぜそうなっているのか、それは寺社仏閣や伝統的な建築物は数十年から数百年という単位で維持管理していく必要があり、一度施工を任されると次世代の改修時期まで顧客との関係が途切れることなく継続するためです。
創業から440年という圧倒的な歴史に裏打ちされた倒産リスクのない安定企業としての安心感は、長期間にわたる顧客との信頼関係を維持するための最大の強みとして機能しています。
顧客セグメント
松井建設株式会社が対象とする顧客層は、民間法人、宗教法人などの寺社、そして官公庁の3つの主要なセグメントで構成されています。
2024年3月期の受注構成比を見ると、一般企業や医療法人などの民間建築が約75パーセント、浄土真宗や真言宗、曹洞宗といった全国の宗派本山などを含む社寺建築が約15パーセント、官公庁の公共建築および土木が約10パーセントを占めています。
民間領域では、特に大学や中高一貫校など学校法人の校舎建て替え案件において高い施工実績を持っています。
【理由】
なぜそうなったのか、それは景気変動の影響を分散させ、安定した経営基盤を維持するために、一般の民間建築工事、歴史的な社寺工事、そして公共工事のポートフォリオをバランス良く配置する必要があるためです。
なぜそうなったのか、それは景気変動の影響を分散させ、安定した経営基盤を維持するために、一般の民間建築工事、歴史的な社寺工事、そして公共工事のポートフォリオをバランス良く配置する必要があるためです。
このように幅広い顧客層を持ちながら、各領域で専門性の高い建築需要を的確に取り込んでいます。
収益の流れ
松井建設株式会社の収益構造は、建設工事請負契約に基づく進捗に応じたフロー収益と、自社保有物件からの賃貸によるストック収益の二本柱で構成されています。
2024年3月期の実績では、建設事業の売上高が931億8500万円となり、全体の98.6パーセントを占める最大の収益源となっています。
一方で、自社ビルなどの不動産事業による売上高は13億1200万円で全体の1.4パーセントにとどまるものの、同セグメントの利益は6億8000万円を記録し、利益率が約51パーセントに達する極めて高収益な基盤です。
【理由】
なぜそうなっているのか、それはメインとなる建築請負事業で大きな売上高の規模を確保しつつ、安定性の高い不動産賃貸収入を組み合わせることで、企業全体の営業利益の底上げと収益変動リスクの緩和を図るためです。
なぜそうなっているのか、それはメインとなる建築請負事業で大きな売上高の規模を確保しつつ、安定性の高い不動産賃貸収入を組み合わせることで、企業全体の営業利益の底上げと収益変動リスクの緩和を図るためです。
主力の建設事業では、工事進捗に伴う工事進行基準に基づく適切な売上計上を行い、確実な資金回収を実現しています。
コスト構造
松井建設株式会社のコスト構造は、建設資材費や労務費などの売上原価が大部分を占める構成となっています。
2024年3月期の完成工事原価率は90.5パーセントであり、前年同期の91.8パーセントから1.3ポイントの改善を見せ、適正な施工価格の交渉が成果を上げています。
同時に、人件費や本社経費などの販売費及び一般管理費は61億2600万円で、売上高に対して約6.5パーセントに抑えられています。
【理由】
なぜそうなっているのか、それは建築請負業というビジネスモデルの特性上、現場での職人手配代や下請けへの外注費、そして鋼材や木材などの資材調達費が原価の大部分を占めざるを得ない構造になっているためです。
なぜそうなっているのか、それは建築請負業というビジネスモデルの特性上、現場での職人手配代や下請けへの外注費、そして鋼材や木材などの資材調達費が原価の大部分を占めざるを得ない構造になっているためです。
さらに、伝統工法と最新技術の融合に向けた研究開発費として2024年3月期に約1億2000万円を継続的に投じており、付加価値向上のための戦略的なコスト配分を行っています。
自己強化ループ(フィードバックループ)
松井建設株式会社の成長を牽引する独自の好循環は、400年を超える歴史と技術の蓄積からスタートします。
専門部署が培った最高峰の宮大工技術が、宗教法人や大手企業から確実で高品質な施工ができる老舗としての絶対的なブランド力と信用を獲得します。
この強力な信用力が価格競争に巻き込まれにくい独自の受注を生み出し、受注案件の約70パーセント超を既存顧客からのリピートや指名案件が占めるという強固な営業基盤につながっています。
適正な価格での受注は利益率の向上をもたらし、2024年3月期の完成工事総利益率は9.5パーセントという高水準に達しました。
ここで得られた潤沢な利益が、2024年3月末時点で55.3パーセントという自己資本比率を維持する無借金経営を支え、同時に最新のITツールや若手技術者の育成への再投資を可能にします。
投資された新たな人材とデジタル技術が、再び同社の伝統と施工品質を一段と強化し、次世代の指名受注を呼び込むという永続的なループが回っています。
採用情報
松井建設株式会社の採用情報について、2024年4月実績および2025年4月予定の募集要項に基づくと、総合職の新卒初任給は学歴により細かく設定されています。
大学院修了の修士卒が月給25万5000円、大学卒が月給24万円、高専および専門学校卒が月給22万円となります。
2024年度実績における年間休日総数は125日であり、完全週休2日制と祝日に加え、夏季休暇や年末年始休暇、最大20日の年次有給休暇、リフレッシュ休暇などの特別休暇制度が充実しています。
直近3年の新卒採用人数は、2022年入社が32名、2023年入社が28名、2024年入社が35名と安定的に推移しており、いずれの年度も女性の採用が6名から7名ほど含まれています。
採用倍率は公式情報として公表されていませんが、多くの学生から注目を集める環境にあります。
2024年3月末時点の有価証券報告書によると、従業員の平均勤続年数は17.5年、平均年間給与は784万2000円であり、長期的に定着して働ける環境が整っています。
求める人物像として、歴史と伝統を尊重しものづくりに情熱を持てる人、主体的にチームワークを重んじる人、そして変化を恐れず新しい施工技術の習得に挑戦できる人が掲げられており、会社説明会から適性検査、複数回の面接を経る選考フローが用意されています。
株式情報
松井建設株式会社は、東京証券取引所のプライム市場に上場しており、証券コードは1810です。
株式の売買単位である単元株数は100株に設定されており、決算期は毎年3月となっています。
株主優待制度については、過去の実施実績を含めて設けられておらず、株主への利益還元は配当を中心に行う方針を採っています。
同社の配当方針は、業績に対応した成果の配分を基本としつつ、将来の事業展開と経営基盤の強化に必要な内部留保を確保しながら、安定した配当を継続的に行うことを基本としています。
具体的には、連結配当性向30パーセントから40パーセント程度を目安とした還元方針を掲げて事業運営を行っています。
2025年から2026年時点における株価水準はおよそ750円から850円台前後で推移しており、単元株数から算出した最低投資金額の目安はおよそ7万5000円から8万5000円前後となります。
なお、株価や各種の指標などの数値は市場の動向によって日々変動するため、実際の投資判断を行われる際は、必ず最新の株式情報をご自身でご確認いただきますようお願いいたします。
未来展望と注目ポイント
松井建設株式会社の今後の成長戦略において最も注目すべきは、2024年4月から2027年3月までの3カ年を対象とした中期経営計画である松井建設次世代ビジョンです。
同社は2027年3月期の数値目標として、連結売上高1050億円以上、連結営業利益40億円以上、自己資本利益率を示すROEで6.0パーセント以上、そして完成工事総利益率10.0パーセント以上の確保という意欲的な目標を掲げています。
これらの目標を達成するための成長ドライバーとして、社寺建築ブランドの全国展開に加え、デジタルトランスフォーメーションの推進に大きく注力しています。
具体的には、3年間で累計約15億円から20億円の設備投資を行い、建物の設計情報をデジタル化するBIMの全社導入や、ドローンを活用した現場計測による施工の省力化を進める計画です。
さらに、年間約1億5000万円から2億円規模の研究開発費を継続的に維持し、伝統工法の耐震技術開発や環境配慮型建築への対応を強化します。
創業500年に向けた強固な事業基盤を築く同社の歩みは、社会課題の解決と伝統の継承を両立する企業として継続的な成長が期待されます。



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