企業概要と最近の業績
株式会社アカツキ
モバイルゲームの企画・開発・運営を主力事業とするエンターテインメント企業です。
「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」や「ロマンシング サガ リ・ユニバース」など、大手IPホルダーと共同で開発した人気タイトルを複数手掛けています。
また、電子コミックサービスや、Web3・メタバース領域への投資・事業開発にも積極的に取り組んでいます。
2025年8月13日に発表された2026年3月期第1四半期の連結決算によりますと、売上高は60億5,000万円で、前年の同じ時期に比べて4.8%減少しました。
営業利益は10億2,000万円で、前年の同じ時期から15.2%の減少となりました。
経常利益は11億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は7億1,000万円となり、減収減益という結果でした。
主力のゲーム事業において、既存タイトルが長期運営となる中で売上が緩やかに減少したことに加え、新作タイトルの開発費用が先行したことなどが主な要因です。
【参考文献】https://aktsk.jp/
価値提案
株式会社アカツキの価値提案は、高品質なゲーム体験とエンターテインメントの提供にあります。
ゲーム自体のグラフィックやストーリー、操作性を徹底的に磨き込むことで、ユーザーが長く遊んでいたくなるような没入感を生み出しているのです。
単なるゲームプレイだけでなく、イベントやキャンペーンを随時開催することでコミュニティ要素を強化し、ユーザー同士の交流機会を増やす点も特徴です。
【理由】
なぜそうなったのかというと、モバイルゲームは手軽に始められる一方で、競合他社が多く、ユーザーはすぐに他タイトルへ流れてしまうリスクが高いからです。
そのため、リリース時のインパクトに加えて、継続的に遊び続けてもらうための仕組みづくりを重視することで、長期的な課金や広告収入を獲得しやすくなっています。
さらに人気IPを活用した場合、ユーザーは作品そのもののファンであるため、ストーリーイベントやキャラクターグッズなど、追加の価値提案がスムーズに行えます。
このように「ゲームとしての完成度」×「IPの魅力」という二つの軸で高品質を追求することが、アカツキの強力な差別化ポイントになっているのです。
主要活動
主要活動としては、ゲームの開発と運営、そしてIPプロデュースが挙げられます。
開発段階ではゲーム企画、プログラミング、デザイン、サーバー構築など多岐にわたる工程がありますが、そのすべてを統合して高品質のゲームを生み出すのがアカツキの強みです。
また運営面では、リリース後もユーザー動向を分析しながらイベントの更新やゲームバランスの調整を続けることで、ユーザーの満足度を維持・向上させています。
【理由】
なぜそうなったのかといえば、モバイルゲームはリリース後の運営が収益を左右すると考えられているからです。
短期的には広告宣伝でユーザーを集められても、コンテンツが更新されなければ飽きが生じ、アクティブユーザーが減ってしまいます。
そのため継続的に運営を行いながら、新規要素の追加や不具合対応を行うことで、ユーザーがゲームにとどまる理由を作っています。
さらにIPプロデュースとして、版権元と連携しつつキャラクターや世界観を最大限に活かすことで、ファン心理をくすぐる魅力的な企画を打ち出すことも重要な活動の一つです。
リソース
リソースとしては、優れたゲーム開発チームと強固なIPパートナーシップが大きな柱になっています。
プランナー、エンジニア、デザイナーなど多彩な専門スキルを持つクリエイターが集結し、それぞれが最新の技術トレンドをキャッチアップしながら開発に取り組んでいるのです。
【理由】
なぜそうなったのかを考えると、ゲーム開発は専門性が高く、しかも進化のスピードが速い業界のため、人材こそが競争優位を生む最も重要な資産となります。
そのためアカツキは、採用段階で厳選しつつ教育投資も行い、優秀な人材が創造性を最大限に発揮できる環境づくりを推進しています。
一方で、有力IPホルダーとのパートナーシップも欠かせません。
版権元と良好な関係を築くためには、開発者自身がIPに深い理解と愛情を持ち、質の高いコンテンツを作ることが求められます。
こうした「人材を磨く努力」と「版権元との信頼関係」の両面を大切にしていることが、アカツキのリソース面での特徴といえます。
パートナー
パートナーには、バンダイナムコエンターテインメントやスクウェア・エニックスなど、大手IPを保有する企業が名を連ねています。
人気アニメやゲームシリーズのライセンスを受け、共同開発や協業プロジェクトを進めることで、強力なタイトルラインナップを実現しているのです。
【理由】
なぜそうなったのかは、スマートフォンゲームの市場競争が激化しており、ユーザーの目に留まるには大きなインパクトが必要だからです。
オリジナルタイトルでヒットを狙う場合、相当の企画力と宣伝費用が必要となりますが、人気IPを活用すれば初期の集客ハードルを大きく下げられます。
その代わりライセンス料などのコストも発生しますが、IPファンが長期間にわたって遊んでくれる可能性が高いため、結果的に収益拡大につながりやすい利点があります。
こうした協業関係を維持するためには、IPのイメージを守りつつゲームとしてのクオリティも担保する必要があり、アカツキが磨いてきた高品質な開発力が評価されているというわけです。
チャンネル
チャンネルとしては、基本的にはモバイルアプリストアや公式ウェブサイトを通じてゲームを配信しています。
スマートフォンユーザーが簡単にダウンロードや課金を行える環境が整備されているため、幅広い層に対してアプローチしやすい形をとっているのです。
【理由】
なぜそうなったのかを考えると、モバイルゲームはインターネット環境さえあればどこでも遊べるという強みがあり、アプリストアを活用すれば国境を越えてリリースできる利点があります。
公式ウェブサイトではゲームに関する詳細情報やイベント告知を行うだけでなく、PVやプレイ動画などを掲載してユーザーをひきつけることができます。
最近ではSNSをはじめとするデジタルマーケティング施策も積極的に取り入れ、ユーザーからの口コミやレビューを拡散させる形で集客力を高めています。
いずれにせよ「どこからユーザーを集めてきて、どう定着させるか」が非常に重要であり、特にリリース初期の集客施策は成功するかどうかの大きな分かれ道となるのです。
顧客との関係
ゲーム内イベントやアップデートを通じた継続的なエンゲージメントが、アカツキにおける顧客との関係構築の核心です。
日々プレイする中で新キャラクターや新ストーリーが追加されると、ユーザーは常に新鮮な発見を得られます。
【理由】
なぜそうなったのかは、ゲームは消費しきりの娯楽とは違って、運営を続けることで新しい楽しみを絶え間なく提供できる特性があるためです。
いわゆる「LiveOps」と呼ばれる運営手法を駆使し、ゲーム内コミュニティを活性化させる仕組みを整えることで、ユーザーとの対話を深めています。
たとえばユーザーの要望に対応したイベント企画やバランス調整を即時に行い、要望の反映を示すことでファンのロイヤルティを高めているのです。
また、SNSや公式サイトのフォーラムなどで直接ユーザーの意見を吸い上げる姿勢も評価されるポイントです。
ゲーム外のリアルイベントやコラボ企画を通じてユーザー同士の交流機会を創出することも、長期的なユーザー満足度につながっています。
顧客セグメント
顧客セグメントはモバイルゲームユーザー全般が中心ですが、その中でも人気IPのファン層と、ライトユーザーからコアゲーマーまで幅広く取り込む形になっています。
【理由】
なぜそうなったのかについては、モバイルゲームが幅広い世代・趣味嗜好を持つユーザーにアクセスできる反面、競合が多いため特定のセグメントに強いアプローチが必要だからです。
IPファンを中心に確実な収益を得ながらも、シンプルな操作性やSNSとの連動でライト層にリーチすることでユーザー総数を拡大していると考えられます。
一方でハイ課金を行うコアユーザーや、ランキング上位を目指すゲーマー層にも応えられるよう、やりこみ要素や高難度コンテンツを設計しています。
こうした多様なセグメントのニーズを同時に満たすためには、ゲーム設計の柔軟性と運営側の細やかな配慮が欠かせません。
そのためアカツキでは、イベントの種類や難易度を複数用意し、無課金ユーザーでも楽しめるが課金要素があればより深く楽しめるというバランスを常に意識しているのです。
収益の流れ
収益の流れはゲーム内課金と広告収入が中心です。
無料ダウンロードを基本としながら、キャラクターやアイテム、ガチャなどで課金収益を得るモデルを採用しています。
【理由】
なぜそうなったのかを考えると、基本プレイ無料モデルがユーザー獲得に有利であり、ゲームに慣れ親しむ中で「このキャラクターが欲しい」「もっと効率よく進めたい」といったニーズが高まることで課金に至る場合が多いためです。
また、広告枠を設けることでユーザー単価を高め、開発・運営コストを回収しやすくしています。
IPタイトルの場合はコラボグッズやイベントチケットなど、ゲームの外でも収益化が可能になるため、そこへ発展させられる余地が大きいです。
こうしたマルチチャネルでの収益化は、一つの課金モデルに依存しすぎないリスク分散にもつながります。
さらに定期的なイベントや新キャラクター投入により売上をブーストし、広告宣伝費などの投資を回収するサイクルが確立されているのが特徴です。
コスト構造
コスト構造としては、ゲーム開発コストやマーケティング費用、ライセンス料が大きなウエイトを占めます。
【理由】
なぜそうなったのかについては、高品質なゲームを作るためには多くの人材と時間を要するため、開発費が膨らみやすいという要因があります。
また、競合ゲームの台頭によりユーザー獲得が難しくなっているため、広告費やプロモーションにかけるコストも増加傾向にあります。
さらに人気IPを活用する場合、契約条件としてライセンス料やロイヤルティが必要となり、タイトルの売上に連動して支払うモデルが多いため、ヒットが生まれれば生まれるほどコストも増加するという構造です。
こうしたコストに見合うリターンを得るためには、ヒット作の成功確率を高めることと、既存タイトルの運営強化によって安定収益を積み上げることが必要とされています。
最近では新規タイトルの立ち上げに要する投資リスクが注目されていますが、長期的に収益を確保するには不可欠なチャレンジでもあるため、コストマネジメントが非常に重要なテーマとなっています。
自己強化ループについて
アカツキが注力している自己強化ループは、人気IPとの協業や高品質ゲーム開発によってユーザー基盤を拡大し、そこから得た収益を再投資してさらに新しいタイトルやIPを開拓する好循環を作り出すことです。
具体的には、まず有力IPの新タイトルをリリースすることで、多くのファンが集まります。
そしてユーザーが課金や広告視聴によって収益に貢献し、その売上を元手に追加コンテンツの開発や新規プロジェクトへの投資を進めるというサイクルです。
こうしたフィードバックループにおいては、既存タイトルの安定収益が新規挑戦のためのキャッシュフローを生み出す役割を担います。
逆に言えば、一時的にヒット作が少なくなったり、投資が失敗に終わったりすると、この好循環が回りにくくなるリスクがあります。
しかしアカツキの場合は、複数の人気IPを手がけ、かつ社内に蓄積された開発ノウハウを活かすことで、リスク分散を図りながらこの自己強化ループを途切れさせない戦略をとっていると考えられます。
結果としてユーザー満足度が高まり、口コミやSNSなどを通じてさらにユーザーを呼び込む相乗効果が得られるのが大きなポイントです。
採用情報と株式情報
採用面では、初任給や平均休日、採用倍率に関する詳細情報は公表されていませんが、平均年収は780万円という高い水準を提示しています。
ゲーム業界では開発力のあるエンジニアやプランナーの獲得競争が激しく、優秀な人材を確保するための待遇や働きやすい環境の整備が欠かせないため、今後も魅力的なオファーが期待できます。
株式情報としては銘柄コードが3932で東証プライムに上場しており、2024年3月期の配当金は80円、2025年1月31日時点の1株当たり株価は2,973円となっています。
配当利回りとしては比較的安定した水準であり、新作タイトルのヒットや海外展開が期待される一方で、新規タイトル開発の投資負担による利益圧迫リスクも見逃せません。
投資家にとっては、成長戦略に基づいてどのような成果が出るかを継続的にチェックする必要があるでしょう。
未来展望と注目ポイント
今後のアカツキの展望としては、海外展開や新規IP開発を中心にさらなる成長を狙うことが予想されます。
国内モバイルゲーム市場がやや飽和気味になっているため、アジアや北米などへ本格的に進出することで新規ユーザーを取り込み、収益源を多様化する意図があると考えられます。
さらに既存の人気IPを拡張し、リアルイベントやグッズ販売などを通じたメディアミックス展開を加速させることで、IPの価値を一層高められる可能性があります。
また、開発拠点の強化や先端技術の導入によって、ゲームの品質をさらに高める動きにも注目が集まっています。
ARやVR、メタバースなど新しいテクノロジーをうまく活用すれば、差別化要素の創出につながるとみられます。
今後はIR資料でも成長戦略に関する新たな情報が出てくると予想されるため、投資家や就職を検討する方々にとっても最新情報のチェックが欠かせません。
新規タイトルのヒットが企業成長に直結するゲーム業界では、開発リソースの最適配分や優秀なクリエイターの育成が経営戦略の要となるでしょう。
アカツキが持つ高品質開発力と強力なパートナーシップが、どこまで未来の可能性を広げていくかが楽しみです。
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