企業概要と最近の業績
株式会社ホームポジション
2025年8月期第2四半期の決算は、売上高が71億87百万円となり、前年の同じ時期と比較して29.1%の減少となりました。
一方で利益面では改善が見られ、営業利益は1億5百万円、経常利益は95百万円となり、前年の赤字から黒字への転換を果たしています。
純利益も1億5百万円の黒字を確保しました。
売上高が減少した中でも黒字を達成できた背景には、財務基盤の強化があります。
第三者割当増資を実施したことで自己資本比率が改善し、より安定した経営体制が整いつつあるようです。
同社は戸建分譲事業を主力としており、原材料価格の高騰などが続く厳しい環境ではありますが、デザインや品質を重視した住宅供給を続けています。
通期の業績については、売上高220億円、最終的な利益として1億50百万円を見込む計画です。
ビジネスモデル
価値提案
高品質と高デザイン性を両立しつつ、合理的な価格帯で提供
土地の個性を最大限に生かしたプランニングにより、顧客の暮らしやすさを重視
【理由】
住宅購入者のニーズは多様化しており、価格だけでなく外観や間取りの魅力も重要視されるようになりました。
そこで単なる「安い家」ではなく、設計面での独創性とコストパフォーマンスを両立する価値提案が求められたのです。
同社はデザイン戦略室を中心に技術と感性を磨き上げることで、価格面とデザイン面を両立させる体制を整え、競合他社との差別化を実現しました。
この強みによって顧客満足度を高め、口コミを通じた評判の広がりが売上増加につながっていると考えられます。
主要活動
土地の仕入れから設計・施工・販売までを一気通貫で行う
個性的なデザインや間取りを提案するためのプランニングと施工ノウハウの蓄積
公式ウェブサイトなどを通じた物件情報の発信と自社営業チームによる販売活動
【理由】
土地の仕入れから販売までを自社で統括することで、余計な中間マージンを減らし、価格面での優位性を確保しやすくなります。
また、一貫した管理体制により品質基準を保ちやすく、デザイン面の修正や細やかな工夫を現場レベルで迅速に反映できるメリットも大きいです。
こうした運営体制が整ったのは、家づくりの一連の流れを把握し、顧客要望に応えつつ利益を確保するための合理的な選択だったと言えます。
リソース
デザイン戦略室を擁し、設計と意匠に強みを持つ
経験豊富な施工チームが工期や品質を安定的に管理
施工管理のデジタル化や顧客データの活用による効率化の仕組み
【理由】
高いデザイン性を追求しようとすると、設計だけでなく施工の実現力も重要になります。
設計図面がどれほど優秀でも、実際の工事工程で制約が多ければ、高品質を維持しながらコストを抑えることは難しいものです。
そこで同社はデザイン戦略室という専門チームを設けると同時に、施工サイドとも綿密に連携できる体制を構築しました。
また、建築現場や顧客管理のデータを積極的に取り込むことで、業務効率を高めながら、設計やアフターサポートへフィードバックしている点もリソース活用の大きな特徴です。
パートナー
地元の不動産業者と連携し、良質な土地情報を確保
地域に根差した建設業者と協業し、施工体制の柔軟性を高める
金融機関との関係を通じた資金調達や顧客のローン支援
【理由】
戸建住宅を分譲するには、まず優良な立地の土地を仕入れる必要があります。
そのため、地域の不動産業者と長期的なパートナーシップを築くことは不可欠です。
また、品質を重視する住宅づくりには、施工業者との緊密な連携や信頼関係が必要であり、地域との結びつきが強い業者をパートナーにすることで、安定した施工品質を保ちやすくなります。
金融面でも購入者を支援できる体制を整えると、顧客からの信頼が高まり、成約率の向上にもつながります。
チャンネル
自社営業チームによる直接販売で、顧客にきめ細かなサービスを提供
公式ウェブサイトなどのオンラインチャネルで物件情報を発信
住宅展示場やモデルハウスを活用した対面での接客
【理由】
住宅という高額商品は、購入までに多くの検討や相談が生じます。
そのため、直接コミュニケーションを通じて疑問や不安を解消できる営業チームの存在は欠かせません。
また、近年はインターネット経由で情報収集する顧客が増えているため、公式ウェブサイトで魅力的な物件写真やプランを訴求することが重要になりました。
さらにリアルな体験やイメージを具体化できるモデルハウスは、オンラインだけでは伝えにくい価値を補完する役割を担っています。
顧客との関係
直接面談や打ち合わせを重ね、要望やライフスタイルを深く理解
購入後のアフターサポートや定期点検による長期的な顧客関係の維持
口コミやSNSなどを通じた顧客同士の情報共有が評価向上に寄与
【理由】
住宅は購入後もメンテナンスが必要であり、長期的な快適性が求められます。
従来の大量供給型モデルでは、販売後の顧客フォローが十分でないケースが多かったのですが、同社は「高いデザイン性と合理的価格」を掲げる以上、品質やアフターサポートでも顧客満足を保つ必要があります。
直接関わる機会を多く設けることで、顧客の声を次の設計やサービスに活かし、評判を高められる体制が構築されたのです。
顧客セグメント
東海や関東エリアで新築戸建住宅を検討している個人やファミリー層
土地の形状に合わせたデザイン性を重視する層
価格と品質をバランスよく考えるミドルクラス以上の購入希望者
【理由】
地域展開を東海や関東に集中させているのは、まず施工や販売体制をスムーズに整えやすいからです。
デザイン性に惹かれる層は、予算面だけではなく、住まいへのこだわりを持つ傾向が強いです。
同社のコンセプトと合致しやすいため、需要を確実に捉えられるセグメントになっています。
また、高いデザイン性でも高額すぎない「合理的価格」によって、多くのファミリー層が手を伸ばしやすい点が購買層の幅を広げる要因となりました。
収益の流れ
戸建住宅の販売による一括収益が中心
土地の仕入れと建築費用を差し引いた販売利益が主要な原資
付随サービスやアフターサポートが将来的な収益源になる可能性
【理由】
同社の基本モデルは、新築分譲を販売することによる「一度きりの収益」です。
これは住宅事業が一般的に取る収益パターンですが、販売件数を増やすほど売上が伸びるわかりやすい構造でもあります。
一方で、施工後にも顧客との接点を続けて維持できれば、リフォームやリノベーションの相談、あるいは紹介案件などの形で追加の収益を得るチャンスが生まれます。
このため、今後はアフターフォローを充実させることで、リピーターや顧客紹介による収益拡大を期待していると考えられます。
コスト構造
土地取得費が大きなウェイトを占める
建設コストとして、人件費や資材費が安定的に必要
販売管理費には広告宣伝や営業活動費用が含まれる
【理由】
土地取得費は立地によって大きく変動するため、同社が展開するエリアの価格相場を踏まえた仕入れ戦略が欠かせません。
建設コスト面では、設計に凝れば凝るほど施工難易度が上がり、費用も高くなる可能性があります。
それでも高いデザイン性を維持するためには、技術と効率化が求められます。
また、新規エリアに進出する際は販売管理費の増加が見込まれるため、適切な投資配分やマーケティング計画が必要とされるのです。
自己強化ループを支えるポイント
ホームポジションではデザイン性の高い住宅を提供することで、購入後の顧客満足度を高めています。
実際に住み始めた人々がSNSや友人知人への口コミを通じて「デザインが素晴らしい」や「価格とのバランスが良い」と評価を広めることによって、新たな顧客が興味を持ち始めるという好循環が生まれます。
これは顧客同士のコミュニティ形成にもつながり、ポジティブな評判がさらに拡散される仕組みを後押しします。
設計・施工面でのノウハウが蓄積されるほど、より魅力的な住宅を提案できるようになるため、その結果また顧客満足度が上がり、評判が高まるという循環構造が強化されるのです。
こうした自己強化ループが業績を下支えし、企業の成長を支える重要な原動力になっています。
採用情報
新卒採用の初任給は月給251,000円から367,000円で、固定残業手当を含む形になっています。
土日祝日が休みで、年間休日が120日以上と就労環境にも配慮している点が特徴です。
採用倍率については公表されていないものの、住宅事業という生活密着型の分野でありながら、デザイン性を強化する企業姿勢から興味を持たれる方も多いと考えられます。
株式情報
ホームポジションは証券コード2999で上場しており、2023年8月期には1株当たり5円の配当が実施されています。
2025年1月29日時点での株価は1株362円となっており、同社の成長余地や住宅市場の動向を注視する投資家にとって魅力的な価格帯かどうかは、今後の業績と市場環境によって評価が分かれるでしょう。
投資判断に際しては業績推移や住宅需要の見込み、競合他社との比較など多方面から分析することが大切です。
未来展望と注目ポイント
同社が今後さらなる飛躍を遂げるためには、新規エリアへの参入やブランド認知度の拡大が不可欠と考えられます。
東海や関東エリアで培った設計・施工ノウハウを活用しながら、他地域でも同様のビジネスモデルを展開できれば売上規模の拡大が見込まれるでしょう。
とはいえ、土地価格や地域特有のニーズに合った住宅を供給するためには、エリアごとに異なる戦略やマーケティング手法が必要になります。
また、デザイン性の高さを維持しつつ価格を抑えるためのコスト管理やサプライチェーン構築は、将来的な利益率の改善にも直結する課題です。
さらに、一度家を購入した顧客との長期的な関係を確立し、リフォームやリノベーションといったライフサイクルビジネスに発展させる可能性も大いにあります。
こうした包括的な戦略を実行できれば、市場競争が激化する住宅業界の中でも独自のポジションを確立し、成長を継続していくことが期待されます。
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