企業概要と最近の業績
株式会社大林組
【全体の業績】
国内屈指の規模を誇るスーパーゼネコンの一角を占める同社は、東京スカイツリーをはじめとする都市のランドマークや超高層ビルの建設を担う国内建築事業を中心に、道路やトンネル、橋梁などのインフラを構築する土木事業、さらには海外開発事業や不動産開発事業まで手掛ける総合建設企業です。
長年培われた高度な施工技術力とプロジェクト管理ノウハウを最大の強みとしており、都市再開発や基幹インフラ整備の領域において非常に強固な顧客基盤と市場ポジションを確立しています。
大規模なプロジェクト展開力を持つ同社ですが、2026年3月期の通期連結業績におきましては、売上高が2兆5,862億5,800万円(前期比0.2%減)とほぼ横ばいとなったものの、営業利益は1,946億7,800万円(前期比36.6%増)、経常利益は2,159億4,700万円(前期比33.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,591億800万円(前期比28.1%増)となり、大幅な増益を達成いたしました。
この大幅な利益拡大を牽引した要因としては、国内外における手持ち工事の順調な進捗に加え、大型案件における資材価格高騰分の価格転嫁や厳格な施工管理による原価率の著しい改善が進み、建築・土木の両事業セプターで採算性が大幅に向上したことが挙げられます。
【参考文献】https://ir.obayashi.co.jp/ja/ir/
価値提案
株式会社大林組は大規模建築から都市再開発、土木インフラ整備、さらに木造耐火建築やグリーンエネルギー供給に至るまで、社会課題を解決する高付加価値な空間ソリューションを一貫して提供しています。
【理由】
なぜそうなっているのかと言いますと、建設請負という単なる受注や施工の枠組みにとどまる場合、価格競争や資材の原価高騰による影響を直接的に受けやすくなってしまうためです。
なぜそうなっているのかと言いますと、建設請負という単なる受注や施工の枠組みにとどまる場合、価格競争や資材の原価高騰による影響を直接的に受けやすくなってしまうためです。
そのため、企画や設計の初期段階から環境性能の向上、さらには防災や完成後の維持管理までをトータルで考慮した高付加価値提案へと事業の重心をシフトさせています。
2025年3月期時点の具体的な成果として、日本初となる地上11階建ての高層全木造耐火オフィスビルである横浜市の「Port Plus」を完成させた実績があります。
また、自社開発の建設用3Dプリンタ技術を用いた「3Dプリンター建築」のデモ棟である「3DPB PARK」の商用展開や、大分県九重町における地熱由来のグリーン水素製造の実証実験など、最先端の技術を次々と社会実装しています。
主要活動
株式会社大林組の事業活動の根幹は、建築および土木分野における建設工事の企画、設計、施工管理です。
これに加えて、不動産開発や賃貸管理、さらには施工現場の自動化ロボットおよび脱炭素化に向けた技術開発を強力に推進しています。
【理由】
なぜそうなっているのかについて触れますと、建設業界全体が直面している現場の深刻な担い手不足や、2050年のカーボンニュートラル実現という社会的な要請へ迅速に対応する必要があるためです。
なぜそうなっているのかについて触れますと、建設業界全体が直面している現場の深刻な担い手不足や、2050年のカーボンニュートラル実現という社会的な要請へ迅速に対応する必要があるためです。
これを達成するため、同社は施工プロセスのDX(デジタルトランスフォーメーション、すなわちデジタル技術による業務変革)と環境対応技術の開発を最優先の活動として位置づけています。
2025年3月期時点の具体的な活動実績として、山岳トンネルの全自動掘削システムである「3D施工ナビ」の実用化が挙げられます。
また、自社開発による「鉄骨溶接ロボット・揚重自動化システム」の現場導入や、全社規模で運用されるBIM(建物の3Dデジタルモデルにコストや仕上げなどの属性データを付加した建築情報基盤)である「Smart BIM Cloud」の活用など、徹底した生産性向上を図っています。
リソース
株式会社大林組の最大の経営資源は、1892年の創業から130年を超える歴史の中で蓄積された圧倒的な技術力と、それを支える高度な専門人材です。
さらに、自社保有の最先端の研究施設と、2025年3月期末時点で自己資本比率41.2パーセントを誇る健全な財務基盤が事業を強力に後押ししています。
【理由】
なぜそうなっているのかを探ると、超高層ビルや大規模なインフラ整備といった非常に難易度の高いプロジェクトを安全かつ高品質に完遂するためには、社内の専門人材ネットワークと高度な自社実験施設が不可欠となるためです。
なぜそうなっているのかを探ると、超高層ビルや大規模なインフラ整備といった非常に難易度の高いプロジェクトを安全かつ高品質に完遂するためには、社内の専門人材ネットワークと高度な自社実験施設が不可欠となるためです。
具体的な経営資源の規模として、2024年時点で単体の一級建築士保有者数が約2,800名以上に上るという豊富な専門人材の厚みがあります。
また、千葉県印西市に構える「大林組技術研究所」では、風洞実験や音響実験など多岐にわたる各種環境実験設備を自社で保有しており、ここで生み出された知見が実際の施工現場へと還元される強固な体制が築かれています。
パートナー
株式会社大林組のビジネスを支える重要なパートナーには、下請協力会社で構成される組織である「林友会」をはじめ、多数の建設資材メーカー、海外の施工パートナーや連結子会社、そして先端技術を共同開発する大学などの研究機関が含まれます。
【理由】
なぜそうなっているのかと言えば、実際の建設現場における施工の大部分は協力会社が担っており、これらのパートナー企業との強固な関係性が、工事の品質確保、安全管理、そして優秀な職人の確保という建設業の根幹を直接的に左右するためです。
なぜそうなっているのかと言えば、実際の建設現場における施工の大部分は協力会社が担っており、これらのパートナー企業との強固な関係性が、工事の品質確保、安全管理、そして優秀な職人の確保という建設業の根幹を直接的に左右するためです。
2025年3月期時点における具体的な連携事例として、全国で数千社が加盟する主要協力会社組織の「林友会」を通じた若手職人の育成や安全推進活動の徹底が挙げられます。
海外展開においても、アメリカ西海岸を拠点とする北米施工子会社のWebcorや、中西部を地盤とするKraemer Buildingといった現地企業と深く連携しています。
さらに、洋上風力発電施設の建設においては、豊富な実績を持つ欧州の大手施工会社と業務提携を結ぶなど、国内外で最適なパートナーシップを構築しています。
チャンネル
株式会社大林組は、民間企業に対する直販営業、国土交通省や地方自治体など官公庁の公共入札、都市再開発組合への事業者としての参加、および建築設計事務所を経由した受注など、多角的な販売経路を構築しています。
【理由】
なぜそうなったのかを説明しますと、大規模な都市再開発やインフラ整備のプロジェクトにおいては、初期の企画段階から事業に参画できるかどうかが最終的な受注を決定づける極めて重要な要素となるためです。
なぜそうなったのかを説明しますと、大規模な都市再開発やインフラ整備のプロジェクトにおいては、初期の企画段階から事業に参画できるかどうかが最終的な受注を決定づける極めて重要な要素となるためです。
そのため、単に発注を待つのではなく、再開発組合や発注者に対して直接的かつ能動的なアプローチを行う提案型営業を主体としています。
2025年3月期連結の事業セグメント別の実績を見ると、民間向け工事の受注比率が約75パーセントから80パーセントを占めており、ここでは国内建築事業が主体となっています。
一方で、国土交通省などが発注する官公庁向け工事の受注比率は約20パーセントから25パーセントを占め、国内土木事業が牽引しています。
また、品川や渋谷、大手町といった都心部の超大規模都市再開発組合に対しては、事業協力者として初期段階から参画することで、確実な受注機会の創出へと繋げています。
顧客との関係
株式会社大林組は、建物のLCCM(ライフサイクルコストマネジメント、すなわち企画から解体までの生涯費用の最適化)や定期点検を通じ、顧客と長期的かつ強固なリピート関係および改修工事の関係を維持しています。
【理由】
なぜそうなっているのかという背景には、建築物の耐久年数が数十年に及ぶという業界特有の事情があり、施工が完了した後も建物の修繕やリニューアル、さらには省エネルギー化のための改修提案を継続的に行うことで、顧客と定常的な関係を築き、次なるリピート受注を獲得する必要があるためです。
なぜそうなっているのかという背景には、建築物の耐久年数が数十年に及ぶという業界特有の事情があり、施工が完了した後も建物の修繕やリニューアル、さらには省エネルギー化のための改修提案を継続的に行うことで、顧客と定常的な関係を築き、次なるリピート受注を獲得する必要があるためです。
具体的な取り組みとして、2025年3月期現在も施工後の充実したアフターサービス部門および定期点検体制を組織的に整備しています。
この継続的なサポート体制により、経年劣化した建物のリニューアル工事受注額を持続的に拡大させています。
さらに、三井不動産や三菱地所といった国内を代表する大手不動産デベロッパーとは、数十年という極めて長期にわたる継続的な取引関係を構築しており、顧客の事業戦略に深く寄り添うパートナーとしての地位を確立しています。
顧客セグメント
株式会社大林組の主要な顧客層は、不動産デベロッパー、製造業、ITおよびデータセンター事業者といった民間事業法人を中心に、中央官公庁や地方自治体、さらには海外の行政機関や現地法人など多岐にわたります。
【理由】
なぜそうなっているのかと言いますと、民間企業の設備投資意欲など景気動向による受注の変動リスクを可能な限り緩和し、経営の安定性を高める必要があるためです。
なぜそうなっているのかと言いますと、民間企業の設備投資意欲など景気動向による受注の変動リスクを可能な限り緩和し、経営の安定性を高める必要があるためです。
この目的を達成するため、公共性の高い官公庁のインフラ工事、安定的な需要が見込める民間のオフィスビルや半導体工場、そして成長余地の大きい海外市場へと顧客層を戦略的に多角化しています。
2025年3月期の具体的な内訳として、国内の建築受注においては民間事業法人が過半を占めており、とりわけ大型の半導体工場やデータセンターの案件が大きく寄与しています。
公共部門では、国土交通省やNEXCO各社(高速道路会社)といった公的なインフラ発注機関が強固な顧客基盤となっています。
また海外展開においては、北米や東南アジアにおける現地の主要企業および政府機関を重要な顧客セグメントと位置づけ、事業を拡大しています。
収益の流れ
株式会社大林組の主な収益源は、工事進行基準に基づいて計上される建設工事の請負報酬です。
それに加えて、不動産の賃貸や売却による収入、さらには再生可能エネルギー施設からの売電収入という多様な収益の柱を持っています。
【理由】
なぜそうなっているのかを紐解くと、建設請負事業に特有の景気変動や資材原価の変動による業績の振れ幅(一度きりのフロー収益への依存リスク)を補填し、経営の安定化を図るためです。
なぜそうなっているのかを紐解くと、建設請負事業に特有の景気変動や資材原価の変動による業績の振れ幅(一度きりのフロー収益への依存リスク)を補填し、経営の安定化を図るためです。
そのため、不動産開発やクリーンエネルギー事業による継続的なストック型収益の比率を戦略的に引き上げる取り組みを進めています。
2025年3月期の連結決算データに基づく具体的な収益構成として、建設工事の完成高によるフロー収益が全体の約90パーセントを占め、依然として最大の収益基盤となっています。
一方で、賃貸ビルの運営などを含む開発事業がもたらす営業利益への貢献は年間で200億円から300億円規模にまで成長しています。
さらに、自社で所有する地熱発電設備や太陽光発電設備からは定常的な売電収入が得られており、収益源の多角化が着実に進展しています。
コスト構造
株式会社大林組のコスト構造は、協力会社への外注費や建設材料費が主体となる工事原価と、従業員の人件費や研究開発費が主体となる販売費及び一般管理費(販管費)、そしてDX化や不動産事業への設備投資によって構成されています。
【理由】
なぜそうなっているのかについて解説しますと、建設業の特性として総費用の過半を外注費や資材費が占める構造となっており、これらの資材調達の最適化と、DX技術や施工自動化を通じた工期短縮の実現が、会社の利益率改善へと直接的に結びつくためです。
なぜそうなっているのかについて解説しますと、建設業の特性として総費用の過半を外注費や資材費が占める構造となっており、これらの資材調達の最適化と、DX技術や施工自動化を通じた工期短縮の実現が、会社の利益率改善へと直接的に結びつくためです。
2025年3月期連結の具体的な数値を見ると、売上原価率は約90.5パーセントとなっており、コストの大半が現場の施工に費やされていることがわかります。
対して、販管費率は約4.2パーセントと比較的低く抑えられています。
また、将来の競争力を担保するための投資として、千葉県の技術研究所などを中心とする研究開発費に年間およそ150億円から200億円規模の資金を継続的に投入しており、技術革新に向けたコスト投下を惜しまない構造となっています。
自己強化ループ
株式会社大林組の成長を持続させる好循環の仕組みは、圧倒的な技術力に基づく実績の蓄積から始まります。
第一の起点として、東京スカイツリーの建設や日本初の全木造耐火ビル「Port Plus」といった世界的にも難易度の高い先進的な施工を成功させ、高度な技術力を蓄積します。
第二段階として、これらの卓越した実績がブランド力を高め、発注者からの極めて高い信頼を獲得することで、大規模再開発や半導体工場といった好条件の案件を優先的に受注できるポジションを確立します。
第三段階において、受注案件を厳選する選別受注の推進により適正な利益率を確保し、豊富な手持工事高と強固なキャッシュを生み出します。
第四段階として、ここで創出された豊富な資金を、施工自動化に向けたDX技術の開発、脱炭素化技術の研究、そして優秀な人材の採用や賃上げへと再投資します。
この再投資がさらなる技術革新を生み出し、再び第一の起点へと戻ってより難易度の高い案件の施工を可能にするという強力なループが回っています。
この循環が実際に機能していることは、2025年3月期連結における繰越工事高(手持残高)が約1.2年から1.5年分の工事量に相当する約3兆円超を維持していることや、2023年3月期には約5パーセントから6パーセント台であった完成工事総利益率が、選別受注の奏功により2025年3月期には8パーセントから10パーセント台へと大幅に改善している指標に明確に表れています。
採用情報
株式会社大林組は、2025年4月入社実績および2026年採用基準において、ベースアップの実施により新卒初任給を引き上げています。
具体的な初任給の額は、博士修了が320,000円、修士修了が300,000円、大学卒の総合職が280,000円、高専卒の総合職が255,000円となっています。
休日の環境については、土曜日と日曜日を休む完全週休2日制を採用しており、祝日や年末年始休暇、夏季休暇などを合わせた2024年度および2025年度の実績における年間休日総数は125日です。
これに加えて、リフレッシュ休暇、創立記念日、結婚休暇、育児休業、配偶者出産休暇、現場異動休暇といった多様な特別休暇制度が手厚く設けられています。
直近の新卒採用人数としては、2023年度入社が332名、2024年度入社が365名、2025年度入社が385名と年々増加傾向にあり、2025年度の内訳は男性292名、女性93名となっています。
採用倍率に関しては、数万人規模のプレエントリー数に対して採用者数が300名から400名規模であることから、職種やコースにより変動するものの実質的な倍率はおよそ30倍から50倍程度と推計されます。
働きやすさの指標となる2025年3月31日時点の単体での平均勤続年数は17.3年であり、平均年間給与は1,058万円に達しています。
選考において同社が求める人物像は、モノづくりへの情熱を持ち、多様な関係者と協働しながら、課題を自ら発見して解決し未来を切り拓くことができる人材と定義されています。
株式情報
株式会社大林組は、証券コード1802として東京証券取引所の最上位市場であるプライム市場に上場しています。
株式の売買単位である単元株数は100株に設定されており、毎年の決算期は3月31日を期末とする3月期決算を採用しています。
株主優待制度については導入しておらず、事業活動で得た利益は配当を通じた直接的な利益還元に集約させる方針をとっています。
配当方針としては資本効率の向上と株主還元の強化を明確に掲げており、中期経営計画の改定において、配当指標としてDOE(自己資本配当率)3.0パーセントから5.0パーセント程度を新たな目安として設定しています。
これにより、業績動向に応じた柔軟な増配を実施しつつ、累進的な安定配当を維持するという投資家にとって魅力的な基本姿勢を示しています。
株価の水準については、2025年から2026年時点でおよそ1,800円台から2,100円前後の価格帯で推移しています。
この株価水準と単元株数を基に計算すると、最低投資金額の目安はおよそ18万円から21万円台となりますが、ここには証券会社の手数料は含まれていません。
なお、株価や配当利回りなどの金融数値は市場環境により日々変動するため、実際の投資判断を行われる際は、最新の情報を投資家ご自身でご確認いただきますようお願いいたします。
未来展望と注目ポイント
株式会社大林組の今後の成長戦略における最大の注目ポイントは、「中期経営計画2022」において掲げられた、建設請負という従来の枠組みを超えたビジネスモデルの変革です。
この計画は2022年度から2026年度までの5ヶ年を対象期間としており、最終年度である2026年度の数値目標として、連結営業利益1,200億円以上、親会社株主に帰属する当期純利益1,000億円以上、そしてROE(自己資本利益率)10.0パーセント以上という高いハードルを設定しています。
目標達成に向けた具体的な成長ドライバーとして、国内施工現場へのロボット導入をはじめとするDX投資を強力に推し進め、生産性の向上と粗利益率の改善を図る方針です。
また、この5年間で累計約2,000億円から3,000億円規模の戦略的投資枠を設定しており、地熱発電やグリーン水素製造といった再生可能エネルギー分野への投資や、施工自動化設備への投資を加速させます。
さらに、年間約150億円から200億円規模の研究開発費を継続的に投下し、全木造耐火ビル「Port Plus」に代表される環境配慮型建築の商用展開による差別化を推し進めていきます。
経営陣が「空間創出企業」への進化を長期ビジョンとして語る通り、同社は単なる建設企業から持続可能な社会基盤をトータルで提供する企業へと劇的な転換を遂げようとしており、その歩みは今後も目が離せない注目ポイントと言えます。



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