企業概要と最近の業績
株式会社ミライト・ワン
【全体の業績】
株式会社ミライト・ワンは、通信インフラの構築や保守を中核としながら、ITソリューションや社会インフラ、グリーンエネルギーの分野まで幅広く事業を展開している総合エンジニアリング企業です。
同社は「みらいのインフラをつくる」というコンセプトを掲げ、高度な技術力と強固な顧客基盤を武器に、通信キャリア向けのネットワーク構築からスマートシティの実現、企業のDX推進、さらには太陽光発電などの環境対応インフラの整備までを一気通貫で提供できる体制を強みとしています。
従来の通信建設分野における確固たる実績を土台としつつ、時代の変化に合わせたデータセンターの構築やローカル5G、EV充電インフラといった成長市場へも積極的に進出することで、多様な収益源を持つ盤石なビジネスモデルを構築しています。
このような強みを持つ同社の2025年3月期通期の連結業績は、売上高が5019億4900万円となり前年同期に比べて3.1%の増収となりました。
さらに利益面においては、営業利益が164億2300万円で前年同期比42.5%の増益、経常利益が180億3300万円で前年同期比31.7%の増益を達成しています。
また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましても122億2700万円を記録し、前年同期と比べて54.9%増という大幅な増益を示す着地となりました。
このような堅調な業績結果をもたらした主な要因としては、ソリューション事業において都市インフラや企業向けDX関連の需要を旺盛に取り込み、受注および売上高が順調に拡大したことが挙げられます。
加えて、資材価格の高騰や労務費の上昇といったコスト面での外部環境の厳しさが続く中にあっても、施工の効率化や全社を挙げた徹底的な業務プロセスの見直しによるコスト削減施策が奏功しました。
これらに加え、採算性の重視を徹底した選別受注の取り組みが進んだことも寄与し、売上高の成長を大きく上回る各利益項目の大幅な改善を果たす原動力となりました。
価値提案
株式会社ミライト・ワンは、インフラの企画から施工、保守までを一気通貫で提供するフルバリュー型モデルを最大の価値として提案しています。
【理由】
なぜそうなっているのかというと、従来の通信建設という枠組みにとらわれない超・通建への進化を企業として掲げているためです。
顧客企業がデジタルトランスフォーメーションやグリーントランスフォーメーションを推進する際、複数の専門業者に分割発注する手間を省き、工期短縮やコスト削減といった強力な付加価値を提供できます。
これを実現しているのが、西武建設株式会社の高度な施工力と、国際航業株式会社の精緻なコンサルティング力、そして株式会社ミライト・ワンが長年培ってきた技術力を融合させる三位一体シナジーです。
この体制が顧客から高く評価された結果、2026年3月期には売上高6,023億円という巨大な事業規模へと結実しました。
主要活動
株式会社ミライト・ワンの主要な活動は、全国規模での光ファイバー網やモバイル基地局の構築から、次世代設備の運用にまで及んでいます。
【理由】
なぜそうなったのかを紐解くと、情報通信網という決して止められない社会インフラを支えつつ、AI投資などによるデータセンター需要の急増に応えるという社会的使命があるためです。
具体的な取り組みとして、2026年4月にはデータセンター事業本部を新設し、成長市場への対応力をさらに強化しました。
また、現場における安全性を極限まで高めるべく、仮想現実を活用した危険体験・体感研修を実施するなど、技術者の研鑽にも余念がありません。
さらに、遠隔から水道使用量などを検知するスマートメーターソリューションの展開など、時代のニーズに即した新たな運用サービスも主要活動の柱となっています。
リソース
社会インフラの構築において、株式会社ミライト・ワンの最も重要なリソースは、全国に展開する熟練技術者の集団と長年蓄積された無形資産です。
【理由】
なぜそうなっているのかというと、インフラ設備市場には国による厳しい安全基準や品質基準が設けられており、実績や許認可のない新規業者が容易に参入できないためです。
こうした高い参入障壁を強みとする同社は、2026年3月期の時点で連結従業員数17,709名という巨大な人的資源を抱えています。
また、株式会社ミライト・ワン単体のマルチ資格取得者率は56.3パーセントに達しており、一人で複数の専門領域をカバーできる現場実装力の高さが際立っています。
財務面でも、2026年3月期の自己資本比率が48.7パーセントと盤石であり、こうした人的および財務的な資本が同社の安定成長を支える根幹のリソースです。
パートナー
株式会社ミライト・ワンが全国規模のプロジェクトを円滑に進めるためには、多種多様なパートナーとの強固な協力体制が不可欠です。
【理由】
なぜそうなったのかといえば、広範囲かつ大規模なインフラ構築の現場において、自社の直営部隊だけでなく、地域に根ざしたパートナー企業との共創が必須であるためです。
その中核となるのが、全国の協力会社約2,200社で構成されるミライト・ワンパートナー会であり、中でも約350社がコアパートナーとして同社の現場実装力を支えています。
また、先端技術領域における協業も活発で、GPUサーバーなどのソフトウェアサービス分野ではモルゲンロット株式会社とのパートナーシップを深めています。
さらに海外展開においても、アジアトップクラスのデータセンター関連企業であるLantrovision社と連携し、国内外で最適なソリューションを提供できる体制を整えています。
チャンネル
インフラ市場における株式会社ミライト・ワンの販売および受注経路は、顧客との直接的な信頼関係に基づいています。
【理由】
なぜそうなっているのかという背景には、インフラ設備市場は長年の完工実績と信頼関係がモノを言う世界であり、過去の確かな実績に基づく指名や競争入札が主要な受注経路となるためです。
具体的には、NTT事業やマルチキャリア事業に代表される大手通信事業者向けの専用ルートが中核を担っています。
それに加えて、官公庁や地方自治体向けには厳格な基準をクリアした公共入札ルートを通じて、地域のインフラ整備案件を確実に受注しています。
また、Lantrovision社を通じたグローバルルートを確保することで、国内市場にとどまらず海外の成長需要も取り込む多角的なチャンネルを構築しています。
顧客との関係
株式会社ミライト・ワンは、単発の建設工事を請け負うだけでなく、システムの企画から運用保守までを長期間にわたって支援する継続的なパートナー関係を築いています。
【理由】
なぜそうなっているのかという理由は、通信網やデータセンターなどの社会インフラは作って終わりではなく、長期間の運用と保守が不可欠であり、これらを一括提供することで顧客の乗り換えコストを高めることができるためです。
具体的な施策として、株式会社Y2Sを子会社化することにより、クラウド環境とオンサイト保守を融合させた新たなサポート体制を確立しました。
また、地域の水道事業体の業務を支援する水道スマートメーターソリューションを通じて、自治体と長期的な関係を構築しています。
そして何より、NTTグループ各社とは数十年にわたる強固な取引関係を維持し続けており、この長期的な信頼が業績の土台となっています。
顧客セグメント
株式会社ミライト・ワンの主要な顧客セグメントは、国内の大手通信事業者から、近年はより幅広い領域の一般事業法人や自治体へと拡大しています。
【理由】
なぜそうなったのかを説明すると、従来の通信キャリアへの依存から脱却し、地方創生や企業の環境課題解決といったみらいドメインと呼ばれる新たな成長領域へターゲットを意図的に拡大しているためです。
長年の主力顧客であるNTTグループ各社やKDDIグループ、ソフトバンクグループといった通信事業者は引き続き重要なセグメントです。
しかしそれに加えて、近年はAI普及に伴って設備投資を加速させるデータセンター事業者が新たな大口顧客として台頭しています。
さらに、再生可能エネルギーの導入を急ぐ一般事業法人や自治体も、グリーンエネルギー事業の顧客セグメントとして存在感を増しています。
収益の流れ
株式会社ミライト・ワンの収益の流れは、通信インフラの建設工事請負による安定したフロー収益を基盤としつつ、新たな成長領域からの収益比率を高める構造へと変化しています。
【理由】
なぜそうなっているのかといえば、携帯電話基地局などのマルチキャリア事業における設備投資が抑制される中で、企業全体の持続的な成長を実現するためには、成長分野への事業構造改革が不可欠であるためです。
その結果として、2026年3月期の連結売上高は過去最高の6,023億円を記録しました。
今後の展開として、2026年度計画においてみらいドメインと呼ばれる成長領域の売上構成比目標を45パーセントにまで引き上げることを掲げています。
中でもデータセンター関連事業は大きな収益の柱として位置づけられており、2026年度のデータセンター事業単体の受注目標として1,000億円という高い数値を設定しています。
コスト構造
株式会社ミライト・ワンのコスト構造は、現場を支える熟練技術者や協力会社への外注費といった人的資本への投資が大きな割合を占めています。
【理由】
なぜそうなったのかを考えると、同社が身を置く建設エンジニアリング産業は労働集約型の性質が強く、慢性的な人手不足への対応や従業員の意欲向上が、企業競争力の源泉である現場実装力に直結するためです。
具体的なコストコントロールの指標として、2026年度計画における販管費率の目標を、前年度の9.7パーセントから9.5パーセントへと引き下げることを目指しています。
一方で削るべきではないコストへの投資は惜しまず、従業員のベースアップを含む積極的な処遇改善費を投じています。
また、ベテラン技術者の知見を組織に還元するため、65歳から70歳頃まで働ける定年後再雇用制度の拡充にもコストを割き、長期的な競争力の維持を図っています。
自己強化ループ
株式会社ミライト・ワンのビジネスモデルは、成長が自動的に加速していく強固な自己強化ループによって支えられています。
この循環はまず、NTTグループなどとの強固な関係に基づく安定した通信基盤事業から、莫大で安定したキャッシュフローを生み出すところから始まります。
次に、その潤沢な資金をデータセンターや再生可能エネルギーといったみらいドメインへの投資や、西武建設株式会社などの積極的なM&Aによる人財シフトへと振り向けます。
すると、異なる専門性を持つグループ企業間の三位一体シナジーが発揮され、企画から運用までを一気通貫で担うフルバリュー型モデルが確立されます。
この体制が整うことで、より高単価で高収益な大型案件の受注が増加し、さらに大きな利益とキャッシュを創出する結果となり、それが従業員や協力会社の処遇改善へと還元されます。
処遇が向上することで、2024年度実績のエンゲージメントスコアが前年度比1.4ポイント上昇の50.4ポイントとなるなど従業員の定着率が高まり、事業の起点である現場実装力がさらに強固になるという完璧な循環が回っています。
実際に成長分野への人財流動実績は2025年度見込みで累計900名を超え、2026年度計画ではEBITDAで550億円を創出する目標を掲げており、この成長サイクルが力強く回転し続けていることが分かります。
採用情報
株式会社ミライト・ワンは、持続的な成長を実現するために新卒採用活動も積極的に展開しています。
初任給の待遇については、2025年4月実績ですでにベースアップが実施されており、大学院卒が月給263,500円、大学および高専の専攻科卒が月給250,000円という水準に設定されています。
また、高専の本科卒は月給221,000円、短大や専門の2年卒は月給212,000円となっており、若手人材の確保に向けた処遇の改善が明確に表れています。
働きやすさの指標となる年間休日総数については、土日休みの完全週休二日制と祝日などを合わせて125日以上が確保されており、ライフワークバランスにも配慮された環境です。
採用人数の推移を見ると、2024年は70名でしたが、2025年には129名へと大幅に増加し、直近の2026年は120名の採用実績があり、組織の拡大ペースに合わせた人員拡充が進められています。
なお、採用倍率に関する公式情報は公表されていませんが、従業員の定着度は高く、2025年度実績の平均勤続年数は17.8年という長い水準を維持しています。
同社が求める人物像は、強いベンチャー気質と主体的な意志で業務を遂行する一人称の行動理念を持ち、技術と挑戦でワクワクするみらいを共創できる人材とされています。
株式情報
株式会社ミライト・ワンの株式情報は、長期的な視点で企業価値の向上を注視する上で重要な要素が揃っています。
同社の証券コードは1417であり、東京証券取引所の最上位市場であるプライム市場に上場しています。
株式の売買単位である単元株数は100株に設定されており、決算期は3月を本決算月として事業活動の成果を取りまとめています。
株主還元の方針については非常に明確な目標を掲げており、安定的な配当成長と機動的な自己株式取得を組み合わせることで、総還元性向50パーセントから70パーセントという高いターゲットレンジを維持する考え方を打ち出しています。
実際に2026年3月期の配当は1株当たり85円の支払いが行われており、株主に対する利益還元の姿勢が強く現れています。
株価水準については、2026年7月時点でおよそ数千円台で推移しており、単元株数から算出した最低投資金額の目安は数十万円規模となっています。
このような手厚い株主還元策と安定した事業基盤は市場からも注目されていますが、株価や配当などの数値は常に変動する性質があるため、投資判断の際は最新の公式情報を必ずご自身でご確認いただきますようお願いいたします。
未来展望と注目ポイント
株式会社ミライト・ワンの今後の未来展望は、2022年度から2026年度を対象期間とする第5次中期経営計画に詳細に描かれています。
この計画の最終年度となる2026年度の通期目標として、同社は受注高7,200億円、売上高6,600億円という極めて野心的な数値目標を掲げています。
さらに、利益面でもEBITDAを550億円、営業利益を400億円に引き上げることを目指しており、安定成長から飛躍的成長への強い意志が感じられます。
最大の注目ポイントは、AIの普及によって急速に需要が拡大しているデータセンター関連事業や、自治体向けの再生可能エネルギー事業などのみらいドメインを成長ドライバーとして位置づけている点です。
目標達成に向けた投資計画もアグレッシブであり、2027年3月期には60億円規模の自己株式取得を予定するほか、更なる事業領域拡大を見据えて最終年度も継続的にM&Aを進める方針を明らかにしています。
既存の通信建設インフラ工事の枠を超え、次世代の社会基盤を創り出す総合インフラ企業へと進化を遂げつつある株式会社ミライト・ワンの挑戦は、今後の展開に大きな期待が寄せられています。



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