企業概要と最近の業績
鹿島建設株式会社
【全体の業績】
鹿島建設株式会社は、日本を代表するスーパーゼネコンの一社として、国内外における土木・建築工事を中心に、不動産開発やエンジニアリング事業などを多角的に展開する総合建設企業です。日本初の超高層ビルである霞が関ビルをはじめ、国内外の大規模インフラや歴史的建造物を手掛けてきた圧倒的な施工実績と高度な技術力を強みとし、業界を牽引する揺るぎない市場ポジションを確立しています。
同社の最新の連結決算(2026年3月期)は、売上高が前期比5.3%増の3兆672億7500万円、営業利益が前期比58.5%増の2407億8000万円、経常利益が前期比49.6%増の2404億2000万円、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比40.9%増の1773億3400万円となり、大幅な増収増益を達成しました。
これは、国内における土木および建築事業において大型工事の手持ち案件を中心に施工が着実に進捗したことに加え、適切な工程管理とコスト抑制によって建設事業の売上総利益率が大きく向上したこと、さらには海外関係会社における建設事業の粗利率改善が利益面を強力に押し上げたことによるものです。
【参考文献】https://www.kajima.co.jp/
価値提案
鹿島建設は、難工事に対応する高度な技術力と、企画から設計、施工、アフターメンテナンス、不動産開発までを一貫して提供する総合的な建設ソリューションを顧客に提案しています。
特に、1968年竣工の日本初の超高層ビルである霞が関ビルディングの建設で培った耐震および制震技術は、業界でも高い評価を得ています。
また、環境配慮型コンクリートのCO2-SUICOMや、自動化施工システムであるA4C3Dといった先進的な技術群も重要な価値提案の一部です。
【理由】
建設業界では、慢性的な人手不足や2024年4月から適用された時間外労働の上限規制への対応が喫緊の課題となっているからです。
建設業界では、慢性的な人手不足や2024年4月から適用された時間外労働の上限規制への対応が喫緊の課題となっているからです。
同時に、顧客企業側でもESG経営の推進や建物のライフサイクルコスト削減のニーズが急速に高まっています。
そのため、鹿島建設は単なる施工の請負にとどまらず、社会課題を解決する高付加価値な技術提案を事業の核に据えています。
主要活動
鹿島建設の主要な企業活動は、土木および建築工事の請負と施工管理を中核としつつ、都市再開発や不動産開発事業の企画、土地取得、建設、売却までを幅広く展開しています。
また、東京都調布市や栃木県飛山エリアに拠点を置く自社の鹿島技術研究所において、次世代技術の研究開発を推進していることも極めて重要な活動です。
米国子会社のKajima U.S.A. Inc.などを通じて、北米市場における物流施設や集合住宅の開発および売却活動も積極的に行っています。
【理由】
建設請負というフロー型の事業は、資材価格の高騰やマクロ経済の動向による案件変動の影響を強く受けやすい特性があるためです。
建設請負というフロー型の事業は、資材価格の高騰やマクロ経済の動向による案件変動の影響を強く受けやすい特性があるためです。
そこで自社で不動産開発を手掛けることでストック収入やキャピタルゲインを獲得し、全社的なBIMおよびCIMの全面導入を含む研究開発を通じて他社が真似できない差別化技術を創出することが、収益の安定化に直結しています。
リソース
鹿島建設の競争優位性を支える中核的なリソースは、高度な専門知識と経験を有する単体従業員8118名(2024年3月31日時点)のエンジニア集団です。
施工管理技士や建築士といった国家資格を持つ人材が、現場の最前線で複雑なプロジェクトを牽引しています。
さらに、大型振動台や風洞実験設備を保有する鹿島技術研究所という国内最大級の研究開発施設も、欠かすことのできない重要な資産です。
財務面においては、2024年3月期末時点での純資産が1兆6569億円に達し、自己資本比率も42.1パーセントという強固な財務基盤を確立しています。
【理由】
大規模かつ高難度な超高層建築や長大なトンネル工事を継続的に受注し、安全かつ高品質に施工するためには、最新技術を実験して検証できる自社の施設が不可欠だからです。
大規模かつ高難度な超高層建築や長大なトンネル工事を継続的に受注し、安全かつ高品質に施工するためには、最新技術を実験して検証できる自社の施設が不可欠だからです。
また、巨額の資金を必要とする都市再開発事業を主導するためにも、自己資本比率42.1パーセントに裏付けられた財務の健全性が強力な武器となります。
パートナー
鹿島建設の事業運営において、実際の施工を現場で担当する専門工事業者との強力な協力体制は最大のパートナーシップです。
鹿島事業協同組合連合会や鹿島光洋会といった協力会社組織が、全国各地の現場における高い施工品質を根底から支えています。
また、他業種のメーカーや大学などの研究機関との共同開発も活発に行われており、建設ロボットの共同開発においては竹中工務店などとのアライアンスを構築しています。
環境分野では、中国電力などと共同開発したCO2-SUICOMの普及に向けたアライアンスパートナーネットワークを展開しています。
【理由】
総合建設業であるゼネコンは、自社で直接すべての職人を雇用するのではなく、専門的な技能を持つ協力会社とネットワークを形成して現場を運営する事業構造となっているからです。
総合建設業であるゼネコンは、自社で直接すべての職人を雇用するのではなく、専門的な技能を持つ協力会社とネットワークを形成して現場を運営する事業構造となっているからです。
さらに、建設ロボットを用いた自動化や脱炭素技術の開発といった次世代のイノベーションには、自社の知見だけでなく外部とのオープンイノベーションが不可欠となっています。
チャンネル
鹿島建設は、民間企業やデベロッパーに対する直販および技術提案営業を主力とし、建築事業における民間工事受注比率は2024年3月期において80パーセントを超えています。
官公庁や地方自治体が発注する公共インフラ案件については、総合評価落札方式などを通じた入札参加によって国土交通省やNEXCO各社などから直接受注を獲得しています。
また、大規模な都市再開発においては、八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業などのように、初期段階から参加組合員として再開発組合に参画する手法も採用しています。
【理由】
大型の民間工事や都市再開発プロジェクトは、仕様が決定する前の企画立案や設計の段階からのプロポーザル型営業が受注の鍵を握るためです。
大型の民間工事や都市再開発プロジェクトは、仕様が決定する前の企画立案や設計の段階からのプロポーザル型営業が受注の鍵を握るためです。
公共性の高い社会インフラ整備事業については、透明性と技術力が厳しく問われる入札プロセスを経ることが制度上義務付けられており、それに適応した強固な営業チャネルを構築しています。
顧客との関係
鹿島建設は、建物の企画および設計段階から、竣工後のアフターメンテナンス、さらにはリニューアルと呼ばれる改修工事に至るまで、顧客と長期的かつ継続的な関係を構築しています。
三井不動産や三菱地所といった大手のデベロッパーとは数十年にわたる再開発取引の実績があり、強固な信頼関係を築いています。
電子部品や半導体メーカーなどの国内主要製造業からも、工場の増設や改修工事を繰り返し受託しています。
さらに、グループ会社の鹿島建物総合管理株式会社などを通じて、竣工後のビルメンテナンスサービスを継続的に提供しています。
【理由】
建物の耐用年数は数十年という長期にわたるため、定期的な点検や維持管理、時代の変化に合わせた改修工事を継続して受注することが、事業の安定収益に大きく貢献するためです。
建物の耐用年数は数十年という長期にわたるため、定期的な点検や維持管理、時代の変化に合わせた改修工事を継続して受注することが、事業の安定収益に大きく貢献するためです。
また、初期の建設段階で確固たる信頼関係を確立しておくことが、将来的な建替えや工場増設プロジェクトにおける優先的な指名受注へと直結します。
顧客セグメント
鹿島建設の顧客セグメントは多岐にわたり、国内の民間企業、官公庁および地方自治体、そして海外のデベロッパーやテナント事業者で構成されています。
国内民間部門では、先端半導体工場や自動車工場の建設需要を抱える製造業顧客に対し、高度な環境技術を提供しています。
官公庁顧客に対しては、治水ダムの建設や高速道路のトンネル工事、復興道路の整備といった社会インフラプロジェクトを通じて貢献しています。
海外市場においては、北米やアジア地域における物流施設を利用するテナント事業者や、レジデンスを購入する個人などを主要なターゲットとしています。
【理由】
特定の業界における設備投資の動向や景気循環に経営が過度に依存しないよう、顧客基盤を分散させる必要があるからです。
特定の業界における設備投資の動向や景気循環に経営が過度に依存しないよう、顧客基盤を分散させる必要があるからです。
公共事業、国内の製造業および非製造業、そして成長が続く海外市場へと顧客セグメントを適切に分散することで、事業全体のリスクを抑制し、安定した成長軌道を維持しています。
収益の流れ
鹿島建設の収益基盤は、工事進行基準に基づいて計上される請負報酬を中心としており、2024年3月期の連結売上高2兆6918億円のうち、建築や土木関連の完成工事高が約8割を占めています。
これに加えて、自社単体で年間805億円(2024年3月期)を売り上げる開発事業セグメントからの不動産売却益や賃貸収入も重要な収益源です。
さらに、鹿島建物総合管理株式会社をはじめとするグループ会社が提供するビル管理サービスや資材販売などによる手数料収益も、全体の収益を底上げしています。
【理由】
工事請負というフロー型の事業モデル単体では、外部環境の変化による業績の変動リスクを完全に払拭することが困難だからです。
工事請負というフロー型の事業モデル単体では、外部環境の変化による業績の変動リスクを完全に払拭することが困難だからです。
そこに開発不動産の売却によるキャピタルゲインや、賃貸およびビル管理によるストック収益を組み合わせることで、景気変動に対する耐久力を高め、より高い収益性を確保する事業ポートフォリオを構築しています。
コスト構造
鹿島建設のコスト構造の大部分は、現場の施工に直結する売上原価が占めており、2024年3月期の連結売上原価は2兆3454億円で、売上原価率は約87.1パーセントとなっています。
この売上原価には、協力会社への外注費や、鋼材およびセメントなどの材料費、現場作業員の労務費などが含まれています。
また、2024年3月期の連結販売費及び一般管理費は2032億円で販管費率は約7.5パーセントとなっており、ここには従業員の人件費や年間188億円にのぼる研究開発費が含まれています。
【理由】
ゼネコンの事業特性上、コストの大半は下請けとなる専門工事業者への支払いや建設資材の調達費用によって構成されるからです。
ゼネコンの事業特性上、コストの大半は下請けとなる専門工事業者への支払いや建設資材の調達費用によって構成されるからです。
そのため、徹底した施工管理とスケールメリットを活かした調達力、そして自動化技術の導入による現場の省力化を実現することが、原価率を低減し利益を創出するための最重要課題となっています。
自己強化ループ
鹿島建設の事業モデルには、技術開発を起点とした強力な自己強化ループが存在しています。
まず第一段階として、自動化施工技術や環境配慮型コンクリートなどの高度な技術力と、超高層ビルの施工実績を蓄積します。
第二段階として、その圧倒的な技術的優位性を背景に、大手顧客からの指名受注や高難度な都市再開発プロジェクトを優先的に獲得します。
第三段階では、2024年3月末時点で連結3兆7581億円に達する豊富な手持ち工事高を背景に、高い利益水準と強固なキャッシュフローを生み出します。
そして第四段階として、獲得した利益を年間188億円規模の研究開発費として鹿島技術研究所等へ再投資し、さらに海外開発事業の拡大にも資金を振り向けます。
この積極的な再投資が再び第一段階のさらなる高度な技術力獲得へとつながり、企業の競争力が継続して強化される独自の好循環が絶え間なく回っています。
採用情報
鹿島建設の2024年4月実績における新卒初任給は、学士卒で月給28万5000円、修士修了で月給30万5000円、博士修了で月給32万5000円となっています。
また、高専卒については専攻科が月給28万5000円、本科が月給25万5000円です。
休日制度については、土日を休む完全週休2日制を採用しており、祝日や年末年始休暇を含めた2024年度実績の年間休日総数は125日です。
直近の新卒採用人数は増加傾向にあり、2022年度が315名、2023年度が328名、2024年度は360名を採用しています。
求める人物像としては、進取の精神をもって自ら挑戦し、多様な関係者と協働できる高いコミュニケーション能力を持つことなどが掲げられています。
2024年3月31日時点での単体従業員の平均勤続年数は18.5年となっており、長期的なキャリア形成が可能な環境が整っています。
なお、応募者総数が公表されていないため、具体的な採用倍率に関する公式情報はありません。
株式情報
鹿島建設は、東京証券取引所のプライム市場および名古屋証券取引所のプレミア市場に上場しており、証券コードは1812です。
単元株数は100株に設定されており、決算期は毎年3月となっています。
株主還元に関する配当方針については、業績動向に応じた安定的かつ継続的な配当と増配を目指しており、配当性向30パーセント以上を基本方針として掲げています。
また、資本効率の向上を図るため、機動的な自己株式の取得もあわせて実施していく考えを示しています。
株価水準については、2026年2月時点でおよそ2600円台から2900円台で推移しています。
仮に株価が2800円であった場合、単元株数100株から算出した最低投資金額の目安は約28万円となります。
なお、2024年3月時点において株主優待制度は実施されていません。
株価や業績の数値等は市場の動向や決算発表などにより常に変動するため、実際の投資判断を行われる際は、必ず最新の公式情報を皆様ご自身でご確認いただきますようお願いいたします。
未来展望と注目ポイント
鹿島建設は、2024年度から2026年度までの3カ年を対象とする中期経営計画である鹿島グループ中期経営計画(2024-2026)を推進しています。
本計画では、最終年度となる2026年度の数値目標として、連結当期純利益1200億円以上、連結ROE9.0パーセント以上を掲げています。
今後の成長ドライバーとして注目されるのは、自動化施工技術A4C3Dや全社的なBIMおよびCIMの活用による劇的な生産性向上です。
また、脱炭素社会の実現に向けて低炭素コンクリートであるCO2-SUICOMの社会実装を進めるとともに、北米やアジアを中心とした海外での物流施設開発をさらに拡大していく方針です。
3カ年累計で約5000億円から6000億円規模となる不動産開発や研究開発への積極的な投資計画も打ち出されており、持続的な成長に向けた力強い事業展開が見込まれます。



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