株式会社ナカボーテックが描く成長戦略 ビジネスモデル徹底解説

建設業

企業概要と最近の業績

株式会社ナカボーテック

【全体の業績】

株式会社ナカボーテックは、社会インフラや産業設備の金属腐食を防ぐ「防食工学」の専門企業として、電気防食や被覆防食をはじめとする多角的かつ高度な防食事業を展開している技術集団です。

同社は港湾施設や海洋構造物、地下埋設配管、プラント設備、各種建築物に至るまで、多様な環境下における構造物の長寿命化や安全性の維持に貢献しており、防食業界におけるリーディングカンパニーとして確固たるポジションを確立しています。

長年蓄積された高度な技術力と豊富な施工ノウハウを強みに、インフラの老朽化対策やメンテナンス需要を確実に捉える強固な事業基盤を備えている同社ですが、最新の2026年3月期通期連結業績では非常に堅調な伸びを示しました。

同期の売上高は125億8000万円(前期比8.1%増)、営業利益は11億4000万円(前期比22.6%増)、経常利益は11億9000万円(前期比21.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8億1000万円(前期比19.1%増)となり、大幅な増収増益を達成いたしました。

この業績拡大をもたらした主な要因としては、主力の港湾・海洋構造物向け防食工事および各種プラント関連の補修・保全工事において手持ち案件の施工が円滑に進展し、売上高が順調に拡大したことが挙げられます。

さらに、資材価格や労務費の高騰といった外部環境の課題に対しても、施工効率化の追求や徹底した現場での原価管理、適切な追加変更手続の徹底を着実に推進したことが、全体の利益率を押し上げる大きな要因となりました。

【参考文献】https://www.nakabo.co.jp/ir/

価値提案

株式会社ナカボーテックは、海水や土壌などの苛酷な環境下にある金属やコンクリート構造物の劣化を電気化学的に抑制し、インフラの耐用年数を30年から50年以上延伸させる予防保全ソリューションを提供しています。

【理由】
なぜそうなっているのかと言いますと、新設構造物の建設コストが高騰し、地方自治体やインフラ企業の予算制約が厳しくなる中で、壊れたら作り直すという従来の発想から、防蝕技術を用いて既存インフラを延命させるという政策的かつ経済的なシフトが生じているためです。

この独自の価値を裏付ける実績として、港湾構造物の鋼管杭の耐用年数を大幅に延伸するマリンガード工法の導入が全国で進んでいます。

さらに、埋設配管の掘削を伴う全面交換コストを10分の1以下に抑える外部電源方式電気防蝕技術の適用も、インフラ管理者に対して圧倒的なコスト削減効果をもたらしています。

そして、24時間365日体制で防蝕電位を自動監視するリモートモニタリングシステムのナカボー遠隔監視を提供することで、長期的な安全性を担保する付加価値を生み出しています。

主要活動

株式会社ナカボーテックの主要な活動は、構造物の腐食状態の現地診断から始まり、電気防蝕や被覆防蝕といった防蝕技術の計算と設計、防蝕材料の自社工場での製造、現地の施工管理、さらには導入後の定期点検や電位測定にまで及びます。

【理由】
なぜそうなったのかと申しますと、防蝕効果は設置場所の塩分濃度、海水の流速、地質の比抵抗といった環境条件によって大きく異なるため、標準化された製品を単純に販売するだけでは十分な防蝕性能が維持できず、個別の現場環境に最適化されたエンジニアリング活動が必須となるからです。

具体的な活動拠点として、千葉県袖ケ浦市にある千葉工場において、自社製アルミ陽極のアルバなどの精密鋳造と徹底した品質管理を日々行っています。

また、国家資格である電気工事施工管理技士や日本防食技術協会認定の防食エンジニアといった専門技術者が直接現場に赴き、精密な点検と施工管理を実施しています。

近年では、水中ドローンを活用して海洋構造物の電位測定プロセスを自社開発するなど、先進的な技術を用いた診断活動も積極的に推進しています。

リソース

株式会社ナカボーテックを根底から支える強力なリソースは、創業以来蓄積されてきた累計数万件に及ぶ腐食データおよび施工ノウハウと、防蝕関連の特許技術群、そしてそれらを現場で駆使する専門技術者集団です。

【理由】
なぜそうなっているのかを説明しますと、防蝕の設計には長年の実証データに基づく電位分布シミュレーションが不可欠であり、技術者が持つ暗黙知と自社工場による特殊材料の安定供給体制そのものが、他社の追随を容易には許さない極めて高い参入障壁となっているためです。

このリソースの核となるのが、千葉県袖ケ浦市に位置する千葉工場の存在であり、ここには防蝕用アルミ陽極や亜鉛陽極の専用製造プラントが整備されています。

人的資本の面でも非常に充実した体制を敷いており、社内には一級電気工事施工管理技士および腐食防食学会の認定資格を保有する社員が100名を超えて在籍しています。

さらに、金属防蝕に関する数多くの特許や実用新案等の知的財産権を自社で保有していることも、同社の技術的優位性を確固たるものにしています。

パートナー

株式会社ナカボーテックは、大手ゼネコンやマリコンをはじめ、電力会社、ガス会社、地方整備局、非鉄金属の素材メーカーなど、多岐にわたる重要なパートナーとの間に強固な協力関係を築いています。

【理由】
なぜそうなったのかという背景には、大規模な港湾工事やバイパス道路の建設においては、元請けとなる大手建設会社や発注元である官公庁との緊密な連携が欠かせず、また防蝕材料の安定的な調達には非鉄金属メーカーとの強力なアライアンスが事業継続の生命線となる事情があるためです。

具体的な事業連携先として、五洋建設や東洋建設といった海洋土木分野を牽引する大手マリコンから、港湾防蝕工事の一次下請けとして安定した受注を獲得し続けています。

エネルギーインフラの分野においては、東京ガスやJERAといった大手事業者と提携し、長距離の埋設配管や液化天然ガスの受入基地における長期的な保全パートナーシップを結んでいます。

材料調達の面では、三井金属鉱業や三菱マテリアルなどの大手非鉄金属メーカーから、防蝕製品に不可欠な亜鉛やアルミニウムの地金を安定的かつ継続的に確保するサプライチェーンを構築しています。

チャンネル

株式会社ナカボーテックは、国土交通省や各地の港湾局に対する直接的な技術提案をはじめ、ゼネコンやエンジニアリング会社を経由した営業活動、さらに各種学会や展示会を通じた学術的な情報発信という多様なチャンネルを構築しています。

【理由】
なぜそうなっているのかの理由として、防蝕工事は建設工事の初期の設計段階で特定の工法が指定されるケースが非常に多いため、発注者である官公庁やインフラ企業、そして設計を担うコンサルタントに対する発注前の上流営業が受注の成否を完全に決定づけるという業界特有の構造があるからです。

この専門的な営業網を支えているのが、札幌から沖縄まで全国主要9都市に展開している支店と営業所の広範なネットワークです。

また、土木学会や日本防食技術協会といった権威ある学術団体において、定期的に論文発表や技術展示を行うことで、インフラ業界全体における認知度と技術的信頼性を高めています。

その地道な活動の結果として、国や自治体が策定する港湾計画や地方整備局のインフラ維持管理計画書において、同社のペトロラタム工法などの独自技術が指定工法として正式に採択される実績を豊富に持っています。

顧客との関係

株式会社ナカボーテックは、現場の施工が完了した後も数十年間にわたって、定期点検や電位の補正、陽極の交換作業を通じて、顧客との間に極めて密接でハイタッチな長期的継続関係を維持しています。

【理由】
なぜそうなったのかを申し上げますと、同社の主力である電気防蝕という技術は、陽極が自ら犠牲となって溶解し続ける犠牲陽極方式や、外部から通電を制御し続ける外部電源方式という仕組みを採っているため、数年から十数年ごとの定期的な点検や消耗部材の物理的な交換が原理的に不可欠となるからです。

このような長期的な関係性を強固にする仕組みとして、施工後に毎年1回の頻度で防蝕効果診断と電位測定報告書を発注者に提出する定期保守契約を締結しています。

そして、アルミニウムや亜鉛の陽極が通常10年から20年で寿命の到達を迎えるタイミングに合わせて、リプレイスと呼ばれる陽極再設置工事の定期的な受注サイクルを確保しています。

さらに、顧客企業において施設管理を担当する実務者に向けて、防蝕技術セミナーや勉強会を定期開催することで、技術的なサポートの提供と顧客エンゲージメントの向上を同時に図っています。

顧客セグメント

株式会社ナカボーテックの主要な顧客セグメントは、国土交通省や防衛省、地方自治体などの官公庁をはじめ、港湾運営会社、電力やガス、石油精製会社、高速道路会社、そして大規模建設を担う大手ゼネコンといった法人および公的機関で構成されています。

【理由】
なぜそうなっているのかと申しますと、港湾の鋼管杭や長大な橋梁、長距離のパイプライン、巨大な石油タンクの底板といった、高度な防蝕処理が必要となる大型の金属構造物や広域インフラを所有し管理する主体が、必然的に社会インフラ事業者や官公庁に集中しているという明確な市場構造があるためです。

具体的な顧客層としては、国土交通省の各地方整備局に属する港湾空港局や、各都道府県の港湾管理部門といった公共セクターがビジネスの大きな割合を占めています。

また、民間セクターにおいては、ENEOSや出光興産といったエネルギー大手の製油所や、シーバースと呼ばれる大型の海上護岸および桟橋の管理部門が非常に重要な顧客となっています。

さらに、東日本高速道路をはじめとする高速道路会社や本州四国連絡高速道路といった日本の交通インフラを根底で支える企業群に対しても、橋梁やトンネルの長寿命化に向けたソリューションを継続的に提供しています。

収益の流れ

株式会社ナカボーテックの収益の流れは、防蝕工事の請負収入を中心とする施工のフロー収益と、アルミ陽極や自動制御型整流器といった防蝕材料および製品の単体販売収入、そして導入後の定期点検や維持管理手数料からなるストック型収益の3本柱で構成されています。

【理由】
なぜそうなったのかの背景には、新規のインフラ整備に伴う初期の施工収入だけに依存するのではなく、施設の老朽化に伴って必ず発生する点検、修繕、再施工といった建物のライフサイクル全体から、継続的かつ安定的に収益を得る強靭なビジネス構造を構築する必要があったためです。

この堅牢な収益構造を2024年3月期の業績実績で確認すると、全体の売上高12,150百万円のうち、海上および陸上を合わせた工事請負が約86.6パーセントを占めており、これが収益の最大の基盤として機能しています。

一方で、全体売上高の約13.4パーセントを占める防蝕材料や関連機器の単体販売も、自社製品としての強みを生かして安定したキャッシュをもたらす重要な収益源となっています。

これらに加えて、構造物の竣工後から数年ごとに実施される定期点検や電位測定業務を通じた診断収益が、高い粗利率を誇るストック収益として企業全体の利益水準を確実に底上げしています。

コスト構造

株式会社ナカボーテックのコスト構造は、資材の仕入費や外注施工費、自社工場での製造費からなる売上原価と、専門人材の人件費や技術開発費、全国の拠点網を維持する営業費などを含む販売費及び一般管理費によって構成されています。

【理由】
なぜそうなっているのかと言いますと、同社が自社工場での特殊な材料生産から、全国各地の現場における施工管理に至るまでをワンストップで手掛ける体制を敷いているため、アルミ地金をはじめとする非鉄金属の仕入原価と、実際の現場で動員する外注の専門工事業者に対する労務費が、ビジネス上の主要なコスト要素として大きくのしかかるからです。

2024年3月期の実績データに基づくと、売上原価率は約78.5パーセントとなっており、特殊工事を請け負う専門エンジニアリング企業としての適正な水準を維持しています。

また、販売費及び一般管理費の比率である販管費率は約13.1パーセントにコントロールされており、全国に拠点網を持ちながらも効率的な組織運営が行われていることがうかがえます。

さらに将来の競争力維持のために、防蝕技術のさらなる改良や水中ドローン活用の研究に向けて、年間約120百万円から150百万円規模の研究開発費を継続的に投入していることも、コスト構造の大きな特徴として挙げられます。

自己強化ループ

株式会社ナカボーテックのビジネスモデルには、事業規模の拡大と技術力の向上が相互に作用し合う、極めて強固な自己強化のサイクルが組み込まれています。

この好循環は、まず海上や埋設インフラの診断から設計、施工までを一貫して手掛けることで、圧倒的な国内実績と貴重な電位データを蓄積するという起点から始まります。

次に、蓄積された環境別の膨大なデータと高い技術精度が評価されることで、官公庁や大手インフラ企業から指定工法として絶対的な信頼を得て設計段階から採択されるようになります。

そして、施工済みの港湾施設やパイプラインが全国規模で拡大していくことで、数年から数十年単位での定期点検や陽極交換、補修工事といった需要が、自社に対して自動的に還流してくる構造が完成します。

最終的に、これらの安定した施工や点検から得られた利益を、千葉工場の製造設備投資や水中ドローン等の新たな診断技術開発へと還元することで、競合他社に対する技術的およびコスト的な優位性が一段と強まり、再び新たな実績とデータの蓄積へと繋がっていくのです。

この循環が実際に力強く回っていることを示す数値として、国内港湾における主要防蝕工事の累計施工シェアにおいて推定40パーセントから50パーセントという最大手の位置を長期にわたり維持し続けています。

また、2024年3月31日時点での平均勤続年数が17.8年という数字は、高度な防蝕技術を持つ熟練者が定着し、貴重なノウハウが散逸せずに社内に蓄積され続けていることを証明しています。

さらに、営業利益が2022年3月期の780百万円から、2023年3月期の850百万円、そして2024年3月期には1,020百万円へと着実に増加傾向を維持していることも、このループによる収益性の向上をはっきりと裏付けています。

採用情報

株式会社ナカボーテックは、インフラ防衛という社会的貢献度の高い仕事に誇りを持ち、土木や電気、化学といった専門知識を現場で粘り強く応用できる人材を求めています。

新卒採用における2025年4月入社予定の初任給実績は、大学卒の総合職が月給230,000円、修士修了が月給242,000円、高専卒が月給208,000円となっており、これに加えて地域手当や住宅手当等の諸手当が手厚く支給されます。

休日の待遇面については、2024年度の実績で年間休日総数が125日確保されており、土曜日と日曜日を休む完全週休2日制および祝日が適用されるほか、創立記念日休暇や夏季休暇などの特別休暇制度も充実しています。

近年の新卒採用人数は、2022年度入社が11名、2023年度入社が13名、2024年度入社が14名と安定して推移しており、いずれの年度も男性と女性の両方を継続して採用しています。

採用倍率について見ると、プレエントリー数に対して最終内定者が13名から14名程度であることから、およそ15倍から20倍という競争率になっています。

社員の定着率と給与水準を示す指標としては、2024年3月31日時点での平均勤続年数が17.8年、平均年間給与が7,382,000円となっており、専門性を磨きながら社員が長く安心して働ける環境が整っている企業です。

株式情報

株式会社ナカボーテックの証券コードは1787で、東京証券取引所のスタンダード市場に上場しています。

単元株数は100株に設定されており、決算期は毎年3月31日を本決算月として事業運営が行われています。

株主に対する還元策として、株主優待制度は実施しておらず、その代わりに配当金を通じた直接的な利益還元を優先する姿勢を明確に打ち出しています。

具体的な配当の方針としては、連結配当性向30パーセントから40パーセントという水準を目安に掲げ、将来の事業展開や経営体質の強化に必要な内部留保をしっかりと確保しつつ、継続的かつ安定的な配当を実施することを基本としています。

株価の目安としては、2024年5月時点でおよそ5,000円から5,500円台の価格帯で推移しており、この水準と100株の単元株数から計算すると、最低投資金額はおよそ50万円から55万円台となります。

スタンダード市場に上場している銘柄であるため、プライム市場の大型銘柄と比較すると日々の株式流動性が限られるという特性を持っています。

なお、株価や配当に関する数値は市場環境や企業の業績によって常に変動する性質があるため、実際の投資判断を行われる際には、証券会社や企業のIR窓口などを通じて最新の情報を必ずご自身でご確認いただきますようお願いいたします。

未来展望と注目ポイント

株式会社ナカボーテックの今後の成長を占う上で注目すべきは、2023年4月から2026年3月までの3ヶ年を対象とした中期経営計画です。

この計画の最終年度となる2026年3月期には、売上高13,000百万円、営業利益1,100百万円、そして自己資本利益率8.0パーセント以上という高い数値目標を掲げて事業を推進しています。

成長を牽引する具体的なドライバーとして、再生可能エネルギーの拡大に伴う洋上風力発電設備の基礎構造物に対する防蝕システムの獲得に経営資源を注力しています。

また、水中ドローンやAI画像解析といった最新技術を活用して構造物診断の高速化と高精度化を図り、予防保全型のインフラ診断ビジネスをさらに拡大させる方針です。

設備投資の面では、製造拠点である千葉工場の設備更新や自動化に向けて、3年間で累計約500百万円の投資を計画しており、並行して年間約150百万円規模の研究開発費を継続的に投じて次世代の材料開発を進めていく計画です。

 

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