大本組が挑む建設業界の魅力とビジネスモデル

建設業

企業概要と最近の業績

株式会社大本組

【全体の業績】

株式会社大本組は、岡山県に本社を置き、全国各地で建築事業および土木事業を展開している総合建設会社です。

同社は、医療・福祉施設、教育施設、オフィスビルなどの建築物や、道路、トンネル、ダム、河川改修といった社会インフラ整備を手掛けており、港湾・臨海部の施工において高い専門性と豊富な実績を有しています。

長年培ってきた高度な施工技術と地域に根ざした事業基盤を強みとし、安全かつ高品質な施工体制を通じて建設市場において確固たるポジションを確立しています。

こうした強固な事業基盤のもと、最新の2026年3月期通期連結業績は非常に順調に推移し、売上高は825億4000万円(前期比9.2%増)、営業利益は45億2000万円(前期比25.4%増)、経常利益は47億800万円(前期比23.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は32億1000万円(前期比21.5%増)となり、大幅な増収増益を達成いたしました。

この業績向上をもたらした主な要因としては、主力である建築事業および土木事業において手持ち案件の施工が円滑に進展し、売上高が順調に拡大したことが挙げられます。

さらに、資材価格や労務費の高騰という厳しい外部環境に対し、現場における徹底した施工管理と原価低減の推進、適切な追加変更手続の実施を着実に実行したことが、全体の利益率を押し上げる大きな要因となりました。

【参考文献】https://www.oomoto.co.jp/ir/

価値提案

株式会社大本組は、創業100年を超える信頼性と高度な技術力を活かし、高品質かつ高耐久な社会インフラおよび建築物の施工や改修を社会に提供しています。

【理由】
なぜそうなったのかといえば、明治期より吉井川の改修や児島湾開墾などの難工事を手掛け、自然災害が多い日本列島においてインフラの維持と防災に応える技術を研鑽してきた歴史があるためです。

この技術力は、大本式地下連続壁工法といった特許や独自工法に裏打ちされています。

また、岡山県内の公共土木工事格付けにおいては最高ランクとなるAランクを獲得し続けています。

その結果として、2024年3月期における完成工事高に占める官公庁案件比率は約45パーセントに達しており、公的機関からの強い継続信頼を獲得しています。

このように、歴史と実績に裏付けられた確かな技術力が、同社の提供価値の源泉となっています。

主要活動

株式会社大本組の主要な活動は、土木工事および建築工事の積算から受注、施工計画の策定、現場での安全管理と品質管理、そして竣工後のアフターメンテナンスに至るまでの総合的なマネジメントです。

【理由】
なぜそうなっているのかといえば、自社で作業員を抱える直接施工ではなく、施工管理機能であるゼネコンの役割に特化することで固定費を最適化し、多様な専門工事業者を取りまとめる体制を構築しているためです。

具体的な活動として、年間100件を超える現場において、3次元測量やドローンを活用したICT施工を実施しています。

また、約300社が加盟する協力会社組織である大本組協力会の運営を通じた定期安全衛生協議会の開催も重要な活動です。

さらに、現場督励巡視制度を導入しており、役員が年間50回以上の安全巡視を行うことで現場の品質と安全を担保しています。

これらの一連の管理業務が、安定した施工品質を生み出す中核的な役割を果たしています。

リソース

株式会社大本組の事業を支える主要な経営資源は、優秀な技術人材と自社所有の技術研究所、そして強固な財務基盤です。

【理由】
なぜそうなっているのかを説明すると、難易度の高い公共工事を受注するためには、有資格者の配置数や経営事項審査の高い得点が不可欠であり、強固な財務が大規模工事の入札参加資格となるからです。

同社では、全社技術者のうち1級土木施工管理技士や1級建築施工管理技士などの1級国家資格保有率が約80パーセントを超えており、高い専門性を有しています。

また、2024年3月末時点での自己資本比率は62.4パーセントを誇り、純資産は約400億円に達しています。

さらに、保有する現金や預金、有価証券等によって実質的な無借金経営を維持しており、この健全な財務体質が同社の信用力を高める最大の武器となっています。

技術力と財務力という二つのリソースが、事業継続の盤石な土台を形成しています。

パートナー

株式会社大本組の事業において不可欠なパートナーは、発注者である地方自治体や国土交通省、そして実際の現場作業を担う専門工事業者や資材メーカーです。

【理由】
なぜそうなったのかという背景には、ゼネコンという業態において、円滑な資材調達と質の高い施工パートナーの確保が、工期の順守と品質の維持に直結するという構造的な要因があります。

同社は、大本組協力会社ネットワークである大友会などを通じて、多くの下請協力会社と強固な連携体制を構築しています。

また、ICT施工の推進にあたっては、コマツや日立建機といった大手建機メーカーやレンタル会社との連携を深めています。

こうした協力関係の結果として、国土交通省中国地方整備局からは多数の優良工事表彰を受領しています。

質の高いパートナーシップの維持が、結果的に株式会社大本組の高い施工能力を支え、発注者からの評価を高める要因となっています。

チャンネル

株式会社大本組が案件を獲得する経路は、官公庁が実施する公募型プロポーザルや指名競争入札、そして民間施主への直接営業や設計事務所を通じたルートが主体です。

【理由】
なぜそうなっているのかといえば、公共工事は厳格な入札制度に基づくため透明な実績評価が求められる一方で、民間工事では過去の施工品質を通じた顧客との長期的なリレーションが受注の主要経路となるからです。

2024年3月期における受注高の構成を見ると、公共工事比率が約40パーセントから45パーセント、民間工事比率が約55パーセントから60パーセントとなっています。

これらの受注を獲得するために、首都圏営業部をはじめ、岡山や広島、大阪、四国などの西日本各支店が広範な営業網を展開しています。

特に民間案件においては、過去の施工実績を評価した施主からのリピート受注率が約60パーセントに達しており、強力な営業チャンネルとして機能しています。

官民バランスの取れた獲得経路が、安定した受注環境をもたらしています。

顧客との関係

株式会社大本組は、単なる建物の引き渡しにとどまらず、長期的なメンテナンス契約や定期点検サービスを通じて、顧客との間に極めて密接な信頼関係を構築しています。

【理由】
なぜそうなっているのかといえば、引き渡し後の手厚いフォローアップを継続することで、将来的な建物の建て替えや大規模なリニューアル工事の受注へと確実につなげるための戦略があるからです。

具体的な取り組みとして、施工後1年、2年、10年のタイミングで実施する定期点検制度を整備しています。

また、地域の台風や豪雨災害発生時には、自治体と結んだ災害協定に基づく即座の出動態勢を整え、緊急復旧対応を行っています。

こうした地道な関係構築の成果として、建築売上の約3割をリニューアルや改修工事の受注が占めるまでに成長しています。

長期的な視点で顧客に寄り添う姿勢が、次なる案件を生み出す好循環を生んでいます。

顧客セグメント

株式会社大本組が対象とする顧客層は、国土交通省や西日本高速道路、地方自治体などの公的機関と、製造業や不動産デベロッパー、医療法人などの民間企業に大きく分かれています。

【理由】
なぜそうなったのかについて言及すると、景気変動の影響をできるだけ緩和するため、予算が比較的安定している公共案件と、収益性の高い民間案件をポートフォリオとして適切に組み合わせる必要があるためです。

2024年3月期の売上構成をみると、国土交通省や自治体などの官公庁向けが約42パーセント、民間企業向けが約56パーセント、個人やその他が約2パーセントとなっています。

主要な取引先には、西日本高速道路株式会社や岡山県、倉敷市などが名を連ねています。

また、エリア別の売上構成は、中国地域が約50パーセント、関東および首都圏が約30パーセント、その他が約20パーセントとなっており、幅広い顧客層と地域基盤を有しています。

官民双方の多様な顧客セグメントを持つことが、業績の安定性を高めています。

収益の流れ

株式会社大本組の収益は、土木工事および建築工事の請負による完成工事高と、保有する不動産からの賃貸収入によって構成されています。

【理由】
なぜそうなっているのかといえば、請負工事による大きなフロー収入を主軸として成長を牽引しつつ、一部の保有不動産から得られる安定したストック収入によって収益の基盤を下支えする構造を志向しているからです。

2024年3月期の連結業績において、完成工事売上高は581億20百万円にのぼり、不動産等売上高は8億40百万円を計上しています。

工事請負にかかる収益の計上にあたっては、工事の進捗に応じた進捗度判定法を採用しており、期間ごとの収益が平準化される仕組みとなっています。

また、同期の平均完成工事総利益率はおよそ10パーセントから11パーセントで推移しており、資材高騰の中でも適切な利益水準を確保しています。

請負工事を本業としながらも、堅実な収益構造を確立している点が特徴です。

コスト構造

株式会社大本組のコスト構造は、売上原価の過半を占める外注費や材料費と、現場管理費および本社での販売用及び一般管理費から成り立っています。

【理由】
なぜそうなったのかという背景には、同社が総合ゼネコンとして直接施工を行わず、職人の手配や建築資材の調達を外部の専門協力会社に依存する事業モデルを採用しているため、売上原価率が比較的高水準で推移するという事情があります。

実際に、2024年3月期の売上原価率は89.2パーセントとなり、売上原価の金額は525億80百万円に達しています。

一方で、販管費率は5.5パーセントに抑えられており、販売用及び一般管理費は32億60百万円となっています。

また、将来の競争力を維持するための投資として、トンネル探査技術やICT施工技術の開発に向け、年間約1億5000万円の研究開発費を計上しています。

徹底した現場管理とスリムな本社機能により、効率的なコストコントロールを実現しています。

自己強化ループ

株式会社大本組のビジネスモデルには、実績が次の競争力を生み出す強固な好循環の仕組みが存在しています。

第一の起点として、中国地方での大規模公共工事や難易度の高いトンネル工事などを高品質で完了させることで、官公庁から高い工事成績評定点を獲得します。

この実績により、第二のステップとして、高付加価値工事の入札において優位に立つことができ、手持ち工事高を確実に確保して安定収益を生み出します。

第三のステップとして、確保した豊富な資金を背景に、ICT建機やドローンなどのDX投資や人材育成へ積極的に資金を投下します。

第四のステップとして、最新技術の導入と高度なスキルを持つ人材によって施工の効率化と品質向上が実現し、さらなる競争力の強化に繋がります。

そして再び、より高い評定点と信頼の獲得という最初の起点へと戻る循環を描いています。

この循環が機能している証左として、2024年時点での経営事項審査における総合評定値は土木と建築ともに1,200点から1,400点超というトップクラスの水準を維持しています。

また、2024年3月末時点での繰越工事高は約650億円にのぼり、1年分以上の売上に相当する豊富な手持ち工事を抱えています。

さらに、自己資本比率は2022年3月期の60.1パーセントから2024年3月期の62.4パーセントへと堅調に上昇を続けています。

このように、信頼と技術投資が相互に作用することで、企業の成長が自動的に加速する自己強化ループが完成しています。

採用情報

株式会社大本組は、地域社会のインフラを創る責任感と熱意を持ち、主体的にコミュニケーションをとりながら現場を統括できる人材を求めています。

2025年4月入社実績および2026年採用基準における新卒初任給は、大学院卒の技術職で月給265,000円、大学卒の技術職で月給250,000円、大学卒の事務職で月給235,000円、高専や短大および専門卒で月給220,000円となっています。

休日制度については完全週休2日制を採用しており、現場における4週8休運動を推進することで、2024年度の年間休日総数は125日を実現しています。

直近3年の新卒採用人数は、2022年入社が28名、2023年入社が31名、2024年入社が33名と、安定した採用活動を継続しています。

公式情報として明確な応募者数と内定者数の全容は公表されていないため、正確な採用倍率に関する記述は控えます。

定着率と待遇の指標として、2024年3月末時点での平均勤続年数は17.2年であり、2024年3月期の平均年間給与は7,820,000円となっています。

選考フローは、エントリーから会社説明会、適性検査を経て、人事による一次面接と役員による二次面接へと進む段階的なプロセスが用意されています。

安心して長期的なキャリアを築くことができる充実した労働環境が整えられています。

株式情報

株式会社大本組は、証券コード1793として、東京証券取引所のスタンダード市場に上場しています。

株式の売買単位である単元株数は100株に設定されており、決算期は毎年3月となっています。

株主優待制度については導入されておらず、株主への利益還元は主に配当金の支給によって行われています。

配当方針については、安定的な配当の維持を基本としつつ、業績に応じた成果配分を行う考え方を示しています。

具体的には、配当性向30パーセント程度を目安とし、株主資本配当率なども考慮した還元方針を採用しています。

株価水準については、2025年5月時点でおよそ9,500円から10,000円前後の価格帯で推移しています。

この株価水準と単元株数から算出した場合、最低投資金額の目安はおよそ950,000円から1,000,000円となります。

なお、株価や配当金などの数値は市場環境によって常に変動するため、実際の投資判断に際しては証券会社やIR公式情報等の最新数値をご自身でご確認くださいますようお願いいたします。

未来展望と注目ポイント

株式会社大本組の今後の成長戦略において、2024年4月から2027年3月までを対象期間とする中期経営計画「Challenge & Innovation for Next 100」が重要な羅針盤となります。

この計画において、同社は2027年3月期の数値目標として、連結売上高650億円、連結営業利益38億円、自己資本利益率6.0パーセント以上、そして自己資本比率60パーセント以上の維持を掲げています。

成長ドライバーとしては、国土強靱化計画に伴う水害対策やトンネル補修工事の受注を強化するとともに、首都圏エリアにおける民間再開発や物流施設建設の受注拡大を見込んでいます。

また、建設現場の生産性向上を目指し、3年間で約15億円の設備投資を計画しており、建設機械のICT化や社内ITインフラの刷新を進めています。

さらに、年間約2億円規模の研究開発費を投じて、建設現場の省力化ロボットやトンネル施工のAI画像解析システムなどの技術開発を推進しています。

100年企業としての伝統を守りながら建設DXを通じた革新を続ける株式会社大本組の取り組みは、これからのインフラ整備において大いに注目されるポイントです。

 

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