株式会社アクシーズの魅力を徹底解説 ビジネスモデルが生み出す成長戦略

水産・農林業

企業概要と最近の業績

株式会社アクシーズ

鹿児島県に本社を置く、鶏肉の生産から加工、販売までを一貫して手掛ける企業です。

種鶏の飼育から、ひなの孵化、鶏の育成、そして食肉加工や加工食品の製造、販売まで、すべてを自社グループで行う「製販一体」の体制を強みとしています。

「赤鶏のめぐみ」などのオリジナルブランド鶏も展開しています。

大手ファーストフードチェーンやコンビニエンスストア、スーパーマーケットなどに、安全・安心な鶏肉製品を供給しています。

2025年6月期の通期決算では、売上高が256億40百万円となり、前の期と比べて5.1%の増収となりました。

ファーストフードやコンビニエンスストア向けの販売が好調に推移したことが主な要因です。

利益面では、鶏の飼料価格が高止まりする厳しい環境が続いたものの、生産性の向上努力や販売する製品構成の最適化などによってコストを吸収しました。

その結果、本業の儲けを示す営業利益は24.0%増の12億15百万円となり、経常利益、最終的な純利益もそれぞれ20%を超える大幅な増益を達成しています。

【参考文献】https://www.axes-group.co.jp/

価値提案

株式会社アクシーズの最大の強みは、安全で安心な鶏肉を提供する点です。

飼育の段階から抗生物質や抗菌製剤を使わない「無薬鶏」を育て上げることで、健康志向の消費者ニーズを強くつかんでいます。

この価値提案が生まれた背景には、食の安心を求める社会の要請が大きく関係しています。

従来の飼育方法では薬剤を使用することが一般的でしたが、同社はあえて手間とコストのかかる無薬鶏にこだわりました。

その結果、他社との差別化がはっきりと打ち出され、企業ブランドの向上にも貢献しています。

さらに一貫生産システムによって品質管理が行き届くため、鶏肉の味や鮮度といった評価も高く、リピーターを着実に増やしています。

安全安心と高品質を両立させる努力が、同社の価値提案を盤石なものにしているのです。

主要活動

同社の主要活動は、鶏の飼育から加工、そして販売に至るまでをすべて自社内で行うことです。

この一貫生産体制が整備されていることで、中間業者などを通さずに一気通貫で製品を作り上げることが可能となっています。

ここで重要なのは、鶏を育てる農場だけでなく、加工場や流通体制まで自社で持っている点です。

これにより、生産工程の透明性を確保しながら、鶏肉の品質や鮮度を厳しくチェックできます。

また食の安全基準が年々高まるなかで、トレーサビリティの徹底が求められていますが、同社の一貫体制はその要請にも対応しやすい仕組みです。

こうした主要活動が企業の信頼度を高め、外食産業や食品メーカーとの取引拡大につながっています。

リソース

アクシーズのリソースには、直営農場や高度な衛生管理が行われる加工工場があります。

これらの設備を自社で所有しているため、鶏の成長段階から出荷まで一括で管理できる仕組みが整っています。

さらに安全基準を満たすための品質管理体制が充実しており、衛生・検査専門のスタッフも多く配置されています。

人材面でもノウハウの蓄積が大きな財産になっており、無薬鶏の飼育方法や鶏肉の加工技術など、他社が模倣しにくい技術力を備えている点が特徴です。

これらのリソースが組み合わさることで、高品質な鶏肉を安定的に供給できるだけでなく、顧客からの厳しい要望にも柔軟に対応できる体制を作り上げています。

こうした独自のリソースが同社の競争優位性を下支えしていると考えられます。

パートナー

主要なパートナーとしては、日本ハムやケンタッキーフライドチキンなどの外食チェーンや食品メーカーが挙げられます。

BtoB取引が中心であり、厳格な品質基準を求める大手企業との長期的な契約を築いているのが特徴です。

パートナー企業は安心安全な食材を求めているため、無薬鶏や一貫生産の強みを持つアクシーズとの協業には高いメリットがあります。

またパートナー側が展開する新商品の開発や地域限定メニューの拡充などにも柔軟に対応できる体制が整っており、双方のブランド価値を高め合う関係が続いています。

このような信頼関係が安定した売上につながり、鶏肉市場において同社の存在感をさらに強固なものにしています。

チャンネル

同社のチャンネルには、直営の流通網と主要取引先からの販売経路があります。

飼育から加工を終えた鶏肉は、自社トラックなどを使って効率よく各地へ運ばれています。

また大手外食チェーンや食品メーカーへの供給ルートは、同社の売上を支える大きな柱になっています。

チャンネル戦略としては、広範囲に及ぶ流通網を最適化し、鶏肉をできるだけ新鮮な状態で提供することが重要視されています。

時間にシビアな外食産業でも安心して仕入れられるよう、配送スケジュールや在庫管理を徹底しているのです。

こうしたチャンネルの強化によって、顧客満足度が高まり、リピート受注や新規顧客の獲得が続いています。

顧客との関係

長期的なパートナーシップを重視しており、一度取引が始まると継続的に信頼関係を深める姿勢をとっています。

BtoBが中心となるため、特に品質面や安定供給に対する期待が大きい顧客が多いのが特徴です。

同社は品質管理や衛生面で常に最新の情報を提供することで、顧客企業との連携を強めています。

また新製品のテストや試食会を通じたフィードバックにも積極的で、顧客と共同でブランド価値を高める活動を行っているところもポイントです。

こうしたきめ細かなコミュニケーションが、競合他社ではなかなか築きにくい強固な顧客関係を可能にしています。

顧客セグメント

顧客セグメントは大手食品メーカーや外食チェーンが中心となっています。

具体的には日本ハムやケンタッキーフライドチキンなど、国民的に知られる企業に対して鶏肉を安定供給しています。

これらの企業は高水準の安全基準を持っており、無薬鶏のような付加価値がしっかりと評価されています。

また消費者の健康志向が高まる中で、安全性の高い鶏肉を提供できる同社の存在感はさらに増しています。

今後は一般消費者向けの商品展開も拡大することで、家庭用市場への進出が期待されます。

収益の流れ

収益の中心は鶏肉および加工食品の販売です。

外食チェーンや食品メーカーに納品することで売上を獲得し、加工段階で付加価値を高めるほど利益が増える仕組みになっています。

鶏肉の価格は国際相場や飼料価格に左右されやすいものの、無薬鶏という差別化要素や一貫生産によるコスト効率化によって、一定の価格競争力を保っています。

また安定的なパートナー企業との長期契約により、大きく売上が乱高下するリスクを抑えることができています。

そうした安定基盤を活かして、さらなる加工技術の開発など、新たな収益源も模索しています。

コスト構造

同社のコスト構造では、鶏の飼育に必要な飼料費や農場・工場で働く人件費が大きな割合を占めています。

特に昨今の原料費高騰は、収益性に直接影響を与えており、鶏の飼育期間が長引くほどコスト増につながるリスクもあります。

また自社設備の維持や衛生管理のための投資も欠かせず、一貫生産のメリットを最大化するには、施設のアップデートと専門スタッフの育成が重要です。

これらのコスト増をいかに吸収しながら、より高品質な鶏肉を提供できるかが経営のカギとなっています。

無薬鶏へのこだわりは大きなコストを伴う反面、差別化効果によるブランド力向上も狙えるため、このバランスをどう取るかが今後の課題です。

自己強化ループ

同社の自己強化ループは、一貫生産によって品質を徹底し、外食産業や食品メーカーからの信頼を獲得するところから始まります。

信頼が高まると注文量が増え、規模の経済が働きやすくなり、コスト効率も改善されます。

その結果、鶏の飼育から加工までのプロセスにより多くの投資を行え、品質管理をさらに向上させることが可能です。

こうして高品質な鶏肉が市場で好評を博すと、健康志向の一般消費者からの認知度が高まり、新たな需要が生まれます。

需要が増えると生産量を拡大でき、再びスケールメリットが拡充するという循環が生まれるのです。

また無薬鶏へのこだわりがブランド力の向上につながり、差別化を強化しながら新規顧客の取り込みも進むことで、さらに収益力が増すという好循環を作り出しています。

こうした自己強化ループが同社の強さの源になっているといえます。

採用情報

初任給は大学卒や大学院卒で210,000円が提示されています。

完全週休2日制に加えて祝日や年末年始、夏季休暇など休暇制度が充実しており、年間休日は125日となっています。

食品関連の企業では珍しく特別休暇や誕生日休暇も設定されており、ワークライフバランスに配慮した制度を整えている点は求職者にとって大きな魅力です。

採用倍率は非公開ながら若干名の採用予定となっており、食品業界や安全安心な食づくりに興味のある人材にとっては注目される企業といえるでしょう。

株式情報

同社の銘柄コードは1381で、2025年3月6日時点の株価は1株あたり2,739円となっています。

安定した配当方針をとっており、2025年6月期の年間配当金は1株当たり98.5円を予定しています。

これは前期と同水準で、株主に対する還元姿勢がうかがえます。

外食産業や食品メーカーへの供給が主力事業であるため、景気や原料価格の動向によって変動するリスクはあるものの、安全安心を求めるニーズが今後も続くと考えられ、投資家からの関心も高まっています。

未来展望と注目ポイント

今後は健康志向の消費者ニーズがさらに高まることが予想されるため、無薬鶏を柱とする同社のビジネス展開はさらなる成長余地を秘めています。

一貫生産による品質管理能力と、コスト面での効率化が進めば、より幅広い顧客セグメントへのアプローチが可能となるでしょう。

加えて外食産業だけでなく、家庭向け市場を狙った新たな商品開発に力を入れることで、販売チャンネルの多角化が期待されます。

原料費の高騰など外部環境の不確定要素はあるものの、無薬鶏ブランドや独自技術を活かした差別化戦略が実践できれば、安定した収益基盤の確立が見込まれます。

また業績データを分析していくと、一貫生産で得られるコスト削減効果とブランド力向上が、今後の成長エンジンになっていく可能性も高いです。

社員への待遇を充実させることで優秀な人材を確保し、さらに新しい顧客ニーズにも対応できる体制を整えていけば、着実な業績拡大と株主還元を同時に実現できる企業へと進化することが期待されます。

こうした取り組みが進めば、アクシーズは食肉業界において存在感を強めるだけでなく、安全安心のリーディングカンパニーとして長期的に成長していくことでしょう。

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