企業概要と最近の業績
株式会社第一カッター興業
ダイヤモンドを使ったコンクリートの切断や穴あけ工事を専門とする、業界のリーディングカンパニーです。
道路や橋、トンネル、空港といった社会インフラの維持・補修工事に欠かせない高い技術力を持っています。
「切る・はつる・洗う・剥がす・削る」といった多岐にわたる特殊技術を駆使しています。
老朽化した社会インフラの長寿命化や、災害に強い国土づくりに貢献している会社です。
2025年6月期の通期決算では、売上高が204億16百万円となり、前の期と比べて6.6%増加し、過去最高を記録しました。
公共投資が堅調に推移し、インフラの維持・修繕や防災・減災関連の工事が安定していたことが主な要因です。
利益面でも増益を確保しており、本業の儲けを示す営業利益は1.9%増の20億56百万円となりました。
経常利益は2.0%増の21億30百万円、最終的な純利益は2.7%増の14億44百万円で、増収増益を達成しています。
価値提案
株式会社第一カッター興業が提供する最大の価値は、高度な切断や穿孔技術を通じて、コンクリート構造物や建物の改修解体を迅速かつ安全に行う点にあります。既存の建物やインフラを傷つけずに必要な部分だけを的確に切断したり穿孔したりできるため、無駄を最小限に抑えられるのが大きな魅力です。
【理由】
なぜそうなったのかというと、長年にわたる現場経験を積み重ねながらダイヤモンド工法やウォータージェット工法などの専門技術を研鑽してきたからです。
これらの技術は繊細かつ強力な機器を扱うため、豊富なノウハウを有する熟練の技術者が不可欠となります。
同社はこうした専門家集団を組織的に育成し、他社にはない正確でスピーディーな施工を提案できる体制を整えました。
これが建設現場における安全性と効率化を同時に実現する価値を生み出しています。
主要活動
同社が行う主要な活動は、切断や穿孔といったコア技術を中心とした施工業務と、建物維持管理を含むビルメンテナンス事業の大きく二つに分かれます。
切断や穿孔の分野では、老朽化したインフラや建物のリニューアル工事で大量の依頼を受けることが増えています。
【理由】
なぜそうなったのかを考えると、社会全体のインフラ老朽化と耐震補強のニーズが高まっているからです。
またビルメンテナンスでは、清掃や修繕だけでなく長期的な維持管理や補修工事にも対応しており、建物オーナーの幅広いニーズを満たしています。
こうして複数の柱を持つことで、工事需要が落ち込む局面でも別の分野で収益を補える体制が整い、安定経営に寄与しています。
リソース
同社のリソースは、高度な専門技術を持つ人材と、切断や穿孔に用いられる特殊機械設備、そして長年積み重ねてきた技術ノウハウに集約されます。
【理由】
なぜそうなったのかというと、建築物や橋梁などを精密に加工するためには、熟練技術者が取り扱う特殊機器が不可欠だからです。
例えばダイヤモンドブレードや超高圧ウォータージェットは、正確でありながら扱いが難しく、安全対策も厳重に行わなければいけません。
このため人材育成が大きな投資ポイントとなり、徹底した研修や資格取得支援制度などを整えているのも特徴です。
また施工ノウハウについては、各現場で蓄積したデータをもとに独自のマニュアルを作成し、次の工事でさらに品質を高める仕組みを整えています。
こうした人材と機器、ノウハウが同社の成長を下支えする重要なリソースとなっています。
パートナー
株式会社第一カッター興業が協力関係を築いているのは、大手ゼネコンや専門工事業者など多岐にわたります。
【理由】
なぜそうなったのかというと、同社の切断穿孔技術がさまざまな建設プロジェクトに欠かせない存在となっており、綿密な連携が必要だからです。
大規模な再開発工事やインフラ整備の現場では、総合建設会社が全体を統括しつつ、専門性の高い作業を外部に委託します。
ここで同社が培ってきた実績と信頼が買われ、安定的な契約関係を築いています。
また、一部の現場では協力業者が互いに補完し合い、特殊な施工や緊急対応に備えるケースも少なくありません。
こうしたパートナーとの強固なネットワークが受注拡大につながり、経営基盤の安定をもたらす大きな要因となっています。
チャンネル
同社のチャンネルは、全国各地に展開している営業所と公式ウェブサイトが中心です。
【理由】
なぜそうなったのかといえば、切断や穿孔といった工事の需要は大都市だけでなく、地方のインフラや建物でも発生するため、地域密着型の営業所が欠かせないからです。
各営業所では地元の建設会社や公共団体との関係を深め、迅速に施工提案や見積もり対応ができる体制を確立しています。
ウェブサイトについては、事例紹介や技術解説を充実させることで新規顧客にアピールし、企業理解を高める役割を果たしています。
このように複数のチャンネルを活かして受注や問い合わせを獲得しており、規模の大きな現場から小規模リフォームまで幅広い案件に応えられるよう工夫しています。
顧客との関係
顧客との関係は長期的なパートナーシップを重視しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、切断や穿孔工事は一度だけで終わるケースよりも、定期的に発生する改修や補修工事が多いからです。
特に公共インフラや大型ビルでは、老朽化に伴う補修や追加工事が続くため、継続的に相談できる施工パートナーが重要視されます。
同社は工事後のアフターフォローや点検サービスを行い、技術的なアドバイスを提供することで信頼をさらに高めています。
こうした顧客目線での対応によってリピーターや紹介が生まれ、新たな案件へとつながる循環を築いているのが特徴です。
顧客セグメント
同社の顧客セグメントは、建設業者や公共団体を中心に、ビルや施設のオーナーなど多岐にわたります。
【理由】
なぜそうなったのかというと、切断や穿孔の需要は新築だけではなく、老朽インフラの補修や耐震工事などでも発生するため、国や自治体の公共事業にも深く関わるようになったからです。
さらにビルメンテナンス分野では、ビルやマンションを所有する個人や企業、管理組合が顧客となります。
幅広い顧客層に対応することで、景気の影響を受けにくい安定的な収益基盤を築いている点が同社の強みといえます。
収益の流れ
収益の流れは、主に工事請負収入から成り立っています。
【理由】
なぜそうなったのかを考えると、同社のビジネスは切断や穿孔などの専門施工を請け負い、実際の工事を行うことで対価を得る仕組みに基づいているからです。
ビルメンテナンス事業でも、定期的な清掃や修繕工事の費用を顧客に請求することで収益を得ています。
また工事案件が大規模であるほど売上高へのインパクトも大きく、定期契約でメンテナンスを受託する場合は安定した継続収入につながります。
こうした収益構造によって、同社は安定と成長を両立しやすい環境を整えてきました。
コスト構造
コスト構造の中心は、人件費と特殊機材の維持費、そして施工現場で発生する諸経費です。
【理由】
なぜそうなったのかというと、切断や穿孔は高い専門性を要するため、熟練の技術者に支払う人件費が大きな割合を占めるからです。
さらにダイヤモンドブレードやウォータージェットマシンなどの機材は導入費用が高く、メンテナンスコストや消耗品の交換費用も馬鹿になりません。
加えて、現場での安全管理や交通費、搬入搬出にかかる諸経費も積み上がるため、利益率に影響を与えます。
ただし、高度な技術を提供することで付加価値の高い単価設定が可能となり、コストを上回る売上を実現できるビジネスモデルを構築しているのが同社の特徴です。
自己強化ループ
株式会社第一カッター興業の事業には、技術力と実績が互いに影響し合う自己強化ループが存在します。
切断や穿孔などの高度な施工を数多く手掛けることで、技術者はより多くの現場経験を積み重ねます。
するとノウハウが蓄積されて施工技術がさらに向上し、新たな課題や難易度の高い工事にも柔軟に対応できるようになります。
これにより顧客からの評価が高まり、大手ゼネコンや公共団体からの受注が増加していくのです。
こうした工程を繰り返すたびに企業としての信用力が高まっていき、新しいプロジェクトに挑戦する機会も拡大します。
結果として、技術力の高さが安定受注と収益の拡大につながり、その収益がさらに人材や機材への投資に回されるという好循環が生まれているのが特徴といえます。
採用情報
株式会社第一カッター興業の初任給は、大学卒で270,000円、大学院卒では283,920円、短大や専門卒の場合は256,080円です。
いずれの給与にも外勤手当や消耗品手当が含まれており、現場対応が多い同社ならではの仕組みといえます。
年間休日は115日とされており、春や夏、年末年始などにまとまった休暇を取りやすいのが魅力です。
採用倍率については公開されていませんが、高度な技術を必要とする業務が多いため、意欲や適性が重視されると考えられます。
株式情報
同社の銘柄は証券コード1716で、市場では安定的な受注力と成長期待に注目が集まっています。
2025年6月期の年間配当は1株当たり40円を予定しており、前期の38円から2円の増配となっています。
これは株主還元を積極的に行おうとする姿勢を示しており、投資家にとっても魅力的なポイントです。
2025年3月6日の終値は1,391円で推移しており、配当利回りとあわせて中長期での投資を検討する際の選択肢としても注目されています。
未来展望と注目ポイント
今後は老朽インフラの増加や耐震工事の需要が引き続き高まる見通しのため、同社の切断や穿孔技術は幅広い分野で必要とされると考えられます。
さらにビルメンテナンス事業でも、ビルオーナーや施設管理者の安全意識が高まっており、定期的な点検や修繕の依頼が増加する可能性があります。
こうした背景から、同社の成長戦略は技術力の更なる向上と、全国各地での営業網の拡充、そして人材育成の強化にフォーカスしていくことが予想されます。
安定的な配当や堅実な経営方針を維持しながらも、新しい工法や機器の導入を進めることで施工時間の短縮や安全性の向上を実現し、顧客満足度をさらに高めることが重要になるでしょう。
社会インフラを支える企業としての役割を果たしながらも、技術革新と効率化を同時に図る企業姿勢が、これからの成長を大きく後押しすると期待されています。
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