株式会社第一カッター興業のビジネスモデルがすごい 安定成長の秘密に迫る

建設業

企業概要と最近の業績

第一カッター興業株式会社

【全体の業績】

第一カッター興業株式会社は、道路、橋梁、鉄道、ビルなどのコンクリート構造物やアスファルトの切断・穿孔(穴あけ)工事を中核に展開する専門建設企業であり、ダイヤモンド工法やウォータージェット工法といった極めて高度な施工技術と、全国のインフラメンテナンス需要をカバーする圧倒的な機動力を最大の強みとしています。

同社は、インフラの維持管理・補修を担う主力の切断・穿孔工事事業をはじめ、都市の生活環境を守るビルメンテナンス事業などを多角的に構築しており、社会インフラの老朽化対策や長寿命化リニューアル工事が本格化する中で、業界のパイオニアとして確固たる地位を築いています。

このような強固な事業基盤を持つ同社の最新の通期決算における業績は、売上高が20,228百万円となり、前年同期に比べて3.3パーセントの減収を記録しました。

本業の儲けを示す営業利益は1,647百万円となり、前年同期比で32.9パーセントの減益となりました。

また、経常利益については1,791百万円を計上し、前年同期比で36.7パーセントの減益を記録しています。

最終的な経営成果である親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比32.7パーセント減の1,327百万円となり、全体として減収減益の決算となりました。

この業績結果をもたらした要因としては、主力の切断・穿孔工事事業において、前年同期に極めて活発であった高速道路の大規模リニューアル工事の受注・施工が、期中に減少へと転じたことが全体の売上高を押し下げる最大の要因となりました。

さらに、建設業界全体において深刻化している専門人材の不足に伴う労務費の上昇や、施工に関わる原材料費、外注コストの高騰といった外部環境のコスト圧力が利益面での重荷となりました。

一方で企業側が講じた施策として、大手デベロッパー案件を確実に受注・施工したビルメンテナンス事業が増収増益を確保して業績の下支えに貢献したほか、工事現場における徹底的な進捗・原価管理による諸経費の抑制に注力しました。

あわせて、不採算セグメントの事業整理を推進し経営資源の最適配分を図るなど、機動的な施策を粘り強く講じたことにより、厳しい受注環境やコスト上昇の中にあっても、健全な財務体質と高水準の利益基盤をしっかりと維持しています。

【参考文献】https://www.daiichi-cutter.co.jp/ir

価値提案

第一カッター興業株式会社は、構造物を壊さずに音や振動や粉塵を最小限に抑えて精密に切断し除去する技術施工サービスを提供しています。

【理由】
なぜそうなったのかというと、創業期に都市部のビルやインフラ工事で騒音クレームが多発しており、周辺環境へ配慮しつつ短工期で精密に施工する需要に応えるため、従来の圧砕や破砕からダイヤモンド切断や水圧カット技術へ舵を切ったからです。

高速道路床版取替工事における静音ワイヤーソーイングの実績や、羽田空港滑走路改修における夜間短時間穿孔施工の実績を有しています。

さらに、騒音値を従来比50パーセント以上削減するオリジナル防音カバー付き施工機器の開発など、独自の技術力で社会課題を解決しています。

これらの実績により、稼働中の施設や夜間など限られた工期内での施工において他社を圧倒する価値を提供しています。

主要活動

第一カッター興業株式会社の主要な活動は、特殊施工の現場作業、施工機器や工具の自社設計および整備と改修、そして直営技術者の安全や技能教育です。

【理由】
なぜそうなっているのかというと、現場ごとに構造物の強度や材質や現場環境が異なるため、市販の施工機械だけでは対応できず、機材の改良や自社整備が競合優位性の源泉となるからです。

神奈川県茅ヶ崎市にある湘南工場では、機械や工具の整備や内製化体制を構築し、現場のニーズに迅速に対応しています。

また、特許取得済みの超高圧ウォータージェットノズルや切断ガイド装置の開発を行い、施工技術の高度化を推進しています。

自社トレーニング施設での若手技術者向け定期施工実習を通じて、高度な技能を継承し、現場での対応力を高める活動を継続しています。

リソース

第一カッター興業株式会社の核となるリソースは、熟練した数百名体制の直営オペレーター集団と、全国トップクラスの規模を誇る大量の自社所有特殊車両および機材です。

【理由】
なぜそうなったのかと説明すると、下請けや外注に依存してしまうと高難度で危険度の高い現場において施工品質と納期を守り切れず、緊急時の動員力が低下してしまうため、直営施工主義と自社機材保有を選択しているからです。

ウォータージェット施工車両やダイヤモンド切断機を各種数百台規模で保有しており、他社には真似できない機動力を有しています。

さらに、積み重ねられた施工ノウハウに加え、特許や実用新案などの産業財産権を複数保有していることも強力なリソースとなっています。

自社で開発と整備を行える体制と、それを扱う専門技能者の両輪が、質の高いサービス提供を可能にしています。

パートナー

第一カッター興業株式会社の事業を支えるパートナーには、大手ゼネコン、高速道路会社、ダイヤモンド工具などの機械部材メーカー、施工協力会社が含まれます。

【理由】
なぜそうなっているのかを挙げると、インフラ大規模修繕工事の一次下請けや二次下請けとして安定した受注を得るためには、ゼネコンおよび道路公社との強固な信頼関係が不可欠だからです。

鹿島建設、大林組、清水建設、大成建設、竹中工務店などとの直接的かつ継続的な取引があり、長年の実績が信頼の証となっています。

NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本の発注工事における指定施工店としての実績も豊富に有しています。

また、旭ダイヤモンド工業などから専用工具を調達し、共同テストを行うことで、施工技術の向上と効率化を図る強固なパートナーシップを築いています。

チャンネル

第一カッター興業株式会社は、ゼネコンやエンジニアリング会社への直接営業、官公庁やインフラ事業者への技術提案、既存顧客からの指名によるリピート受注を主要なチャンネルとしています。

【理由】
なぜそうなったのかというと、施工の専門性が極めて高く、設計や発注段階から工法提案を行う必要があり、代理店を通さず自社技術営業が直接アプローチする構造になっているからです。

東京、神奈川、大阪、名古屋、福岡などの全国主要都市に営業拠点のネットワークを展開し、地域に密着した営業活動を行っています。

受注案件の約80パーセント以上が既存取引先からの直接指名やリピート案件となっており、顧客との強いパイプが形成されています。

技術営業担当者が施工見積もりや工法比較のシミュレーション提案を直接行うことで、顧客のニーズに的確に応えるチャンネルを維持しています。

顧客との関係

第一カッター興業株式会社は、現場でのトラブルゼロを目指し、高い安全性と確実性を軸とした長期的な信頼伴走関係を顧客と築いています。

【理由】
なぜそうなっているのかを説明すると、インフラ工事や稼働中の工場での施工では、わずかな施工ミスやスケジュールの遅延が莫大な損失に直結するため、安さではなく確実にやり遂げる信頼が最も重視されるからです。

主要なゼネコン顧客とは30年以上にわたる継続的な取引関係を構築しており、その信頼の厚さが伺えます。

24時間体制での緊急トラブル対応や現場への駆けつけ体制を整備し、顧客の緊急事態にも迅速に対応しています。

安全衛生協議会において高い施工安全評価賞を受賞した実績もあり、安全性を担保することで顧客との強固な関係を維持しています。

顧客セグメント

第一カッター興業株式会社の顧客セグメントは、大手中堅の建設会社であるゼネコン、高速道路や鉄道や空港などのインフラ管理事業者、大型ビルやプラントを所有する企業、そしてビル管理会社です。

【理由】
なぜそうなったのかというと、老朽化した道路や橋梁の増補改修といった土木市場と、都市再開発やビル改修といった建築市場の2大巨大市場をカバーするためです。

2024年6月期の実績において、売上高に占める土木やインフラ関連工事の比率は約55パーセントに達しています。

建築や都市再開発関連工事の比率も約23パーセントとなっており、幅広い建設需要を取り込んでいます。

さらに、ビルメンテナンスや環境関連の顧客も約18パーセントを占めており、多様なセグメントに対してサービスを展開しています。

収益の流れ

第一カッター興業株式会社の収益は、切断解体工事の完成高による施工請負フロー収益と、ビルメンテナンスおよび環境事業の定期保守契約によるストック収益から成り立っています。

【理由】
なぜそうなっているのかの背景には、単発の大型工事受注の波による業績変動を和らげ、安定的な営業キャッシュフローを維持するためにストック事業を併せ持つ戦略があるからです。

2024年6月期の売上構成比を見ると、施工請負である切断解体事業が約78.2パーセントを占め、収益の柱となっています。

一方で、ビルメンテナンスや環境事業のストック収益が約17.5パーセントを占め、安定した基盤を提供しています。

売上総利益率である粗利益率が約28パーセントから30パーセントという高い水準を誇っており、高付加価値な施工による強固な収益構造を構築しています。

コスト構造

第一カッター興業株式会社のコスト構造は、施工オペレーターの人件費や労務費、機械装置の減価償却費および整備維持費、ダイヤモンド工具などの消耗品費、燃料費、そして販売費及び一般管理費で構成されています。

【理由】
なぜそうなったのかについて解説すると、自社で大量の機材と専門職人を直接抱える重資産かつ人財集約型のモデルであるため、原価に占める労務費と機材関連費用の割合が高くなるからです。

2024年6月期における売上原価率は約70.5パーセントとなっており、高度な技能と特殊機材を維持するための費用が主要なコストです。

同期間の販売費及び一般管理費の比率は約18.0パーセントに抑えられています。

また、車両や切断機器の新規購入および更新にかかる年間設備投資額は約12億円から18億円規模となっており、持続的な成長に向けた投資を継続しています。

自己強化ループ(フィードバックループ)

第一カッター興業株式会社は、競合他社が容易に模倣できない強固な自己強化の仕組みを構築しています。

まず起点となるのが、最新機材の自社開発や購入、そして直営オペレーターの育成といった自社機材と人財への集中投資です。

これにより、他社が対応困難な高難度で短工期かつ静音施工を完工できる圧倒的な現場対応力と施工品質が確立されます。

その高い技術力が評価されることで、ゼネコンやインフラ事業者からの指名受注が増加し、価格競争に巻き込まれずに高粗利案件を獲得できます。

結果として、2024年6月期の実績で建設業界平均を大幅に上回る11.5パーセントという高い営業利益率を達成し、潤沢な営業キャッシュフローが創出されます。

この利益が再び技術開発や機材拡充へと再投資されることで、循環が加速します。

このループが実際に機能していることは、2024年6月期時点の自己資本比率75.4パーセントという強固な財務基盤や、長年にわたり主要ゼネコンから80パーセント超のリピート率を獲得している事実から裏付けられます。

採用情報

第一カッター興業株式会社の2025年4月および2026年4月入社予定の新卒初任給は、総合職および技術職の大学卒が月給24万5000円、大学院卒が月給25万5000円、専門や高専や短大卒が月給22万5000円となっています。

2024年度および2025年度実績の年間休日総数は122日であり、完全週休2日制を採用していますが、現場の都合で休日出勤が発生した場合は振替休日を取得する仕組みです。

特別休暇として夏季休暇、年末年始休暇、初年度10日の年次有給休暇、慶弔休暇、バースデー休暇、リフレッシュ休暇が用意されています。

直近の新卒採用人数は、2022年入社が18名、2023年入社が21名、2024年入社が22名となっており、安定して人材を採用しています。

年間応募総数に対する採用者数から算出した総合職および技術職の採用倍率はおよそ12倍から15倍です。

2024年6月30日時点の平均勤続年数は11.4年であり、平均年間給与は638万0000円です。

求める人物像としては、自ら考えて行動できる主体性や、モノづくりやインフラ維持への情熱、そしてチームワークと安全意識を重視できる人物が掲げられています。

株式情報

第一カッター興業株式会社の証券コードは1716であり、東京証券取引所のプライム市場に上場しています。

単元株数は100株単位で取引されており、本決算月は毎年6月となっています。

株主優待制度については導入されておらず、株主還元は配当金に集約する方針がとられています。

配当方針については、連結配当性向30パーセント以上を目安とし、業績に応じた成果配分と安定配当の継続を基本としています。

加えて、累進的かつ会社の成長に応じた増配を目指す姿勢を示しています。

株価水準は2026年2月時点でおよそ1350円から1450円台で推移しており、単元株数100株を購入する場合の最低投資金額の目安は約13万5000円から14万5000円となります。

なお、株価や配当などの数値は日々変動するため、実際に投資判断を行われる際は最新情報を必ずご自身でご確認いただきますようお願いいたします。

未来展望と注目ポイント

第一カッター興業株式会社は、2024年6月期から2026年6月期までを対象とした「中期経営計画 2026」を推進し、持続的な成長を目指しています。

2026年6月期の数値目標として、売上高260億円、営業利益30億円、営業利益率11.5パーセント以上、自己資本利益率であるROE10.0パーセント以上を掲げています。

今後の成長ドライバーとして、国土強靱化策に基づく高速道路の大規模更新へのダイヤモンドワイヤーソー工法やウォータージェット工法の集中投入に注力します。

また、インフラの塗装剥離やはつり需要の増加に対応するため、ウォータージェット専用車両の増設と地方拠点の整備を全国展開していく計画です。

設備投資計画として3年間で累計約40億円から50億円を見込み、車両や特殊切断機械の導入を進めます。

さらに、年間約6000万円から1億円の研究開発費を投じ、静音化や自動切断ロボット、作業の遠隔化技術の開発を通じて、未来のインフラ維持に貢献する戦略です。

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