大豊建設のビジネスモデルで読む成長戦略

建設業

大豊建設とは

大豊建設株式会社

【全体の業績】

大豊建設株式会社は、土木事業および建築事業を中核とし、長年にわたり都市インフラや各種建築物の整備に貢献してきた総合建設会社(ゼネコン)です。特に、陸上や地下の水圧を利用して安全かつ確実に大型構造物を沈設させる独自の「ニューマチックケーソン工法」をはじめとする高度な土木技術において業界屈指の実績と認知度を誇ります。また、シールド工法によるトンネル工事や、大規模集合住宅、医療・福祉施設、教育施設などの建築分野においても強固な施工体制を有しており、社会インフラの整備から都市再開発まで幅広く応える総合力を強みとして展開しています。

同社の最新の連結決算(2026年3月期)は、売上高が前期比12.1%増の1685億4000万円、営業利益が前期比85.4%増の62億3000万円、経常利益が前期比78.9%増の63億1000万円、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比65.2%増の43億8000万円となり、大幅な増収増益を達成しました。

これは、土木事業および建築事業において大型案件を中心とした手持ち工事の施工が計画通り順調に進捗して売上高を大幅に押し上げたことに加え、建設資材価格の高騰や労務費の上昇が続く厳しい環境下においても、採算性を重視した慎重な選別受注の徹底や、現場における施工管理の最適化による原価低減活動が大きく寄与し、売上総利益率が著しく改善したことによるものです。

【参考文献】https://www.taiho-c.co.jp/

価値提案

大豊建設株式会社は地上への影響を最小限に抑えつつ大深度地下や軟弱地盤での高精度かつ安全な大型地下構造物の構築を施工サービスとして提供しています。

【理由】
なぜそうなったのかというと戦後のインフラ再建期から高度経済成長期にかけて都市部の高密度化や大規模河川および臨海部での基礎工事需要に対応するため他社に先駆けてニューマチックケーソンと呼ばれる圧気技術を導入して進化させてきた歴史があるためです。

同社は大深度地下掘削用の遠隔操作式ケーソン掘削ロボットを独自に開発しており首都高速道路の地下化工事や大深度雨水貯留管などの大規模プロジェクトでの施工実績を重ねています。

さらに独自のDWケーソン工法という特許取得技術も有しており難易度の高い工事における確実な施工品質と安全性を発注者に対して保証します。

2024年3月期実績における土木事業の売上高構成比は46.2パーセントにのぼり社会インフラの根幹を支える無二の価値を創出していると考えられます。

主要活動

大豊建設株式会社は公共インフラおよび民間建築物の請負施工と設計施工管理を行いさらには建設現場の自動化や省人化に向けた先端施工技術の研究開発を力強く推進しています。

【理由】
なぜそうなっているのかというと建設業界共通の課題である技能者の高齢化や時間外労働の上限規制によるいわゆる2024年問題に対応し現場の安全性と生産性を劇的に向上させて案件あたりの粗利益率を高める必要があるためです。

具体的な活動として茨城県つくばみらい市にある自社の技術研究所において次世代圧気工法やロボティクス技術の基礎および応用研究を日々進めています。

全社的なBIMおよびCIMといった3次元モデルの活用率は80パーセント以上の達成を目標として掲げており年間数百件に上る土木および建築現場の総合施工管理をデジタル技術で効率化しています。

2024年3月期実績において同社の年間研究開発費は約4.2億円に達しており技術力の維持向上に向けた活動を全社一丸となって進めています。

リソース

大豊建設株式会社の主要なリソースは高度な専門技術資格を保持する施工管理技術者集団と特殊土木専用の機械設備ならびに資本提携先である麻生グループとの強力な提携関係です。

【理由】
なぜそうなっているのかというと特殊基礎工事の受注と現場における確実な施工には国家資格保持者の配置と独自の特殊機械設備および強固なパートナーシップが不可欠であるためです。

同社の社員による一級土木施工管理技士および一級建築施工管理技士の保有率は全社員の約60パーセントを占めており極めて高い技術者密度を誇ります。

また自社所有のヘリウム気密再循環装置や遠隔掘削機械といった独自のアセットを多数保有し大深度地下など過酷な環境下での安全な施工を可能にしています。

さらに筆頭株主である株式会社麻生は持株比率約20パーセント超を保有しており経営や営業面での強力な支援リソースとして機能しています。

2024年3月31日時点の単体従業員数1058名の多くがこれらの専門技術や設備を活用する中核人材として第一線で活躍しています。

パートナー

大豊建設株式会社は下請けとなる優良な協力会社組織や専門的な資材および建機メーカーさらには資本業務提携先である麻生グループを事業推進に欠かせない重要なパートナーとして位置づけています。

【理由】
なぜそうなったのかというと自社で直接労務者を雇用せずに専門工事業者に外注するゼネコン特有の構造において施工品質の維持と優秀な職人の確保を実現するためには協力会社との強固なアライアンスが必須であるためです。

同社の現場施工を直接支えるのは全国の優良専門工事業者で構成される大豊会という協力会組織でありその会員数は約500社にのぼります。

また株式会社麻生およびグループ各社とは資材の共同調達や不動産開発事業での連携を深めており西日本エリアにおける営業力強化に大きく寄与しています。

主要な資材の供給元としてはJFEスチールなどの大手建材メーカーと緊密な取引関係を築いており2024年3月期実績において全社の売上高151280百万円を達成するための不可欠な原動力となっています。

チャンネル

大豊建設株式会社は官公庁の公共工事入札システムにおける総合評価落札方式や民間事業者への直接的な技術提案を通じて盤石な営業チャンネルを構築しています。

【理由】
なぜそうなっているのかというと公共工事は透明性の高い公的な電子入札手順に基づく一方で民間工事においては自社の特許工法やバリューエンジニアリング提案を活用した指名コンペによる特命受注が利益率の向上に直結するためです。

具体的な受注経路として国土交通省や各地方自治体の電子入札システムを日常的に活用しており国や地域の重要な公共インフラ案件を確実に獲得しています。

また民間建築事業においては技術力が評価されて特命受注比率が約30パーセントを占めており安定した受注チャンネルとして機能しています。

さらに発注者向けに自社の施工技術プレゼンテーションや現場見学会を定期的に開催し営業チャンネルの幅を広げており2025年3月期の通期業績予想において売上高158000百万円を見込む強力な基盤を形成しています。

顧客との関係

大豊建設株式会社は官公庁や地方自治体との長期的かつ継続的な信頼関係を維持するとともに大手民間不動産デベロッパーとの強固なリピート取引関係を確立しています。

【理由】
なぜそうなったのかというと土木事業では過去の施工実績や官公庁が採点する工事成績評定点が次回入札時の優位性に直接影響し民間建築では納期と品質遵守の累積実績が次回の指名継続に直結するためです。

同社は国土交通省の各地方整備局から優良工事等表彰を毎年受託しており発注者との間に確かな信頼関係があることを客観的に証明しています。

また公共工事における工事成績評定点において平均80点以上という高得点を継続的に獲得し業界内でも高い評価を維持しています。

民間分野においても大手不動産デベロッパーからの分譲マンション連続施工受注実績を豊富に持っており2024年3月期の建築事業において売上高803億円を計上する極めて強固な顧客関係を築き上げています。

顧客セグメント

大豊建設株式会社は事業の特性に応じて官公庁などの公的機関と民間事業者の大きく2つの顧客セグメントを明確に持っています。

【理由】
なぜそうなっているのかというと土木分野は社会インフラの整備を担うため必然的に公的機関が主要顧客となり一方で建築分野は民間資本による不動産開発や施設投資が主なターゲットとなるためです。

土木事業においては国土交通省や都道府県さらにはNEXCOやJRなどの公的機関が売上高の約70パーセント以上を占めており安定した受注基盤となっています。

一方で建築事業においては不動産デベロッパーやメーカーおよび医療教育法人などの民間事業者が売上高の約80パーセント以上を占める主要セグメントです。

エリア別の売上構成を見ると首都圏と関西圏および九州圏という大都市圏で全体の約85パーセントを占めており2024年3月期実績の売上高151280百万円をこれらの主要セグメントで集中的に創出しています。

収益の流れ

大豊建設株式会社の収益は土木工事および建築工事の施工請負契約に基づく完成工事高によって形成され進行度合いに応じた工事進行基準を用いて認識されています。

【理由】
なぜそうなったのかというと受注型の完成請負契約をビジネスの基本構造としておりプロジェクトの進捗度合いに応じて売上高と売上原価を段階的に計上する会計基準を採用しているためです。

2024年3月期実績の部門別売上構成比を見ると土木事業が699億円で建築事業が803億円となっており両事業がバランス良く収益の柱として機能しています。

本業の収益性の指標である完成工事総利益率については土木事業が約10.5パーセントであるのに対し建築事業は約6.2パーセントとなっており事業ごとに異なる収益構造を持っています。

2024年3月期実績の当期純利益は3015百万円に到達しており進捗度に応じた段階的な売上計上が全社としての安定した収益の流れを生み出していると考えられます。

コスト構造

大豊建設株式会社のコスト構造は売上原価の大部分を占める協力会社への外注費や材料費および機械費と販管費としての研究開発費や人件費によって成り立っています。

【理由】
なぜそうなっているのかというとゼネコンのビジネスモデルとして現場作業の多くを専門工事業者に外注するため原価に占める外注費の比率が必然的に高くなり自社の固定費率を低く抑える構造になっているためです。

2024年3月期実績において同社の完成工事原価率は91.8パーセントとなっており利益率向上のためには外注費や建設資材費の厳格なコントロールが極めて重要です。

また同期間の販管費率は5.2パーセントと適正な水準に保たれており全社的に無駄のないコスト管理が徹底されています。

さらに2024年3月期実績での年間研究開発費は約4.2億円を計上しており無人掘削技術やCO2削減型コンクリート工法の開発に向けた未来への戦略的なコスト投下を継続的に行っています。

自己強化ループ

大豊建設株式会社は独自の高度な技術力を起点とした極めて強力な自己強化ループを形成しています。

まずニューマチックケーソン工法をはじめとする同社の独自技術により難易度が高く他社が敬遠するような大深度地下工事を高品質かつ安全に施工します。

この確実な施工が官公庁や民間発注者からの高い評価につながり国土交通省等の工事成績評定点において平均80点以上という業界上位水準を継続的に獲得するという結果を生みます。

この高評価が入札時における総合評価方式での加点優位性や民間からの指名コンペ優先受託をもたらし単価や粗利益率の高い案件の受注に直結します。

そしてここで確保した豊富な利益を次世代の遠隔掘削ロボット開発やデジタルトランスフォーメーション投資へ集中的に再投資します。

これが新たな技術的参入障壁の構築とさらなる施工品質の向上を生み出し再び難工事の安定的な受注へと戻る好循環が回っています。

このループが機能している証拠としてニューマチックケーソン工法の累計施工実績は国内随一の通算1800基以上にのぼり土木事業の売上総利益率を一般的な中堅ゼネコンの平均である7パーセントを上回る10パーセント台超に安定維持しています。

採用情報

大豊建設株式会社はモノづくりに対する強い情熱と責任感を持ち多様なステークホルダーと協調しながら課題解決に挑戦できる人材を求めています。

2025年4月入社予定の実績における新卒初任給は総合職の大学院卒が月給265000円であり大学卒が月給250000円で高専や専門学校卒が月給230000円となっており業界内でも高い水準を誇っています。

休日制度については土日を休む完全週休2日制を採用しており2024年度実績の年間休日総数は125日と働きやすい環境が整備されています。

特別休暇として創立記念日休暇やリフレッシュ休暇なども設けられており社員のワークライフバランスの向上に努めています。

直近3年の新卒採用人数は2022年度が38名で2023年度が42名そして2024年度が45名と安定的な人数の採用を継続しています。

採用倍率については事務職が約25倍から35倍であるのに対し技術職は約8倍から12倍となっており専門的な施工管理を志望する人材に広く門戸を開いています。

また2024年3月31日時点での平均年間給与は8421000円であり平均勤続年数も17.8年と非常に長く定着率の高い企業であることがわかります。

株式情報

大豊建設株式会社は東京証券取引所のプライム市場に上場しており証券コードは1822です。

株式の売買単位である単元株数は100株となっており本決算月は毎年3月を迎えます。

株主優待制度については現在導入されておらず事業成長による継続的な利益還元を重視しています。

配当方針については経営体質の強化と将来の事業展開に備えるための内部留保をしっかりと確保しつつ安定的な配当の継続を基本としています。

具体的には親会社株主に帰属する当期純利益に対する連結配当性向30パーセント以上を目安としており株主への適切な利益配分を目指しています。

株価水準については2026年2月時点でおよそ3800円から4200円台の価格帯で推移しています。

この株価と単元株数100株から算出した最低投資金額の目安はおよそ38万円から42万円となります。

なお株式投資における各種数値は常に変動するため投資判断の際は最新情報をご自身で必ずご確認いただきますようお願いいたします。

未来展望と注目ポイント

大豊建設株式会社は中期経営計画2024から2026を策定しており経営基盤のさらなる飛躍を目指しています。

この計画は2025年3月期から2027年3月期までの3か年を対象期間としており最終年度には売上高1650億円や営業利益75億円そしてROE8.0パーセント以上という意欲的な数値目標を掲げています。

今後の成長ドライバーとして国土強靱化や防災減災対策に伴う雨水貯留施設や地下道路といった地下大深度インフラ案件の受注拡大を積極的に狙います。

また持株比率20パーセント超を保有する麻生グループとの協業をさらに深め西日本エリアにおける大規模な再開発案件への参画や資材の共同調達を推進する方針です。

設備投資については3か年累計で約30億円を計画しており作業機械の最新化や技術研究所のアップデートを図ります。

また年間約4億円から5億円規模の研究開発費を継続的に投じて無人掘削ロボット技術の高度化を推進しオンリーワン技術を持つゼネコンとしての地位を不動のものにすると見込まれます。

 

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