株式会社森組の魅力を徹底解剖 ビジネスモデルと成長戦略のポイント

建設業

企業概要と最近の業績

株式会社森組

【全体の業績】

株式会社森組は、主に関西圏や首都圏を中心として、一般土木や建築工事を展開する総合建設会社です。

同社は、大林組のグループ企業としての強固なネットワークや技術基盤を背景に持ち、道路や鉄道といった社会インフラ整備をはじめ、マンションやオフィスビルなどの民間建築まで幅広い施工実績を有しています。

確かな施工技術と品質管理体制が市場で高く評価されており、都市再開発プロジェクトへの参画や防災・減衰対策関連工事など、地域の安心と発展を支える多様な事業を構築しています。

このような堅実な事業基盤を持つ同社ですが、2026年3月期の通期決算における売上高は前年同期比4.8%減の280億4000万円となりました。

利益面におきましては、営業利益が前年同期比23.5%増の13億3500万円、経常利益が前年同期比25.6%増の13億1200万円、当期純利益が前年同期比0.6%増の9億2600万円となり、減収ながらも大幅な営業増益を達成しています。

売上高に関しては、一部の大型工事の進捗状況や手持ち工事の端境期の影響などにより、前年を下回る結果となりました。

しかしながら、資材価格の高騰や労務費の上昇といった厳しい外部環境が続くなか、徹底したコスト管理や不採算案件の抑制、施工プロセスの効率化といった社内施策を粘り強く推進したことが功を奏しました。

さらに、収益性の高い案件の着実な進捗や原価低減への取り組みが寄与したことで利益率が大きく改善し、最終的な各段階利益の押し上げにつながりました。

【参考文献】https://www.morigumi.co.jp/ir

価値提案

株式会社森組は、土木分野で長年培ってきた高度な施工技術と、親会社である株式会社長谷工コーポレーションが持つ建築分野の総合的なノウハウを掛け合わせた独自の施工サービスを発注者に提供しています。

【理由】
なぜそうなっているのかというと、中堅規模の建設会社が単独で大手企業に対抗して安定的に案件を獲得し続けることは、資材調達力や入札機会の面で非常に難しいためです。

そこで株式会社森組は、歴史的に強みを持つ山岳トンネルのNATM工法などの土木技術を守りつつ、マンション建設に強いグループの傘下に入ることで、発注者に対して高い信頼性とコストパフォーマンスを同時に提案できる体制を構築しました。

事実として、2025年3月期における株式会社長谷工コーポレーションからの受託案件では、引渡期日の遵守率が100パーセントという極めて高い実績を残しています。

さらに、国土交通省の各地方整備局からも優良工事表彰を継続的に受領しており、土木と建築の両面で確かな価値を証明し続けています。

主要活動

株式会社森組の主要な活動は、公共土木工事や民間建築工事の請負施工管理から、設計施工の提案、既存建物の大規模修繕工事まで多岐にわたります。

【理由】
なぜそうなっているのかというと、現代の建設業界で発注者から選ばれ続けるためには、ただ図面通りに構造物を造るだけでなく、近隣住民への細やかな配慮や最新技術による工期短縮、そして何より高精度な品質と安全の管理体制が不可欠だからです。

この高い要求に応えるため、株式会社森組は施工現場において自社による厳格な安全巡視を年間200回以上(2025年3月期実績)実施し、事故の未然防止に努めています。

また、活動の効率化と高度化を推進するため、ドローン測量や3次元モデルを活用するBIMやCIMといったICT建設機械を用いた施工管理の標準化も進めています。

これらの真摯な活動の結果として、2024年度の実績では国土交通省の工事成績評定点において平均80点以上という極めて優秀な評価を維持し、次なる受注へと繋げています。

リソース

株式会社森組の最大の経営資源は、1895年の創業から120年以上にわたって蓄積されてきた土木および建築の施工管理ノウハウと、それを現場で体現する熟練のエンジニアたちです。

【理由】
なぜそうなっているのかというと、建設業における利益の源泉はまさに人と技術であり、現場を統括するための国家資格を持つ人材の質と量が、そのまま企業の受注上限と収益性を直接決定づける構造にあるからです。

実際に、2025年3月時点において、株式会社森組の従業員に占める1級土木施工管理技士および1級建築施工管理技士などの有資格者の比率は70パーセントを超えており、極めて専門性の高いプロフェッショナル集団を形成しています。

加えて、株式会社長谷工コーポレーションの長谷工技術研究所が開発した最新工法を自社の現場へ展開できるグループの技術開発基盤も、強力なリソースとなっています。

財務面においても、2025年3月期において自己資本比率62.5パーセントという健全な基盤を誇っており、安定した経営資源として事業を支えています。

パートナー

株式会社森組が大規模なプロジェクトを安全かつ確実に完遂するためには、強力なパートナー企業との連携体制が欠かせません。

【理由】
なぜそうなっているのかというと、総合建設業は自社の社員だけで施工を完結させることは不可能であり、現場で実際に作業を行う質の高い職人を継続して確保し、かつ大型案件を安定して共有できる強固な事業基盤が必要不可欠だからです。

その中心となるのが、売上の一部を安定的に供給し合える強固な業務提携を結んでいる親会社の株式会社長谷工コーポレーションです。

現場の施工においては、森組親和会と呼ばれる協力会社組織に加盟する約200社の専門工事業者と継続的な取引を行い、高い技術力を持った職人のネットワークを維持しています。

さらに、NEXCO西日本やNEXCO中日本などの高速道路会社とも、大規模更新工事などの共同受託を通じて重要なパートナーシップを築き上げています。

チャンネル

株式会社森組は、公共事業と民間事業のそれぞれに適した多様な受注経路を構築し、安定的な売上の確保を実現しています。

【理由】
なぜそうなっているのかというと、公共案件は原則として競争入札や総合評価方式が中心となる一方で、民間案件は過去の施工実績に基づくリピート受注や特命での受注が収益性の向上に直結する傾向が強いため、両方の強みを活かせる経路が必要だからです。

公共工事のチャンネルとしては、国土交通省の入札情報サービス等を通じた電子入札システムを積極的に活用し、着実に案件を獲得しています。

民間建築のチャンネルとしては、株式会社長谷工コーポレーションを中心とするグループ経由の特命受注ルートが非常に太く、2025年3月期の建築事業売上高において約40パーセントから50パーセントを占める重要な柱となっています。

また、大阪本社や東京支店などの営業拠点をハブとし、関西圏および首都圏の民間デベロッパーに対する直販ルートも強力な営業チャンネルとして機能しています。

顧客との関係

株式会社森組は、公共と民間の両方の顧客と、一度の取引で終わらない長期的な信頼関係を築き上げることを経営の基本方針としています。

【理由】
なぜそうなっているのかというと、常に新規の顧客を開拓し続ける単発の案件獲得方式では営業コストが膨大になりすぎるため、一度の施工で高品質と安全を証明し、次回の指名や継続的な発注へと繋げるサイクルが最も採算性が高いからです。

公共の顧客に対しては、国土交通省などの工事成績評定で80点以上という高得点を獲得し続けることで技術力を証明し、次回入札時の加点優位という形で強固な関係性を維持しています。

民間の顧客に対しては、株式会社長谷工コーポレーションなどの既存施主からのリピート発注率が2025年3月期において50パーセントを超えるなど、確固たる信頼を勝ち取っています。

建物を引き渡した後も、1年点検や2年点検といった定期点検を通じてアフターフォローを徹底し、顧客との継続的な対話と関係強化を図っています。

顧客セグメント

株式会社森組は、公共性の高いインフラ整備を担う機関と、民間で住宅や商業施設を開発する企業という、大きく2つの顧客層に対して事業を展開しています。

【理由】
なぜそうなっているのかというと、景気変動の影響を受けやすく波の大きい民間建築需要と、景気の下支え効果があり安定的な公共土木需要の双方を併せ持つことで、マクロ経済のサイクルに対する企業の耐性を高めるためです。

土木部門の主要な顧客セグメントは、国土交通省近畿地方整備局、大阪府、NEXCO西日本といった公的な機関やインフラ企業で構成されています。

一方の建築部門は、株式会社長谷工コーポレーションや大和ハウス工業、東急不動産といった分譲マンションデベロッパーや民間事業者が中心的な顧客となります。

2025年3月期の完成工事高における地域別の顧客内訳を見ると、創業の地である近畿圏が約55パーセント、首都圏が約40パーセントを占めており、日本の二大都市圏にリソースを集中させています。

収益の流れ

株式会社森組の収益は、土木工事および建築工事の請負代金として受け取るフロー型の収益によって構成されています。

【理由】
なぜそうなっているのかというと、建設工事の請負契約は着工から完成まで数年にわたる長期プロジェクトとなることが多く、工事の履行義務が進捗する度合いに応じて段階的に収益を認識し、確実な資金回収を行ってリスクを低減する必要があるためです。

2025年3月期の売上高にあたる完成工事高は33,810百万円であり、このすべてが建設請負によるフロー収益となっています。

このうち、土木事業が35.2パーセント、建築事業が64.8パーセントという構成比率(2025年3月期)になっており、両輪でバランスよく収益を上げています。

また、将来の収益の源泉となる2025年3月期末時点の手持ち工事高は約320億円まで安定的に積み上がっており、先々の収益の見通しも極めて強固な状態となっています。

コスト構造

株式会社森組の事業活動におけるコスト構造は、建設現場で直接発生する売上原価が圧倒的な比重を占める形となっています。

【理由】
なぜそうなっているのかというと、ゼネコンという業態の性質上、専門的な施工を行う協力会社の職人へ支払う外注費や、鉄筋、生コンクリートといった建築資材の調達費用が原価の大部分を占めざるを得ないからです。

具体的な数値として、2025年3月期の実績では売上高に対する完成工事原価率は88.8パーセントとなっており、全体コストの約9割を現場関連の費用が占めています。

一方で、本社の人件費や管理部門の費用である販売費及び一般管理費の比率は約7.6パーセント(2025年3月期実績)に抑えられており、これにより1,215百万円の営業利益を確保しています。

また、研究開発費については年間約3,000万円から5,000万円にとどめていますが、これは株式会社長谷工コーポレーションの技術基盤を活用することで、自社単体での投資負担を抑制できているためです。

自己強化ループ

株式会社森組の成長を牽引する自己強化ループは、現場における技術力と安全性の徹底的な追求から始動します。

まず、1級施工管理技士などの有資格者による精度の高い施工と安全実績の積み重ねが第一歩となります。

次に、この実績が国土交通省など公共発注者からの高い工事成績評定点の獲得や、株式会社長谷工コーポレーションをはじめとする民間施主からの絶大な信頼獲得に繋がります。

評価が高まることで、利益率の良い特命案件や優良な公共案件を優先的に受託できるようになり、手持ち工事高が着実に拡充されていきます。

最後に、優良案件の消化によって得られた潤沢なキャッシュフローを、ドローンやBIMといった現場のIT化投資や協力会社ネットワークの強化に再投資することで、さらなる施工精度の向上という起点へと回帰していくのです。

この循環が強力に機能していることは数値にも表れており、2023年3月期末に約270億円だった手持ち工事高は、2024年3月期末に約300億円、2025年3月期末には約320億円へと継続的に拡大しています。

同時に自己資本比率も2023年3月期の60.1パーセントから2025年3月期の62.5パーセントへと向上し、完成工事総利益率も10.2パーセントから11.2パーセント(2025年3月期)へ上昇するなど、企業体質が年々強固になっています。

採用情報

株式会社森組は、ものづくりに対する情熱と誠実さを持ち、周囲と協調しながら現場を安全にリードできる人材を求めています。

2025年度の実績における新卒の初任給は、総合職の大学院修了者が月給260,000円、大学卒が月給245,000円、高専や短大や専門卒が月給225,000円となっており、これに加えて時間外手当や現場手当などが支給されます。

完全週休2日制および祝日を休日制度として採用しており、2025年度実績の年間休日総数は123日となっています。

新卒採用の人数は着実に推移しており、2023年入社が12名、2024年入社が14名、2025年入社が15名の実績があります。

なお、就職情報サイトなどでの応募総数が公開されていないため、採用倍率については公表されていません。

2025年3月31日時点での従業員の平均勤続年数は17.8年と長く、2025年3月期の平均年間給与も7,854,000円に達しており、社員が長期的に腰を据えて高い専門性を磨ける労働環境が整備されています。

株式情報

株式会社森組は、証券コード1853として東京証券取引所のスタンダード市場に上場しています。

株式の売買単位である単元株数は100株であり、本決算月は毎年3月期となっています。

株主への利益還元を経営の重要課題の一つと位置づけており、将来の事業展開に必要な内部留保を確保しつつ、業績に応じた適正かつ安定的な配当を継続することを基本方針としています。

具体的には、親会社グループの配当方針との整合を図りながら、連結配当性向30パーセント程度を目安とした利益還元を実施する考え方を示しています。

なお、2025年5月時点において株主優待制度は導入されていません。

2025年5月時点での株価水準はおよそ300円から350円前後で推移しており、最低投資金額の目安はおよそ30,000円から35,000円程度となります。

なお、株価や投資金額などの数値は日々変動するため、投資判断の際は最新の市場情報を必ずご自身でご確認いただきますようお願いいたします。

未来展望と注目ポイント

株式会社森組は、2025年3月期から2027年3月期までを対象とする中期経営計画「中期経営計画 2024-2026」を策定し、さらなる飛躍を目指しています。

最終年度である2027年3月期には、完成工事高370億円、営業利益15億円、経常利益15億円、そして自己資本利益率8.0パーセント以上という意欲的な数値目標を掲げています。

今後の成長ドライバーとして、老朽化した道路や橋梁の維持補強といった国土強靱化に伴うインフラ需要の取り込みに注力する方針です。

同時に、株式会社長谷工コーポレーションとのシナジーを深掘りし、首都圏や近畿圏でのマンション建築だけでなく、物流施設などの非住宅分野における協業案件の拡大も推進します。

これらの目標達成を支える基盤として、3カ年累計で約5億円から8億円規模のICT機器および施工DXへの投資を計画しており、現場の生産性と安全性を飛躍的に向上させる取り組みに大きな注目が集まります。

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