株式会社Lib Work
【全体の業績】
株式会社Lib Workは、戸建住宅の設計・施工・販売を行う住宅事業を主軸に、デジタル技術を駆使した不動産テックを展開する先進的な企業です。
同社は「暮らしを変える、世界を変える」をミッションに掲げ、YouTubeやSNS、Webマーケティングをフルに活用した独自の集客モデルを強みとしており、従来の住宅展示場に頼らない効率的な営業スタイルで若年層を中心に高い支持を得ています。
さらに、3Dプリンター住宅の開発やサステナブルな素材を用いた注文住宅など、環境配慮と革新的なテクノロジーを融合させた独自の市場地位を確立しています。
このような強みを持つ同社の2025年6月期通期の連結業績は、売上高が194億2100万円となり前年同期に比べて11.3%の増収となりました。
しかしながら利益面においては、営業利益が4億4800万円で前年同期比10.7%の減益、経常利益が4億3600万円で前年同期比11.9%の減益を記録しています。
また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましても2億3400万円にとどまり、前年同期と比べて13.7%の減益という決算で着地しました。
このような業績結果をもたらした要因としては、資材価格の高騰や労務費の上昇といった建設コストの下押し圧力が継続したことが挙げられます。
これに対して同社は、独自のデジタルマーケティング施策を一段と強化し、Web経由の問い合わせから効率的に成約へ繋げることで受注棟数を着実に伸ばし、2桁の増収を達成しました。
その一方で、将来の持続的な成長に向けた新商品の開発費用や、デジタルインフラへの先行投資、さらには人員増強に伴う人件費などの販売管理費が増加したことが、各利益項目が前年を下回る主因となりました。
【参考文献】https://www.libwork.co.jp/ir/
価値提案
株式会社Lib Workが市場に提供する最大の価値は、最先端のテクノロジーとサステナビリティを融合させた革新的な住宅空間です。
同社は単なる家づくりにとどまらず、土を主原料として環境負荷を大幅に低減する日本初の3Dプリンター住宅であるLib Earth House model Bの開発に成功しました。
また、再春館製薬所との異業種コラボレーションによる独自の住宅開発など、従来の住宅メーカーにはない付加価値を次々と打ち出しています。
さらに、自社で培ったノウハウを同業他社へ提供するシステムであるマイホームロボを展開し、業界全体のDXを推進するプラットフォーマーとしての役割も担っています。
【理由】
なぜそうなったのか、それはゆるやかに進む戸建て縮小市場において、他社との劇的な差別化と生産性向上が不可避なためです。
人口減少により住宅の新規着工件数が減少するなかで、既存の延長線上にある商品力だけでは生き残りが厳しくなります。
そのため、株式会社Lib Workは環境配慮と先進技術を掛け合わせることで、感度の高い新たな顧客層を開拓し、同時に業務の効率化を図るという独自の価値提案に行き着きました。
主要活動
株式会社Lib Workの主要活動は、注文住宅や建売住宅の企画と施工にとどまらず、プラットフォームの展開や次世代住宅の研究開発までを一貫して手掛けることにあります。
特にデジタルマーケティングの分野では、YouTubeなどのオンラインメディアを駆使して確度の高い見込み客を効率的に獲得する活動に注力しています。
また、技術開発の面では、3Dプリンター建築に関する特許を複数取得し、これまでの手作業に依存していた建築プロセスを根本から覆す研究を進めています。
さらにエリア拡大の活動として、2026年6月付で建売子会社であるタクエーホームを吸収合併し、関東圏への本格的な市場展開を強化する動きを見せています。
【理由】
なぜそうなっているのか、それは慢性的な労働力不足や建築資材の高騰といった業界全体の課題を克服するため、デジタルトランスフォーメーションとAI化に経営資源を集中させる必要があるからです。
職人の高齢化や人手不足が深刻化する中、従来通りの人海戦術による営業や施工では限界が訪れます。
だからこそ同社は、最新テクノロジーを活用して集客から設計、施工に至るすべてのプロセスを最適化する活動を事業の核に据えています。
リソース
株式会社Lib Workの競争優位性を支える中核的なリソースは、強力な自社メディア網と垂直統合型の製造拠点、そして次世代テクノロジーの開発力です。
情報発信の要となるYouTubeチャンネルのLib Work chは、登録者数が15万人を突破しており、マスメディアに頼らない巨大な自社独自の集客基盤として機能しています。
製造面においては、子会社である幸の国木材工業を通じたSPAモデルの基盤を構築し、木材の調達から加工までを内製化することで高いコスト競争力を保持しています。
さらに、AIを活用して設計業務を自動化するフルオートビルドの開発ノウハウを有しており、知的財産という無形リソースの拡充も進んでいます。
【理由】
なぜそうなっているのか、それは集客コストの抜本的な低減と利益率の改善を両立させるため、インハウスでの強力な発信力と独自の製造力を持ったためです。
住宅業界において多額の費用がかかる住宅展示場への出店や、外部業者へのマージン支払いは利益を圧迫する最大の要因となります。
そこで同社は、自社でメディアを育て上げ、製造ラインまでを内包することで、外部環境に左右されにくい強固な経営資源を確立しました。
パートナー
株式会社Lib Workは、自社の枠を超えた異業種や海外のテック企業と積極的にパートナーシップを結び、新たな住宅価値を共創しています。
代表的な例として、生成AIを用いた自動設計技術の分野ではカナダのMaket Technologies社と提携を結び、グローバルな最先端技術を自社の開発に取り入れています。
また、地域経済の観点からは、熊本県に進出した世界的半導体メーカーであるTSMCの存在が間接的ながら強力なパートナー的役割を果たしており、同社の進出に伴う関連企業や従業員の移住需要が大きな追い風となっています。
さらに、地元企業との連携として再春館製薬所と共同で健康や美容に配慮したコラボ住宅を開発するなど、ユニークな協業関係を構築しています。
【理由】
なぜそうなったのか、それは自社単独の経営資源だけでは難しいAI自動設計の早期実現や、地域に根ざした巨大な新規需要を取り込むためです。
特にテクノロジーの進化スピードは速く、すべてを自前主義で開発していては市場の変化に遅れをとるリスクがあります。
そのため、それぞれの領域でトップクラスの知見を持つ企業と組むことで、イノベーションの速度を最大限に引き上げています。
チャンネル
株式会社Lib Workが顧客と接点を持つチャンネルは、デジタル空間を主軸としたオンライン集客網と、全国の工務店を通じたBtoBtoCのネットワークで構成されています。
オンライン展開の成果として、3Dプリンター住宅を紹介するWeb特設サイトは国内外から累計1500件超の反響を獲得し、場所を問わない強力な集客チャネルとして機能しています。
さらに、全国に展開するIPライセンス加盟店網を通じて、自社のブランドやノウハウを各地の地域ビルダーに提供することで、実店舗のネットワークを間接的に広げています。
また、メタバース空間を用いたバーチャル展示場や、YouTubeを通じたオンライン接客など、顧客が自宅にいながらにして詳細な検討ができるデジタルチャネルを充実させています。
【理由】
なぜそうなっているのか、それは従来の総合住宅展示場への出店に依存する高コストなモデルから脱却し、全国の顧客層へ広範にリーチを拡大するためです。
物理的な展示場は維持費が高額であるうえに商圏が限られますが、デジタルチャネルや提携網を活用することで、初期投資を抑えながら日本全国、さらには海外からの関心も集めることが可能になります。
顧客との関係
株式会社Lib Workは、住宅の購入検討段階から引き渡し後の生活に至るまで、デジタルツールと独自のロイヤルティプログラムを通じて顧客と長期的な関係を構築しています。
購入前の段階では、YouTubeを通じた動画配信により企業理念や家づくりのノウハウを惜しみなく提供し、視聴者をファンとして継続的に育成しています。
引き渡し後においては、既存顧客向けのオーナーズクラブを運営し、定期的なコミュニケーションやアフターメンテナンスの充実を図っています。
また、投資家に対しても極めて厚い関係構築を行っており、プレミアム優待倶楽部において5000株の保有で年間14万ポイントを還元するなど、独自のポイント制度でステークホルダー全体のロイヤルティを高めています。
【理由】
なぜそうなっているのか、それは住宅という一生に一度の高額商材において、顧客のファン化を促進し、将来の口コミや紹介、そしてリフォームなどのリピート需要に確実に繋げるためです。
一度家を売って終わりという関係性ではなく、企業に対する深い愛着を持ってもらうことで、広告費をかけずに優良な新規見込み客を獲得する強固な基盤を作り上げています。
顧客セグメント
株式会社Lib Workがターゲットとする顧客セグメントは、主に個人向けの住宅購入層と、法人向けの地方工務店やビルダーに大別されます。
個人向けでは、九州エリアやタクエーホームの合併により開拓が進む関東エリアにおいて、初めて戸建住宅を購入する一次取得層を中心にアプローチしています。
また、TSMCの熊本進出に関連して急増している外国人移住者やその家族といった、新たな人口流入層も重要なターゲットとして取り込んでいます。
法人向けにおいては、集客や設計業務に課題を抱える全国の地方工務店をターゲットとし、自社のDXノウハウを詰め込んだマイホームロボを提供するビジネスを展開しています。
【理由】
なぜそうなったのか、それは人口動態の変化や金利上昇によって都心部でのマンション回帰が進む中、ターゲット層の分散化と展開エリアの拡大を図るためです。
特定の地域や単一の顧客層に依存するリスクを避けるため、個人と法人の両輪でビジネスを展開し、さらに外国人移住者という新たな市場の波にも素早く適応しています。
収益の流れ
株式会社Lib Workの収益モデルは、従来の住宅販売による大規模なフロー収益と、プラットフォームの提供による安定的なストック収益の組み合わせで成立しています。
収益の大部分を占めるのは戸建住宅や建売住宅の販売であり、2025年6月期の通期決算ではこの販売収益を中心に売上高160.04億円という大きなキャッシュを生み出しています。
一方で、全国の工務店に提供しているマイホームロボなどのシステム利用料は、毎月継続的に売り上げが積み上がるサブスクリプション型のストック収益となっており、利益率の向上に寄与しています。
さらに将来的には、法定通貨の変動リスクに備え、住宅の販売決済にビットコインなどの暗号資産を導入する計画も進めており、新たな収益決済の形を模索しています。
【理由】
なぜそうなっているのか、それは天候や景気動向に左右されやすいフロービジネス特有の業績変動リスクを抑え、安定かつ高粗利な事業基盤を確保するためです。
住宅販売で売上規模を追うだけでなく、プラットフォーム事業で毎月の固定収入を確保することで、不況時でも研究開発や人材への投資を止めない強靭な財務体質を作り上げています。
コスト構造
株式会社Lib Workのコスト構造は、製造原価の低減を徹底する一方で、将来の成長に向けた研究開発やマーケティングへの先行投資を手厚く行う特徴があります。
原価面においては、製造管理手法の導入を通じて歩留まりを従来の40パーセント台から5パーセントずつ段階的に引き上げるなど、SPAモデルの恩恵を活かした徹底的なコストカットを実行しています。
その一方で、2026年6月期第3四半期には販管費が増加していますが、これは3Dプリンター住宅の実用化に向けた先行的な開発費や広告宣伝費に資金を投下していることが主な要因です。
また、財務面でのコスト変動要因として、企業として保有している暗号資産の価格変動リスクがあり、同時期に1.87億円のビットコイン評価損を計上するなど、独自の財務戦略に伴う変動要素も含んでいます。
【理由】
なぜそうなっているのか、それは建築資材価格の高止まりという逆風に対応しつつ、中長期的に業界を牽引する住宅プラットフォーマーとしての地位を確立する投資フェーズにあるためです。
目先の利益だけを優先するのではなく、数年先の市場を独占できる技術基盤を構築するために、あえて今、多額の開発コストを許容する戦略をとっています。
自己強化ループ
株式会社Lib Workのビジネスモデルには、事業の成長が自動的に加速していく独自の自己強化ループが組み込まれています。
最初の起点として、登録者数15万人を突破したYouTubeチャンネルや、累計1500件超の反響を集める3Dプリンター住宅といった話題性のある取り組みを通じて、広範な見込み客を圧倒的な低コストで集客します。
次に、集まった見込み客へ戸建住宅を販売してフロー収益を得ると同時に、そこで培った集客や営業のノウハウをマイホームロボとして全国の工務店に提供し、安定したサブスクリプション型のストック収益を獲得します。
そして、売上規模の拡大と高粗利なシステム事業から得た豊富な資金を活用し、幸の国木材工業などの子会社を通じたSPAモデルを強化して建築原価を低減し、2025年6月期には利益率5.2パーセントという2年前の2.5倍に相当する収益性の改善を実現しました。
最後に、こうして創出された莫大な利益を、AIを用いたフルオートビルドの開発や関東エリアのシェア拡大に向けた再投資へと回すことで、新たな革新的サービスが生まれ、それが再び最初の強力な集客力へと繋がっていく順序で循環が回っています。
採用情報
株式会社Lib Workの採用において、新卒の初任給は2026年6月末まで適用予定の基準で、営業職が大卒や院了および短大卒で一律の月給303,000円に設定されており、この金額には月30時間分の固定残業代58,000円が含まれています。
また、総合職と建築技術職については、大卒および院了で月給228,000円となっており、こちらには月30時間分の固定残業代44,000円が含まれています。
働きやすさの指標となる年間休日総数や詳細な休日制度、特別休暇の内容については、複数の就職情報サイト等を確認しましたが公式には公表されていません。
同じく、直近3年間の新卒採用人数や採用倍率についても具体的な数字は公表されていない状態です。
一方で、従業員の定着状況を示すデータとして、2025年6月期末時点における平均勤続年数は4.4年、平均年間給与は約457万円となっています。
同社が求める人物像や選考のスタンスについては、公平性と透明性を深く追求し、企業と学生が選ぶ側と選ばれる側として対等な関係であることを重視する方針が掲げられています。
株式情報
株式会社Lib Workの株式に関連する情報として、証券コードは1431であり、東京証券取引所グロース市場および福岡証券取引所Q-Boardに上場しています。
株式の売買単位である単元株数は100株に設定されており、決算期は毎年6月に定められています。
株主還元策として特に注目を集めているのが独自の株主優待制度であり、保有株数に応じてプレミアム優待倶楽部のポイントが進呈される仕組みを採用しています。
配当方針については四半期配当を実施しており、具体的な配当性向の数値目標やDOEに関する明文化された方針は公表されていませんが、安定配当と手厚い株主優待を組み合わせることで株主への高い総還元を目指す姿勢が確認できます。
株価の水準としては、2026年8月時点でおよそ600円から700円台で推移しており、単元株である100株を購入するための最低投資金額の目安はおよそ6万円から7万円台となります。
なお、株価や優待内容などの数値は市場の動向によって常に変動するため、投資判断を行われる際はご自身で最新情報をご確認いただきますようお願いいたします。
未来展望と注目ポイント
株式会社Lib Workの未来を占う上で最大の注目ポイントは、中期経営計画であるNEXT STAGE 2026の下で進められているテクノロジー投資の行方です。
この計画は2023年7月から2026年6月を対象期間としており、当初は最終年度である2026年6月期に売上高285億円、営業利益30億円、ROE30パーセントという極めて野心的な数値目標を掲げていました。
ただし、その後の金利上昇やマンション需要への回帰といった市場環境の変化を受け、2026年6月期通期の予想は売上高150億円、営業利益5億円へと大幅に修正されています。
それでも同社はHOUSE TECH COMPANYとしてのプラットフォーマー化という成長ドライバーを強力に推進しており、カナダのMaket Technologies社との提携を通じたAIによる設計の完全自動化プロジェクトを着実に進めています。
また、2026年6月に実施した完全子会社タクエーホームの吸収合併により関東市場におけるシェア拡大に向けた経営資源の一元化を図っています。
瀬口社長が語る「サステナブル&テクノロジーで住まいにイノベーションを起こす」というビジョンのもと、土を主原料とした3Dプリンター住宅のグローバル展開や、将来的には法定通貨のリスクヘッジとしてデジタル資産による住宅決済まで視野に入れた革新的な挑戦は、引き続き業界内外から大きな注目を集めることになります。
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