企業概要と最近の業績
株式会社クラフティア
【全体の業績】
株式会社クラフティアは、総合設備エンジニアリング企業として、オフィスビルや工場、商業施設、公共施設などの電気・空調・給排水・情報通信設備の設計・施工管理からメンテナンスまでを幅広く展開している会社です。
また、これまでの「協和エクシオ」や「日本コムシス」などに代表される大手電気通信工事系グループの再編・統合の流れの中で、高度な現場技術力と強固な顧客基盤を武器に、建築設備だけでなく社会インフラ整備やスマートシティ構想に関連する各種設備ソリューションを総合的に提供しています。
同社の最新の通期決算では、売上高が2,852億1,400万円(前年同期比6.8%増)、営業利益が142億8,300万円(前年同期比22.5%増)、経常利益が151億2,000万円(前年同期比20.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が101億4,500万円(前年同期比21.8%増)となり、増収とともに主要な利益項目すべてで二桁の増益を達成しました。
これは、主力の建築設備工事および社会インフラ関連工事において前期からの豊富な手持ち工事が順調に進捗したことに加え、都市再開発やデータセンター向けなどの大型物件の完成工事高が大きく拡大したことによるものです。
資材価格の高騰や人件費上昇といった厳しいコスト環境が続くなかにおいても、デジタル技術を活用した現場の業務効率化や工程管理の徹底、原価低減活動を推し進めるとともに、適正価格での受注活動に努めたことが利益率の大幅な改善を結実させました。
【参考文献】https://www.craftia.co.jp/ir
価値提案
株式会社九電工は、電気や空調および給排水といった建築設備工事を一括で設計から施工や保守管理までワンストップで提供しています。
【理由】
それは、発注者であるゼネコンや施主にとって、電気工事と管工事を別々の業者に発注し調整することは施工管理上の不具合やコスト増加を招くため、自社で全設備領域を網羅することで現場調整の負荷を削減する顧客価値を形成しているからです。
それは、発注者であるゼネコンや施主にとって、電気工事と管工事を別々の業者に発注し調整することは施工管理上の不具合やコスト増加を招くため、自社で全設備領域を網羅することで現場調整の負荷を削減する顧客価値を形成しているからです。
これを裏付ける実績として、電気と空調および給排水の一括受注比率は全受注の約35パーセントを占めています(2024年3月期)。
また、九州電力向け配電工事の指定工事事業者としての長期継続受託実績は80年以上に及びます。
さらに、自社技術者による確固たる施工管理体制を構築しており、1級電気工事施工管理技士および1級管工事施工管理技士の保有者数は合計で3500名以上を数えます(2024年3月時点)。
これにより、多様な設備が混在する現代の複雑な建築物においても、一貫した高い品質と安全性を保証することが可能となっています。
主要活動
株式会社九電工の事業活動の主軸は、配電線や変電設備の維持構築と、ビルや工場の施工管理業務です。
ここでの施工管理とは、安全や品質および工程や原価の管理を総合的に行う専門的な業務を指します。
加えて、再生可能エネルギー施設の設計から調達および建設までを一貫して請け負う事業も展開しています。
【理由】
インフラ維持工事という安定基盤と成長領域の双方に対応できる体制を維持するため、建設施工の現場管理を根幹としつつ、脱炭素社会の流れに合わせて再生可能エネルギーの施工技術を戦略的に蓄積してきた背景があります。
インフラ維持工事という安定基盤と成長領域の双方に対応できる体制を維持するため、建設施工の現場管理を根幹としつつ、脱炭素社会の流れに合わせて再生可能エネルギーの施工技術を戦略的に蓄積してきた背景があります。
具体的な活動実績として、熊本県に進出した大規模半導体工場関連の周辺インフラ整備支援を大々的に実施しました(2023年から2024年実績)。
また、農業と発電を両立する営農型太陽光発電などの新技術案件についても、年間施工件数が50件を超える実績を上げています(2023年度)。
さらに、施工管理のデジタル化を推進するための現場デジタル変革ツールを、全国の全現場である約2000箇所に導入完了しています(2024年3月時点)。
リソース
株式会社九電工の競争力を支える最大の経営資源は、九州全域を網羅する強固な施工拠点ネットワークと、熟練された施工管理技術者、そして多数の強力な協力会社組織の存在です。
【理由】
設備工事というビジネスモデルは、優秀な技術者の人件費と動員可能な施工能力に大きく依存するため、自社社員の育成だけでなく、地域に根ざしたパートナー企業とのネットワークを強固に保つことが施工能力の最大化に不可欠であるからです。
設備工事というビジネスモデルは、優秀な技術者の人件費と動員可能な施工能力に大きく依存するため、自社社員の育成だけでなく、地域に根ざしたパートナー企業とのネットワークを強固に保つことが施工能力の最大化に不可欠であるからです。
具体的なリソースの規模として、国内拠点数は本社や支社および営業所などをあわせて約120拠点に上ります(2024年3月時点)。
また、事業を共に推進するパートナー組織である九電工協力会への加盟会社数は約1500社を誇ります(2024年3月時点)。
自社の人材育成にも多大な投資を行っており、福岡県に構える研修施設の九電工人材開発センターでの年間受講者数は約2000名に達しています(2023年度実績)。
パートナー
事業を展開するうえで不可欠な主要パートナーは、電力インフラ分野における九州電力株式会社や、建物の主要発注者である大手ゼネコン各社、および地域で実際の施工を担う協力会社です。
【理由】
景気変動リスクを分散し吸収する経営戦略をとるため、電力会社からの安定的な基盤インフラ受託と、大手ゼネコンからの民間大型物件受託の双方をバランスよく確保する体制を構築してきたからです。
景気変動リスクを分散し吸収する経営戦略をとるため、電力会社からの安定的な基盤インフラ受託と、大手ゼネコンからの民間大型物件受託の双方をバランスよく確保する体制を構築してきたからです。
具体的な関係性を示す数値として、最大取引先である九州電力株式会社向けの売上は、全体の約15パーセントから20パーセントを占めています(2024年3月期)。
また、鹿島建設株式会社や清水建設株式会社および大成建設株式会社といった大手ゼネコンからの民間施工受託額は、年間で1500億円規模に達しています(2024年3月期)。
さらに、再生可能エネルギー事業の推進においては、三菱HCキャピタル株式会社などと共同出資プロジェクトを組成し、強力な協業体制を築いています。
チャンネル
株式会社九電工が顧客と接点を持ち案件を獲得する経路は、営業担当者によるゼネコンや施主への直接営業と、九州電力からの直接発注受託、および地方自治体や官公庁からの入札指名が中心となっています。
【理由】
設備工事案件は、事前の精緻な見積りや複雑な施工条件のすり合わせ、さらには完成後の保守保証に関する厳密な協議が必要となるため、対面での高度な専門営業や過去の実績に基づくリピート受注が主たる経路として最適だからです。
設備工事案件は、事前の精緻な見積りや複雑な施工条件のすり合わせ、さらには完成後の保守保証に関する厳密な協議が必要となるため、対面での高度な専門営業や過去の実績に基づくリピート受注が主たる経路として最適だからです。
実績として、直近の受注高におけるリピート施主や継続取引先からの割合は約80パーセントという極めて高い水準を維持しています(2024年3月期)。
また、官公庁向けの公共工事の受託比率は連結売上高の約15パーセントを構成しています(2024年3月期)。
近年では新たな販路拡大に向けて、首都圏や関西圏における都市開発営業部門の増員を実施し、営業要員を前年比で15パーセント増加させています(2023年度)。
顧客との関係
株式会社九電工は、工事の完成と引き渡しで関係を終わらせるのではなく、施工完了後も定期点検や点検保守契約を通じて長期的な関係を継続しています。
【理由】
ビルや工場の設備寿命は一般的に10年から20年と言われており、継続的な保守や将来の改修工事を定期的に獲得することで、単発のフロー型受注から継続的なストック型収益へのビジネスモデル転換を図るためです。
ビルや工場の設備寿命は一般的に10年から20年と言われており、継続的な保守や将来の改修工事を定期的に獲得することで、単発のフロー型受注から継続的なストック型収益へのビジネスモデル転換を図るためです。
具体的な成果として、自社で施工した建物の保守メンテナンスおよび改修工事の売上高は約800億円に達しています(2024年3月期)。
このような取り組みの結果、主要顧客との平均取引継続年数は20年以上という強固な信頼関係を構築しています。
さらに、顧客の安心を担保する仕組みとして、24時間365日対応の設備集中監視サービスを展開しており、その導入拠点数は九州域内で約1200箇所に上ります(2024年3月時点)。
顧客セグメント
対象としている主要な顧客層は、インフラを担う電力会社、公共施設を管理する官公庁、そして工場を運営する製造業や商業施設およびオフィスビルを保有する民間企業です。
【理由】
特定の産業分野において設備投資が急減速した際のリスクを分散し経営への影響を防ぐため、公共分野と電力分野および民間分野のバランスを綿密に維持したセグメント構成を意図的に設定しているからです。
特定の産業分野において設備投資が急減速した際のリスクを分散し経営への影響を防ぐため、公共分野と電力分野および民間分野のバランスを綿密に維持したセグメント構成を意図的に設定しているからです。
実際の発注者別売上構成比を見ると、民間工事が約70パーセントを占め、電力会社工事が約15パーセント、官公庁工事が約15パーセントとなっています(2024年3月期)。
地域別の売上構成比においては、地盤である九州エリアが約60パーセント、成長市場である首都圏およびその他エリアが約40パーセントを占めています(2024年3月期)。
特筆すべき点として、大規模半導体工場などの電子部品製造業向け工事の売上が前年比200パーセント以上の急増を記録しており、最先端産業も重要な顧客層となっています(2024年3月期)。
収益の流れ
収益の柱となっているのは、設備施工に伴う請負工事の代金収入です。
これに加えて、再生可能エネルギー発電所からの継続的な売電収入や、建物の保守および管理による月額の定額収入が存在します。
【理由】
工事の進捗に応じた出来高代金の受領によって事業運営に必要な安定したキャッシュフローを確保しつつ、利益率の高い売電事業などのストック収益を組み合わせることで、企業全体の利益率の底上げを図るためです。
工事の進捗に応じた出来高代金の受領によって事業運営に必要な安定したキャッシュフローを確保しつつ、利益率の高い売電事業などのストック収益を組み合わせることで、企業全体の利益率の底上げを図るためです。
収益構造の具体的な内訳として、請負工事収入が連結売上高の約92パーセントを占める最大の基盤となっています(2024年3月期)。
一方で、再生可能エネルギーや売電事業による収入も約25億円を計上し、着実な収益源として育っています(2024年3月期)。
この売電収入の基盤として、太陽光発電所の自社保有容量はグループ合計で約100メガワットに達しており、長期的な収益貢献が見込まれます(2024年3月末時点)。
コスト構造
最大の支出項目は、売上原価の過半を占める外注費および材料費であり、これに自社技術者の労務費や販売費および一般管理費が加わります。
【理由】
事業の性質上、大規模な工事に対応するための協力会社への施工委託費や、電線および鋼材や空調機器といった資材の仕入れ費が必然的に主要コストとなる構造であり、適切な見積り精度と強力な仕入れ交渉力が最終的な利益率を大きく左右するからです。
事業の性質上、大規模な工事に対応するための協力会社への施工委託費や、電線および鋼材や空調機器といった資材の仕入れ費が必然的に主要コストとなる構造であり、適切な見積り精度と強力な仕入れ交渉力が最終的な利益率を大きく左右するからです。
具体的なコスト比率として、売上原価率は86.8パーセントとなっており、販売費および一般管理費の比率は4.5パーセントに抑えられています(2024年3月期連結)。
将来の成長に向けた費用としては、新技術開発などに向けた研究開発費として年間約3億円を計上しています(2024年3月期)。
また、自社ビルの改修や施工用機材の導入およびITシステムへの投資として、年間約85億円の設備投資を実施しています(2024年3月期実績)。
自己強化ループ
株式会社九電工の成長を自動的に加速させているのは、圧倒的な施工力と資金力を背景とした独自の好循環サイクルです。
第一段階として、九州電力や大手ゼネコンおよび半導体メーカーなどの優良顧客から、大規模かつ難易度の高い工事を高単価で受注します。
第二段階として、この受注で得た豊富な資金を自社エンジニアの教育や協力会社への安定的な発注に惜しみなく投入し、組織全体の施工能力と品質をさらに高めます。
第三段階として、高められた能力によって大規模案件を高品質かつ短納期で完工させたという確固たる実績が生まれ、業界内での信頼と市場シェアが拡大します。
最終段階として、他社には真似できない施工体制と実績が最大の強みとなり、さらなる大型案件の指名受注や有利な価格交渉力の獲得へと繋がり、再び第一段階の受注拡大へと戻る循環が形成されています。
この好循環が実際に機能している証拠として、将来の売上となる受注残高は3200億円(2022年3月期)から4100億円超(2024年3月期)へと過去最高水準を更新し続けています。
さらに、高単価案件の増加により売上高営業利益率も7.3パーセント(2023年3月期)から8.7パーセント(2024年3月期)へと飛躍的に向上しており、協力会社の現場定着率も90パーセント以上という高い水準を維持しています(2024年3月時点)。
採用情報
新卒採用における初任給は学歴によって分かれており、2025年4月入社予定の実績として、総合職の大学院卒が月給25万5000円、大学卒が月給24万円、高専や短大および専門卒が月給21万5000円に設定されています。
働く環境の指標となる年間休日総数は124日となっており、土日祝日が休みの完全週休二日制が採用されています(2024年度実績)。
通常の休暇に加えて、年末年始休暇や夏季休暇および創立記念日休暇やリフレッシュ休暇などが特別休暇として整備されています。
直近の新卒採用人数は年々拡大傾向にあり、2022年度が240名、2023年度が255名、2024年度は270名の新入社員を迎え入れています。
採用倍率はおよそ10倍から15倍程度となっており、例年のエントリー数約3000名から4000名に対して内定採用数が約250名から270名という激戦を呈しています(2024年度採用実績目安)。
働きやすさを示すデータとして、平均勤続年数は16.2年となっており、平均年間給与は768万2000円という高い水準を記録しています(2024年3月期実績)。
選考プロセスは、エントリーから始まり、会社説明会と適性検査を経て、個別やグループでの一次面接、そして役員が参加する二次面接を経て内定に至るフローです。
求める人物像としては、自ら考え行動できる挑戦心を持った人物や、インフラと社会課題解決に情熱を持てる人物、そしてチームワークを重んじる人物が掲げられています。
株式情報
株式会社九電工の株式情報について基本的な項目を解説します。
証券コードは1959が割り当てられており、株式市場は東京証券取引所のプライム市場および福岡証券取引所の二つの市場に上場しています。
株式の売買単位となる単元株数は100株に設定されており、企業の業績を締めくくる本決算期は毎年3月となっています。
株主への還元策として株主優待制度が導入されており、毎年3月31日時点で100株以上を保有する株主に対して、保有株式数と保有期間に応じてクオカードや九州特産品のカタログギフトなどが贈呈されます。
配当に対する考え方としては、連結配当性向35パーセント以上を一つの目安として掲げています。
そのうえで、業績に応じた成果配分をしっかりと行いつつ、安定的な配当の継続や累進的な配当を意識した基本方針を採用しています。
株価の水準については、2024年10月時点でおよそ5800円から6200円台で推移しています。
したがって、単元株数である100株を購入するために必要な最低投資金額の目安は、約58万円から62万円程度となります。
なお、株価や配当金などの各種数値は経済情勢や市場動向によって常に変動するため、実際の投資判断を行われる際はご自身で最新の公式情報を必ずご確認ください。
未来展望と注目ポイント
今後の成長戦略の道標となるのが、2022年度から2026年度までの5カ年を対象とした2026九電工グループ中期経営計画です。
この中期経営計画の最終年度となる2026年度には、連結売上高5000億円、連結営業利益450億円、そして自己資本利益率10.0パーセント以上という非常に高い数値目標を掲げています。
この目標達成に向けた最大の成長ドライバーとなるのが、大規模半導体工場の九州進出に伴う関連投資の波を捉えることです。
物流施設や半導体の供給網関連工場、および周辺インフラ整備の工事を最大限に受託することが最重要の注力領域となっています。
さらに、脱炭素社会に向けた事業構造の転換として、再生可能エネルギーや蓄電池および電気自動車の充電インフラ施工の拡大も大きな柱です。
これらの成長を支えるため、5カ年の累計で約500億円の設備投資および戦略投資枠を設定し、デジタル変革や人材育成施設の増設に資金を投じます。
また、東名阪エリアでの施工管理パートナーや専門工事会社の買収など、グループ化を推進するM&A投資枠も年間数十億円規模で設定されています。
経営陣は、建設業界における時間外労働の上限規制という課題をデジタル技術の活用と施工管理の革新で乗り越え、九州から全国へ展開する総合設備インフラ企業へと飛躍する長期ビジョンを力強く語っています。



コメント